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言動の不一致


 「お母さんは1回しか言わないからよく聞きなさいね」と言っておきながら2回、3回と繰り返し指示していると、そのうち子どもはお母さんの言う事をいい加減に聞くようになって来る。

 これは教室などでも同じ事が言える。先生が「今から言う事は1回しか言わないよ。よ〜く聞いてね」と言って2回言うと、よく分かっている子ほど言う事を聞かなくなり、先生は子ども達をまとめられなくなる事が多い。そんなクラスは子ども達が落着かない。保育中の子ども達の声がやたら大きかったりする事もある。クラスがまとまっていなくて、落ち着きの無いクラスと、落ち着きがあってなお且つ元気なクラスは一見似ているけれど違う。子ども達は敏感に反応し、お母さんや先生の「言動の不一致」を鋭く見抜いている。

 「一回しか言わない」と言ったなら指示は1回に止めて置く事。「2回言う」と言ったなら2回言う事である。

 家庭の中でこのような事はよくある事だ。お母さんが食事の時に「だらだら食べるんだったらもう片づけるよ」と言いながら、最後には必ず食べさせる事とか「おもちゃの片づけをしないんだったらもう捨ててしまうよ。だから早くお片づけをしなさい」と口では毎日言っていながら、子どもが片づけないからと言って最後には必ず親が片づけているなど。そこには厳然たる「言っている事」と「している事」の違いがあるから子どもはちゃんと見ている。“きっと食べさせてくれる”“おもちゃは絶対捨てられない”等。子どもは口には出さないけどしっかり見ている。

 大脳生理学からいくと目からの刺激の方が絶対大きいのだから。子どもと接する時に重要な事の一つは「言動の一致」だ。

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