クルビデンスオオクワガタ (Dorcus curvidens)

クルビデンスオオクワガタはとても有名な外国産オオクワガタです。産地は大きく分けて2つあります。インド、ネパール、ブータン、ミャンマーなどの「ヒマラヤ系」とタイ、ラオス、ベトナムなどの「インドシナ系」です。
以前、日本のオオクワガタはクルビデンスの亜種であると思われていました。最近の研究で全くの別種であることがわかりましたが、今でも「クルビ系」、「アンテ系」というように、オオクワガタの代表的な種類として認識されています。尚、タイワンオオクワガタのCタイプとはクルビデンスの「C」からとったものです。
特徴は発達した大アゴです。決して太くはありませんが、長く、湾曲しています。特に大アゴを広げたときの迫力は素晴らしいですよ!上翅には光沢があり、体幅は広く、ガッチリしています。フセツが細いのも特徴です。メスは上翅の点刻が深く、国産オオクワガタのメスとの判別は比較的容易と思われます。最大個体は80mmに達します。
飼育温度はアンタエウスオオクワガタに準じ、やや低めが適当だと思われます。特に高温下では羽化不全が多いようです。


飼育日記
2004年
10月15日

本日、「クワカブランド」で購入しました!ブータン・シェムガン産クルビデンスオオクワガタ・76mmペア(F2)です。
以前、私はクルビに対して興味は全くありませんでした。HP読者から、「どうしてクルビを飼育しないのですか?」との問い合わせに「何でクルビが良いのだろう」といつも首を傾げていました。
ところが、「クワカブランド」で、この個体をひと目見て、気に入ってしまいました。何と言っても大アゴの「張り出し」がスゴイ!写真でお分かりになるでしょうか?この迫力・・・。今までのクルビに対する気持ちが180度変わってしまいました。国産オオやグランディスとは一味違った「大アゴ」の迫力です。さて・・・ブリードはどうしましょうか??飼育部屋は満杯です・・・。
10月27日

クルビデンス・オオクワガタのペアリングを開始しました。購入から10日が経ちました。オス、メスとも食欲旺盛です。♀はゼリー2個目に突入しました。そこで、この遅い季節ながら、ペアリングを試みました。方法は「愛の小部屋」ペアリングです。オスを飼育している小ケースにメスを投入しました。暫く観察しましたが、喧嘩する様子はありませんでした。このまま、一週間から十日、同居させたあと、メスだけ、産卵セットに移す予定です。
11月4日
クルビデンスオオクワガタのメスを産卵セットに投入しました。
セットの内容は、中ケース、埋め込みマット、皮剥き夏菌材二本という普通のセットです。クルビは硬めの材を好みますので、やや硬い材をチョイスしました。また、水分は少なめが良さそうなので、材は埋め込まず、5センチ程度敷いたマットの上に置いただけの「お気楽セット」です。
2005年
1月5日

産卵セットを組んで、2ヶ月が経過しました。外観から想像するに、全く産卵の気配はありません。材もほとんど削られていません。メスは産卵木の下に寝床をつくり、全く動いていません。「産まぬつもりだな・・・」「産まぬなら、産むまで待とうクルビデンス」というわけで、あっさりと諦め、産卵セットをたたみました。やはり、季節を感じたのでしょうか?外国産も種類によっては季節を感じ、人工的に加温しても産まないそうです。
メスは春の産卵に備え、ミニケースへと移し、温室管理します。

6月19日

クルビデンスオオクワガタのメスを再び産卵セットに投入しました。このメスを産卵セットに入れるのは2度目です。昨秋は加温したのもかかわらず、セットの中で休眠されてしまいました。今回は「愛の小部屋」で再ペアリングしてのリベンジです。セット内容は、中ケース、固めの夏菌材2本、クワマットという標準的な内容です。
8月1日

クルビデンスオオクワガタの産卵セットを割り出しました。
1本の産卵木は写真のようにボロボロに削られていました。外見からは産卵が期待できそうです。しかし、割り始めてみると、材は思ったより柔らかく、固めを好むといわれるクルビにはどうなのでしょうか?


