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兄弟げんか


 兄弟げんかは夫婦げんかに似ている。けんかをしている当事者はその時は必死になっているから、周囲がどういうふうに感じているのかとか、周囲の言葉等は吹っ飛んでしまっている。で、けんかが終われば当事者はどうという事無く遊び始める。

 まさしく“エネルギーの発散”である。兄弟だから、兄と弟では持っているエネルギーの量が違うから、兄が大抵は弟を負かす。弟は泣かされてお母さんのところにくる。といったパターンが毎日のように繰り返されている訳だ

 この兄弟げんかは、お母さん、お父さん、また、じいちゃんばあちゃんにとってはこの上ないストレスだ。お母さんからの相談で“兄弟げんかはどうしたらいいんでしょう”というのは案外多い。

 一方夫婦げんかを振り返ってみるに、お互いに同じようなエネルギーを持っている二人がけんかをして、終われば前より仲良くなっていたりして。結局“犬も食わぬ”夫婦げんかではある。でもこの“犬も食わぬ”夫婦げんかも、回りからするとすごいストレス源には違いない。どっちに味方していいか分からないし、何をしようにもどうにもならない。逃げるしかない。だから、経験上のことだが、1組の夫婦がけんかを始めると子どもも他の夫婦も、とにかくその場にいなくなる。

 兄弟げんかも夫婦げんかも、周囲からするとストレスに違いない。だから、兄弟げんかも夫婦げんか同様に、二人でわあわあやっている間は、出来るだけ知らん顔を決め込んでその部屋から出ていく事をお勧めしたい。最後はどちらかが泣く事になったとしても、当人同士は、まあ半分は楽しんで、エネルギーの発散をしていると思えばいいのである。

 そしてどちらかが泣いてお母さんのところに来た時に初めて「どうしたの?」と聞けばいい。でも「裁判官」はしない方が良い。ただ泣いて抱っこをしてほしいと来た子を抱っこをすればいい。

 「けんかをしてはいけません」という言葉は言ってもいいし、言わなければもっといい。親の「けんかをしてはいけません」の言葉は子どもには耳にたこで効果はゼロだと思ったほうがいい。ただ、泣いている子を抱いてその子の心の傷を癒す事だけを親は思っておけばそれでいい。

  兄弟は他人の始まりと良く言われる。また、ギリシャ神話のカインコンプレックスの話は、仲の悪い兄弟のどっちだったか忘れてしまったが、片方が片方に殺される。

 実際、財産争いで兄弟が争う事は世の中ではよくある話だ。時には殺人だってそんなに珍しい事ではない。だから、兄弟が小さい時にけんかをする事ぐらいどうという事はない、と割り切って接していくのがいいと思う。

 そして、“兄弟は仲良くしてほしい”という言葉を口癖のように“親の願い”として子どもの頭にインプットしておけば、大きくなってからそれが実行出来るかもしれない。

 しかし、大きくなってからの兄弟の付き合い等というものは、多分にお互いのパートナーの言う事にすごく影響されるように思う。だから、小さい時にはとても仲のいい姉妹でも兄弟でも疎遠になる事も大いにありうる。

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