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絵本好きにするために(3)


 お母さん、お父さんは、おじいちゃんや、おばあちゃん、又色々な人たちに次のように言ってほしい。「おもちゃやお菓子を買ってくれるのならその代わりに絵本を買ってちょうだい」と。

 絵本はどんなに沢山あってもいい。色々あった方がいい。私が知っている限りで一番多く絵本を持っている子は2歳ぐらいで200冊以上持っていた子がいた。この子はお母さんが子どもの教育一筋という感じだったから分かる気がするが、普通はこんなになくてもいい。

 しかし、出来るだけ色々な分野のものを、沢山揃えてほしいと思う。少々難しいと思われるようなものでもいっこうに構わない。絵だけ見ていても十分なのである。絵本は絵があるから絵本なのだから。一方、字のない絵本もまたいい。

 色々な言葉を教えるのに「ことば絵じてん」というのがある。色々な出版社から出ているが、これなどは小さい子どもに教えるのに、どう説明していいか迷うような言葉を、分かりやすく絵で描いてあるのでよくわかる。また、大人が絵だけ見ていても面白い。このような半分絵本のようなものを、親子でパラパラと一緒に見ていくのもいい。

 子どもの絵本に対する興味づけは、本の多さより、気に入った本が適当にあればそれでいいように思う。小さくても大きくても自分の気に入った本を何回も何回も読んでほしいとせがんで来る。まあ、時間の許す限り読んでやってほしい。とは云え、前にも書いたが、無理をしなくてもいい。

 絵本の嫌いな子は、小さい頃にお母さんが「子どもに絵本を読んでやらなくっちゃあ!」という義務感で子どもに接しておられたとか、反対に小さい頃に絵本を読んでもらうという経験を持たなかった場合などにある。

 大体、絵本好きのお母さんの子どもは皆絵本が好きだ。だから、まずお母さん、お父さんに自分の好きな絵本を本屋さんや図書館で探してほしいと思う。そして、自分がその絵本を何回も見てほしい。それから子どもに読んでやるというのもいい。

 私の聞いた話だが、書きものをパッと一目見ただけで、8行から10行の文字がいっぺんに目に入って来ると言った人がいた。彼女は小さい頃に、本好きのお母さんのそばでいつも本を読んでいたと言っていた。字を習ったのも、お母さん自身が自分の好きな本を読みたくて、その為には、娘も早く一人で本を読めるようになってほしいと思い、習ったのだとの事だった。

 だから、子どもが小さい頃から、お母さんが自分の好きな本を読み、隣で子どもも自分の好きな本を読む「時間と場所」を毎日10分〜30分ほど設けるだけで子どもは確実に絵本を好きになると思う。  

 その時に気を付けることは、ただ1つ。“お母さんが、自分の読んでいる本に夢中になる”事である。

 そうすればお母さんの態度を、子どもは黙っていても真似をする。

 実際、ある小学校で1人の先生が、毎日10分づつ「読書」の時間を持って、なにも言わずにとにかく毎日10分づつ「本を読むためだけの時間」をつくった。1年間したら、そのクラスの子どもが全員本好きの子どもになったという報告もある。

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