しかし、心配は無用でした。坑道に指を入れ2つに割ると、幼虫、卵が出てきました。産卵木の中央部には大きな産卵坑道が掘られ、その坑道から卵を産み付けたみたいです。写真右上に卵、右下に初令幼虫が見えますね!
ところが、幼虫7頭、卵8個採ったところで、トラブル発生!「マットが足りない!」幼虫一時保管用のプリンカップに詰める「クワマット」が底をついてしまいました。私のうっかりミスです。本日は割り出しを中止するしかありません。仕方なく、材をケースに戻しました。
ところで、「クルビの材は固め」といわれますが、必ずしも正確ではないようです。国産オオクワガタも同様ですが、ドライバーを使わないと割れない材より、「手でなんとか割れる」位の固さの材に多く産卵するようです。水分もやや多目が正解のような気がします。
8月14日

先日、マット切れで中断したクルビデンスオオクワガタの割り出しを再開しました。前回とは異なり、今回は「固めの材」が中心の割り出しとなりました。結果は幼虫5頭、卵2個でした。
尚、今回購入したマットは「月夜野キノコ園」さんの「クワマット」です。
11月5日

ブータン産・クルビデンスオオクワガタ・幼虫の菌糸ビンを交換しました。1本目の菌糸ビン投入から約3ヶ月での交換となりました。
あの、可愛かった初令幼虫は、大きな3令幼虫へと進化していました。オスと思われる幼虫の体重を量ると26グラムでした。国産オオクワガタなら、「見込みのある個体」ですが、クルビデンスではどうなのでしょうか?
今回使用した菌糸ビンも「月夜野キノコ園」さんのエレメント・シリーズです。大型の個体は1400ccへ投入しました。
12月2日

ブータン産・クルビデンスオオクワガタ・残りの幼虫の菌糸ビンを交換しました。
今回交換した中で、オス2頭が29グラムと順調に育っています。クルビの場合、29グラムが「大きいのか」、「小さい」のかは、分かりませんが、70mmを越えるのは間違いなさそうです。メスは極端に小さい(12グラム程度)なので、判別は容易でした。見込みのあるオスは1400ccへ、小型のオスとメスは800ccの菌糸ビンへ移しました。銘柄は月夜野さんのエレメントシリーズです。


2006 飼育日記
1月22日

クルビデンスオオクワガタのメス?が蛹室を作製しました。
昨日、東京には雪が降り、我が家でも雪かきをしました。しかし、東京に雪が降るのは春が近い証拠です。気温はまだまだ低いですが、クワガタたちも春を感じ始めたようです。
クルビは国産オオと同様、体内時計のしっかりしたクワガタです。オスも3−4月には蛹化してくれると思います。
2月9日

クルビデンスオオクワガタのメスが蛹化しました。
外は真冬、先日も雪が降ったばかりです。しかし、飼育部屋の温室で管理(20度)している個体たちは元気一杯です。クルビも無事蛹化してくれました。
最近思うのは、クワガタたちにお幼虫にとって、「20度」という温度が本当に最良なのか?という事です。もちろん種類によっても変わると思いますが・・・。何となく、もう少し低めでも良いような気がします。来年はもう1度下げてみましょうか・・・?
2月12日

黒点病か!!??クルビデンスオオクワガタ幼虫の菌糸ビンを交換したところ、何と、幼虫の体の一部が黒化している個体が出てきました。何の病気でしょうか?体重は23グラムと、決して大きくはありませんが、発育不順というほどではありません。丸々と太ってさえいます。気になったのは食痕です。色が、標準的な食痕よりも淡い色なので不思議に思って掘り出しました。
いずれにせよ、無事蛹化、羽化する事は不可能と思われます。しかし、「余命を全うするまでは」と思い、新しいビンへと移しました。
4月10日

