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たしざんとひきざん(ふえることとへること)


 子どもは多くなる事は好き、でも少なくなるのは嫌い。だから幼児から小学生になって数の勉強をするようになると足算はすぐに理解するけど、引き算は難しく感じる子が多い。

 その理由は、人間が猿から分かれた頃から、量の認識は存在していたと思われている。やっと生きている生活の中で、絶えず手元にある食べ物や水の量を的確にとらえ、それが欠乏しきってしまわないようにしなければならなかった。苦しい生活の中で、正しい量の判断が生きていく為に不可欠だった。全体として家族が、1日食べるのに十分な量であるかどうか、と言う判断が厳しくせまられた。左の山で採った木の実が右の山で採った木の実より多ければ、明日は左の山へ木の実を採りに行こうと判断する。そこに多い少ないの認識が生まれる。

 人間として生きていく為には出来るだけ「少し」より「沢山」が良いのである。 足算は計算すると「沢山」になる。これは本能的に受け入れられる事だ。一方引き算は計算すると「少し」になり、これは本能的に受け入れたくない事である。だから、理解するのに少し時間がかかるのである。

 実際、自閉症児などでは足算を理解出来た子に次の段階として引き算を教えると、理解していたはずの足算まで解らなくなってしまう子もいたりする。

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