オキピタリスノコギリクワガタ 《Prosopocoilus occipitalis》

マレーシア・フィリピン・インドネシアの各地に生息する小型のノコギリクワガタです。体色は黄色〜黄土色で、黒いライン、斑点があり、美しく、女性にも人気があるようです。動きもユーモラスで可愛らしいクワガタです。
何となくメンガタ・メリー系統の色合いに似ていますね。オスの頭部の「へこみ」も気になります。小型の割りに爪の力が強いのも共通点です。大型個体(写真53mm)は長歯型となりますが、安易に飼育すると小型の短歯型が多く発生するそうです。
オキピタリスノコギリクワガタは東南アジア各地に広く分布していますが、亜種は今のところ確認出来ていません。写真の個体はインドネシア・スラウェシ島・パル産。
オスの最大個体でも55mm程度と小型種で、寿命は半年から1年程度といわれています。

飼育は容易で、他のノコギリクワガタと同様です。飼育温度は生息環境から予測するに、16度以上30度以下、出来れば20−25度が好ましいと思います。
ブリードも普通のセットでOKです。産卵は主にマットに行いますが産卵木にも産むようです。産卵セットはヒラタ系、アンテ系と同様です。底面に上質な産卵マットを堅く敷き詰め、柔らかい産卵木を置き、埋め込みマットで8割がた埋め込みましょう。多産だとの噂もございます。幼虫飼育はマット、菌糸ビン飼育ともOKみたいですが、個体により、相性などの問題があると思います。


2009年 飼育日記
5月4日

朝霞の「クワカブランド」でまたまた衝動買いをしてしまいました。オキピタリスノコギリクワガタです。実は以前から小型〜中型の美しいノコギリクワガタを飼育したいという願望があり、何となく物色していたという事実もありました。
購入したオキピタリスはスラウェシ・パル産53mmペア(F2)です。1000円で購入しましたが、実はかなりの大型個体です。餌を十分に食べているようでしたので、同居させることになりました。
写真を撮影中にオスは羽をフカフカと開き始め、メスはブーンと飛んでカーテンに着地しました。十分成熟している?と思われます。
5月17日

オキピタリスノコギリクワガタのメスを産卵セットに投入しました。
オキピタリスは他のノコギリと同様に主にマットに産卵するそうです。そこで、小ケースの底面に3センチ程固く生オガ発酵マットを詰め、その上に加水した柔らかめの夏菌皮むき材を1本置き、埋め込みマットで埋めました。いわゆるアンテ系と一緒のセットですが、オキピタリスは小型種ということもあり、ケ−スは「小」で済ませました。
今回、産卵木加水時に「虫食い」の穴を発見しました。幾多の実験で、雑虫が環境変化に非常に柔軟に対応することが分かっていましたので、通常の「熱湯かけ」に加え、念のため「電子レンジでチン」という工程を加えました。
コメツキやキクイムシなどの幼虫、卵が産卵木にあった場合、メスが産卵しないことがあるからです。雑虫の幼虫はクワガタの幼虫に比べると非常にタフで、2−3日の酸素遮断程度では簡単に復活してきます。そこで今回、二重に熱を加えて、卵や幼虫を死滅させる対策をとりました。

6月23日

オキピタリスノコギリクワガタの産卵セットを割り出しました。結果は「あー・・またダメ・・。」産卵の痕跡は全くありませんでした。
数年前のギラファの失敗が頭をよぎりました。「ノコギリ」とは相性が悪いのでしょうか?ノコギリ系でブリード成功したのはメンガタ・メリーだけです。それも、無事羽化したオスは1頭だけという・・結果。
予想通り、産卵木には雑虫がいましたが、蒸し焼き状態でしたので、問題はないはずです。何故産卵拒否?
気を取り直して再セットにチャレンジしました。セット内容は前回と同様。やや水分少なめ・・・かな?
8月17日

半分諦めていたオキピタリスノコギリクワガタの産卵セットを観察したところ、ケースの底面に幼虫を発見しました。
諦めかけていたセットだけに幼虫を発見した喜びはひとしおです。しかし、割り出しを行うと、喜びのテンションは半分以下に落ちてしまいました。
あれ?幼虫がいない・・。小ケースですので、マットの量もたかが知れています。ということは??あの1頭だけの可能性もあります。10頭位は期待していたのですが・・・。
慎重に捜索するとケースの底面で見たサイズの幼虫を発見しました。これで終わりでしょうか?さらに捜索・・・。結局もう1頭見つかり、合計2頭という結末でした。
さらにメスがいない!?不思議です。死亡したのなら破片はあるはずです。オスはそろそろお迎えが来そうなほど衰弱しています。ケースのフタはしっかり閉まっていました。考えられるのは産卵木に潜っていることですが、潜入した穴がよくわかりません。小型個体ですので、小さな穴を掘って中で産卵しているのでしょうか?甘い期待は禁物ですが、材はは割らずに埋め戻しました。
9月21日