クルビデンスオオクワガタのメスが羽化しました。
我が家で羽化した初クルビです。早速、上翅の点刻を確認すると、やっぱりクルビ!深い点刻が刻まれております。
サイズは40ミリ台前半でしょうか?まだ、お腹が赤いため、サイズの計測は控えました。
オスも蛹化した模様です。羽化が楽しみです!
5月5日

クルビデンスオオクワガタの蛹を掘り出しました。理由は菌糸ビンが劣化したからです。
昨年11月に2本目のビンに移して以来、菌糸ビン交換はしていませんでした。さすがに半年も経過していましたので、菌糸の状態を検査した結果、このまま羽化させるのは危険と判断しました。これから暑くなりますので尚更ですね!
蛹の大きさから見て、70ミリ台中盤が期待できます。蛹は人工蛹室で管理します。
5月12日

先週、救出したクルビデンスオオクワガタのオスが羽化しました。体幅といい大アゴの形といい、親似の素晴らしい個体です。
人工蛹室「バケラッタくん」の成績も良好です。羽化不全が極めて少なく、繰り返し使えるのが嬉しいです。オアシスだとクワガタに壊されてしまいますから・・・。
5月25日

羽化したクルビデンスの体長を測定しました。嬉しい事に77mmもあります。親が76mmでしたので、今回のブリードは「成功」といえそうです。
改めて思いましたが、クルビはカッコイイですね。何故、人気が無いのか不思議です。決して太くはありませんが迫力の大アゴ、幅広でピカピカのボディーなど・・素晴らしいクワガタですよ!

尚、2月12日に報告した、体の一部が黒化した幼虫は健在です。蛹室をつくりました。無事、蛹化・羽化できるのでしょうか?心配です。私の経験では、体に多少でも異常がある幼虫は蛹化不全になる危険性が高いのです。

6月4日

クルビデンス・新たなオス幼虫が蛹化しました。蛹室の状態が悪かった(ビン底)ので掘り出してみると・・・あれ?何か変・・。そうです。左右が非対称なのです。先ず、大アゴが完全にずれています。そして後脚もお行儀が悪いようです。
以前、マレーアンテの蛹も同様の状態が見られました。(アンタエウスの飼育日記2004年3月18日参照)あのアンテは羽化出来ず、黒くなってしまいました。この蛹はあれほど重症ではありませんが、楽観はできません。今後を見守りたいと思います。
6月10日

前記の「蛹」はやはり、無事羽化することは出来ませんでした。上半身こそ正常?ですが、下半身に障害がある様子です。上翅も閉じる事が出来ず、私には苦しんでいるようにさえ見えます。腹部が変形しているのが写真でも判りますね。
以前、「ビン底に蛹室を作ると羽化不全になりやすい」といわれていたのは、実は蛹化不全の誤りだったのかもしれません。「体を反転できない」「水が溜まって」は多くの場合、誤った原因だったのかもしれません。
これは、「蛹」を掘り出してみなければ、発覚しない事実です。今まで、数多くの障害個体が羽化不全として片付けられていましたが、本当の原因は蛹化不全にあった可能性が高そうです。

6月14日・死亡しました。体液が循環できなかったためと思われます。

7月9日

2月12日、5月25日に報告した例の黒点個体が死亡しました。先々月下旬に蛹室を作りはじめたときは、「もしかしたら・・」とも思いましたが・・・やはり・・・残念です。
幼虫の体に多少でも異常がある時の正常羽化は今のところ確認できません。今回も前蛹の段階で、黒くなってしまいました。以前飼育したラオス産グランディスオオクワガタの幼虫も同様でした。(グランディス飼育日記・2004年6月7日・2004年10月4日参照)
前回と同様、前蛹の段階で死亡した事から重症だったようです。クワガタの場合(幼虫も)、何らかの外傷、欠陥、奇形があると、治癒する事は難しいのかもしれません。逆に、異常な遺伝子を次世代に残さない事で「種の保存」を計っているのだと思います。

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