オウゴンオニクワガタ (Allotopus)

東南アジアで採集される、重厚な黄金色のクワガタです。マレー半島、インドネシアの島々に生息しています。
スマトラオウゴンオニクワガタ(Allotopus moellenkampi moellenkampi) スマトラ島
モセリオウゴンオニクワガタ(Allotopus moellenkampi moseri) マレー・キャメロンハイランドなど
ババオウゴンオニクワガタ(Allotopus moellenkampi babai) ミャンマー南部
ボルネオオウゴンオニクワガタ(Allotopus moellenkampi fruhstorferi) ボルネオ島
ローゼンベルグオウゴンオニクワガタ(Allotopus rosenbergi) ジャワ島

上記のように(moellenkampi)(rosenbergi)の2種に分類されていて、さらに(moellenkampi)は4亜種に分類されています。一般に「モーレンカンプ」と呼ばれるものはスマトラ産です。(写真の個体)
最大体長は各亜種によって異なり、モセリ、ローゼンベルグでは80mmを超える個体も報告されています。
飼育はとても難しく、ブリードに至っては困難を極めます。最近、先輩ブリーダー方々の努力で徐々にその生態が解明されつつありますが、まだまだ未知のクワガタと言えそうです。


飼育温度は低温を好みます。日本の夏では、幼虫、成虫ともエアコンは必須だと思います。出来れば26度以下で管理したほうがよさそうです。

尚、黄金色は湿度が高いと黒っぽくなり、乾燥気味だと黄金色に輝きます。

飼育日記

2004年
11月2日

クワカブランドで発見したモーレンカンプ!WILDがな・なーんと「2300円」という激安です。残りあと3ペアでしたので、1分で選び、決めてしまいました。以前から興味はあったのですが、飼育が難しい上、高価であるのがネックでした。問題はブリードです。専門誌に「難攻不落」とまで書かれたクワガタです。果たして上手くブリードできるでしょうか?初心者の私には、ハードルが高いかもしれません。しかし、タランドゥスオオツヤクワガタを予約してしまった以上、ブリード方法が似ているといわれる、オウゴンオニの飼育は良い経験になりそうです。生体のコンディションが整ったらブリード開始です!!
11月4日

メスの餌食いが良いようです。朝から晩まで餌を食べています。オスは小食ですが、餌を舐めています。どうやら、このペアの成熟は確実のようです。試しに仕切りを外して、オスをメスの上に乗せてみると・・・なんと、あっけなく交尾が始まりました。オスがメスの背中に乗り、脚で体をガッチリ押さえつける方法です。
WILDなのに、何故追いがけ?と思われるかもしれませんが、ブリードの難しい種類ですので、「確実」な方法を選択したのです。
尚、カワラの菌床ブロックをほぐして2リットルのブロー容器に固詰めしました。このボトルを産卵木として使用する予定です。

11月14日

モーレンカンプのメスを産卵セットに移しました。
今回のセットは特殊な内容です。左の写真をご覧ください。産卵木の代わりに、菌糸ビンを使います。2リットルのブロー容器にカワラ菌床のブロックを崩して詰めたものです。メスが潜れるようにフタに穴を開けてあります。(普通はレイシ材、人工カワラ材を使います)
その他は中ケースに生オガ発酵マットという、いつもの組み合わせです。
オウゴンオニのメスは産卵木に坑道を掘り、硬いものに突き当たると、そこに産卵するそうです。この理由から、全方位に産卵可能な菌糸ビンは、オウゴンオニに最適かもしれません。また、幼虫はカワラ菌床で育成可能だそうですので、一石二鳥ですね。(ヒラタケ、オオヒラタケ系は不適当だそうです。)
菌糸ビンの穴に指を入れ、指が届く程度の穴を掘りました。メスをあてがうと、ゆっくりと中に入っていきました。
もちろん温室(20度)で管理します。他の生体との関係上、ちょっと低めなので、心配です。さて、さて・・・結果は???
12月14日

モーレンカンプのメスを産卵セットに入れてから数日後、メスが産卵ビンから出てきてしまいました。外から観察すると坑道もありません。どうやら、菌糸ビン産卵は失敗のようです。しかし、マットに産卵の可能性もありますので、しばらくは置いておきました。
1ヵ月後、マットを掘り起こすと、ケースの底に卵を発見しました。やはり、マットにも産卵しました。産卵の確認ができましたので、大事をとって、卵はすぐに埋め戻しました。
さて、菌糸ビンはどうでしょう?フタを開けると、オガが黒く変色しています。どうやら、発酵してしまった様子です。今日は時間が無く、掘り出しはしていませんが、期待は薄いですね!オガを固く詰めすぎて菌糸の再生に失敗したようです。負け惜しみのようですが、次回カワラ菌床を詰める時の参考になりました。
2005年
1月19日

昨年末に取り出した卵は駄目になってしまいました。原因は不明です。その後産卵セットを割り出しましたが、他の卵または幼虫は発見できませんんでした。
メスは新しい産卵セットに入れましたが、明確な産卵の兆候は見られません。材を盛んに削っている(写真)ようですが、産卵の証拠は全く発見できません。またもや惨敗でしょうか?
4月9日

前回、前々回と2回の失敗後、3月上旬、今度は正統に「砂埋めレイシ材」を使って産卵セットを組んでみました。材は、あの有名な「D・Goods」さんで購入しました。セット後、メスが材を削り始め、材の中に潜ったように見えました。「今度はいけるかも!」期待が高まりました。
しかし結果は、またもや失敗でした。メスはレイシ材の側面に穴をあけ、そこで眠っていたのです(写真)。こんなに手強いとは思いませんでした。さて、次はどんな方法を試しましょうか?
5月25日

残念ながらメスが死亡しました。その後、カワラ材でセットを試みましたが、やはりダメでした。メスは坑道を掘る様子もなく、マットの上に横たわっていました。
原因は何でしょうか?最初からレイシ材、カワラ材を使うべきだったのでしょうか?卵1個(多分無精卵)という結果が何を意味するのか・・・。WILDのメスですから、既に産卵を終えてヘロヘロだった可能性もあります。またひとつ勉強になりました。
ちなみに、オスは健在です。
7月
オスの死亡が確認されました。結局、オウゴンオニのブリードには失敗しましたが、見事にタランドゥス・ブリードの礎となってくれました。どうもありがとう!

クワガタ飼育へ                 トップページへ