メンガタクワガタ・メリー (Homoderus mellyi)

アフリカ・カメルーンから、やってきた美しいクワガタ、それがメンガタ・メリーです。特徴は背中の模様と、大型のオスに出現する巨大な頭楯です。メンガタとは面型(人の顔)に模様が似ているところからきているようです。個人的には、特にメスの模様が美しいと思います。
頭楯は大型のオスでは巨大に発達して、正面から見ると異様な迫力があります。触覚も異様に長く、アジアのクワガタには考えられないフィルムですね。
最大個体でも58ミリ程度の小型種です。

飼育温度などは、メジャーなドルクス系とは違い、はっきりとわかっていません。私も初めての飼育ですので、安全のため、この冬は温室(20度)で飼育します。


飼育は容易で、ブリードも難しいほうではありません。しかし、羽化後、長期の休眠期間が必要で(成熟に時間がかかるみたいです)、最低6ヶ月はブリードできないことがあります。この期間は餌も食べません。逆に餌を食べ始めたら成熟した証拠ですので、なるべく早くブリードしましょう。なぜなら、活動開始後の寿命は決して長くないからです。

爪が強力で、一度しがみつかれると、ちょっと痛い思いをしますよ


飼育日記
2003年
11月24日

今回購入したメンガタ・メリーは今夏生まれの飼育品です。35mmと小型のオスでしたので、格安で購入できました。しかし、後食した様子がありませんので、未だブリードは不可能でみたいです。一応、餌ゼリーを入れて、しばらく温室で様子を見ようと思います。初めての「アフリカ産」ですので、ブリードが楽しみですね!しっかりと観察したいと思います。
12月26日

メンガタ・メリー(ペア)購入から1ヶ月がたちました。しかし、オス・メスともに、まだ成熟していないみたいです。いつ後食するか分からないので入れておいた餌にはカビが生えてしまいました。どうやら、越年の模様です。夏生まれですから、そろそろだと思うんですが・・・。噂に聞く「成熟には6ヶ月以上」は本当みたいです。
さらに「ついてない」ことに、乾燥気味のマットを加湿しようと霧吹きしたところ、カビの胞子が飛び散りました。吸い込んだ私はゲホッ!ゲホッ!気分最悪・・・。ひどい目に逢いました!
2004年
2月20日

ずいぶんと「お寝坊さん」なメンガタ・メリーです。依然、ゼリーを食べた形跡は皆無です。昨夏に羽化した個体ですので、遅すぎやしませんか!?「もしかしたら、死んでしまったのでは?」と思い、掘り出してみました。メスは体を縮め、越冬体制、オスは脚を広げて威嚇してきました。
業を煮やした私はミニケースの中仕切りを取り払う決断をしました。餌も新品に替えました。さて・・・どうなりますか??
5月7日

メンガタ・メリーのペアを産卵セットに投入しました。
2月に、強制的に同居させてからも、オス・メスとも活動している様子は全くありませんでした。しかし、3週間ほど前から餌が減り始めました。オスが活動を開始した様子です。そして、10日ほど前からメスがマットの上に居るのが観察できました。この種類は活動を開始してからは短命とのことですので、オス・メスを一緒に産卵セットに入れました。噂では、メンガタ・メリーは材産みとのことです。スペースの都合上、小ケースに埋め込みマットを敷き、夏菌皮剥き材1本でセットしました。
7月1日

メンガタ・メリーの産卵セットの側面に、幼虫が顔を見せました。親虫は、なかなか目覚めなかった割りに、あっさりと産卵したようです。
オスは日ごろから交尾意欲が旺盛で、暇さえあればメスを抱えています。このクワガタの脚の爪はとても鋭く、メスは逃げることが出来ないようです。一方メスは、餌を食べているか、産卵木を削っているか、のどちらかです。共に繁殖意欲が高いようです。
材を取り出すと、材の下部に1頭、マットに2頭の幼虫を発見しました。いずれも初二令幼虫です。最初にマットから調べてみると、11頭の幼虫を発見出来ました。次に材を割ってみると、こちらからも13頭の幼虫、そして卵が5個出てきました。予想を上回る結果に満足も・・・数が多く、ちょっと疲れてしまいました。幼虫はプリンカップに発酵マットを入れ保管します。
9月4日

長期の出張(50日)から帰国してビックリ!メンガタ・メリーの幼虫はプリンカップの中の餌を食べ尽くし、糞の上に転がっています。中にはカップのフタを食い破り(写真右下)、床下収納庫の中で、うずくまっていた個体もいました。やはり、プリンカップ(200cc)では不足だったようです。出張前にマットを切らしてしまい、大きな容器に入れることができなかった私の管理ミスです。全員、元気に3令幼虫に育っていたのが不幸中の幸いです。早速1リットルの容器に移し、お詫びのしるしに、高級マットを与えました・・・。
10月30日

メンガタ・メリーの幼虫が、飼育ビンの表面に顔を出さなくなりました。そろそろ蛹室を作ってもいいはずです。死んでしまったのでしょうか?このときある疑問が浮かびました。「もしかすると、このクワガタは繭玉を作るのかも?」繭玉を作るのなら、表面に蛹室は出来ませんから。
早速、メンガタ・メリーの飼育ギネス保持者の某氏に尋ねると、「繭玉です!」という明快な返事。
慎重に1個だけ掘り起こしてみると、出てきました。繭玉です。カナブンの繭とは質感が異なり、こちらの方が繊細な感じがします。軽く振ると「コロリ」と中で何かが動く感触がありました。
前回ビンを交換したタイミングから、まだ繭を割るのは早そうです。マットを敷いたビンの中で、暫く保管することにします。
11月18日

パプアキンイロクワガタのブリードに失敗し、自暴自棄になった私は「腹いせ」に、メンガタ・メリーの繭玉を割ってしまいました。もちろん優しくですよ!恐る恐る中を覗き込むと、あの斑点が見えました。羽化しています。繭玉の大きさから予想していたとおりのメスでした。誕生おめでとう!しかし、メンガタは羽化から半年以上経たないと餌を食べませんし、もちろんブリードもできません。他の個体はこのまま、繭のまま、越冬(温室で)させるのがよいかもしれません。
12月26日

神は我を見捨てず!本当によかった!
そろそろ、メンガタメリーの繭玉を取り出そうと、飼育ボトルのマットを掘り出しました。飼育ボトルは全部で10本です。
最初のボトルから大きな繭玉が出てきました。オスのようです。次は・・・死亡・・次も死亡・・。原因は蛹化不全みたいです。4本目でやっと羽化したメスが出てきました。5本目、6本目、7本目、全て蛹化不全です。不安になり、最初に割り出した繭玉を割ってみると・・・無残にも蛹化不全で黒くなっていました。8本目でメスがもう1頭出てきました。このまま終わってしまうのでしょうか?
9本目、スプーンを大アゴが挟みました。立派な大アゴです。「オスだ!」慎重に掘り出すと、これまた立派な頭楯を持ったオスが出てきました。神は私を見捨てなかったんですね!これで、来年も累代が進められそうです。ちなみに10本目も黒くなっていました。
原因は何なのでしょうか?やはり、長期出張でのメンテナンス不足なのでしょうか?
マットはやや水分が多かったような気がします。


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