先日割り出したオキピタリスノコギリクワガタの産卵セットの再割り出しを行いました。今回は、材も割ってみました。
採れた幼虫は3頭(初令、2令×2)で、いずれも材の下から出てきました。材は大きく削られた形跡はありませんが、小さな食痕が見つかりました。しかし、材からは幼虫は発見出来ませんでした。
メスは残念ながら力尽きていました(写真)。多分、前回の捜索時は材に潜っていたようです。
前回と合わせ、合計、5頭の幼虫が採れました。幼虫たちは、菌糸カス入りのプリンカップで管理します。もちろん割り出した廃材は当分保管し、再検査します。
10月11日

オキピタリスノコギリクワガタのオスが死亡しました。最近は元気が無く、お迎えが来るのは時間の問題だったのかもしれません。さらに残念なのは子孫が少ない事。結局再検査したにもかかわらず、幼虫は追加できず、結局5頭という数字に落ち着きました。しかし、「ゼロ」や「イチ」ではありません。上手くいけばブリードも可能です。問題は私のスキルです。「ノコ」は苦手ですので・・・。

11月4日


オキピタリスノコギリクワガタの幼虫は順調に成長していると思われます。3日、餌を交換しました。
でも本当に順調なのでしょうか?幼虫の体重を測定してみると4グラム、2グラム、あれ・・?・・1グラムまでいます。私が幼虫の体重測定用に使用しているキッチンメーターは1グラム単位でしか測定できませんので、この程度の体重では誤差が大きくて信用できません。
結局、オス・メスの判別も出来ませんでした。本当は頭幅を測定すればわかるのかもしれません。でもそれは羽化してのお楽しみという事で。もしかしたら全部メスの可能性もありますから・・。
幼虫たちは240ccのプリンカップに生オガ発酵マットで管理(温室20度)します。

12月1日

プリンカップで飼育していたオキピタリスノコギリクワガタの幼虫のうちの1頭が前蛹になった様子です。
まさか・・?幼虫の割り出しは8月中旬です。たった4ヶ月で前蛹になるなんて・・・パプキン並みですね・・?とは言っても、この幼虫だけがプリンカップのフタに沿って大きなスペースを作り、その場所で皺々になっていました。変わり者なのでしょうか?普通なのでしょうか?私にはさっぱりわかりません。でも、ノコギリ系は繭をつくるんじゃないのかな・・・・・?
12月13日

先日ご報告した前蛹の幼虫が蛹化しました。メスの蛹です。蛹化した場所はプリンカップの上部です。フタをとるとご覧のように蛹が露出します。
でも、そうか・・・菌糸ビンなどの飼育ボトルと違い、プリンカップは一杯にマットを詰めますので、堅いフタに沿って蛹室を作るのは不思議ではないのですね。ちょっと納得しました。そういえばパプキンにも見られる現象です。今後はオスの変態が楽しみです。
12月30日

プリンカップのフタ沿いに蛹室?を作り、蛹化したオキピタリスノコギリクワガタのメスが羽化しました。
あまりにも酷い蛹室でしたので、そろそろ人工蛹室へ移そうと思っていたら、本日、無事羽化したオキピタリスを発見しました。羽化したばかりなのでしょうか?まだ色が薄く、肌色です。
残りの4頭も蛹化または、蛹化の気配が見えています。オスが出ると嬉しいのですが・・・。
2010年

1月30日

オキピタリスノコギリクワガタが次々と羽化しました。しかし、残念ながらオスが皆無です。
採れた幼虫は5頭で、4頭がメスでした。残るは1頭のみです。こいつは現在、蛹なのですが、外からはオスメスの判別ができません。羽化するのを待つつもりです。しかし、幼虫の時に似たような大きさでしたので、メスの公算が大でしょうか・・。
2月7日

またもたメス・・・。
最期の希望も断たれてしまいました。昨夏にブリードし、採れた5頭のオキピタリス幼虫は全てメスでした。
残念・・・・・。


クワガタメニューへ             トップページへ