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★★★逃げ道について★★★
子どもを躾る時、時としてその躾が厳しすぎると、子ども達は意識的にも
無意識的にもとにかく逃げようとする。それをお母さん達は「逃げるのは卑
怯」という言い方をされる事が多い。これはすごくよく分かる。人は自分の
言う事は1回言えば、直ぐに素直に聞いてほしいし、1回教えたら、直ぐに
出来るようになってほしいと希望するものだ。特に我が子に対しては。
そしてまた、そういった親の希望を直ぐに取り入れてというか、頭の回転
も早いのだろうが1回言えば直ぐに出来る子がいるのも事実。だから物事が
余計にややこしくなって来るのかもしれないのだが。
でも、小さい頃はとても素直でいい子だったのに小学校の高学年や、中学
生高校生になって問題を起こすという話はよくあるが。
それはさて置き、大抵の子は逃げようとする。その道の先は、核家族の場
合はお父さん、大家族の場合はおじいちゃんおばあちゃんという事になる。
この逃げ道の先にいる人たちに対してお母さんは嫉妬をする。お母さんの嫉
妬については後に詳しく書くとして、今回は逃げ道の先にいるお父さんやお
じいちゃんおばあちゃん達にお願いしたいことを書いてみたい。
今、子どもが泣いて自分のところに来たとする。
「よしよし。泣いてるの?どうしたの?」と泣いている理由を尋ねる。
そして、それが自分が遊んだおもちゃをお片付けをするのが嫌で、ほってい
てそれを叱られたとする。そんな場合は、こう言ってほしい。
「ああそう、お母さんに叱られたの。でもそれだったら仕方ないね。お母さ
んが怒るのは当たり前。しょうがないね。遊んだおもちゃは自分でお片付け
しないとダメやね。でも、おかあさんに叱られて悲しいのは分かるよ。ああ、
可哀相、可哀相」と言って抱いてやればいい。
要は、お母さんの“かたを持ち、子どもを慰める”ことをすればいい。決
して、お母さんを悪く言ってはいけない。よく、何気なく言ってしまう言葉
としては「お母さん悪いなあ。お母さんを後で怒っとくから泣かないのよ。
よしよし。」等の言葉。
これは、お母さんにするととても嫌な言葉で、受け入れられない言葉であ
る。お母さんは悪い訳ではない。子どもを躾ようとして、子どもに抵抗され
ているだけなのだ。そんな時に“お母さんが悪い”という言葉は適当ではな
い。“怒られた原因はあなたにある。でも怒られて悲しい気持はよくわかる。
よしよし”という姿勢に徹して慰めてやってほしいと思う。
ところで逃げ道は子どもの為にはないよりあったほうがいい。逃げ道を塞
いでしまわない方がいい。大人だって、もし自分が何か人から非難されるよ
うなことをして、一人辛い気持ちを抱えている時に、それをも含めて辛さを
共有してくれる人がいたとしたら、どれほど幸せなことだろうかと思う。
そのようにして、いい加減で許してもらいながら大きくなった子どもは、
大きくなったら、人に対してとことん攻撃することなく、適当なところで許
すことが出来る器の大きい人間になれる。
辛さに耐えられなくて逃げる子どもを追わないということが、母親のゆと
りというか、愛というか。そして、母親が子どもを追わないで、父親や、お
じいちゃんおばあちゃんに任せておくことが出来るかどうかということにな
ると、これはもうお互いの日頃の信頼関係しかない。
神戸の少年はおばあちゃんという逃げ道があった時は、さほども問題はな
かったのではないかということが新聞によく書かれている。
お父さん、おじいちゃんおばあちゃん、あなた方の役割は重大なのです!
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