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清潔が好き


 この頃清潔好きな子どもが多い。

小さい頃から「清潔」な環境で育って、教室で“のり”を指につけられただけでもう「おてて洗う!おてて洗う!」とパニックになって泣く。おやつを食べていても、果物の汁が指先につくと、すかさず横についているお母さんがハンカチで拭く。それがなにげなしにされる。どろんこ遊びからはほど遠い遊びの中で過ごしてきた事が見える。

 2歳児のクラスに、フィンガーペイントを夏休み前のカリキュラムに入れていたが、教室中それはそれは大混乱。まゆにシワを寄せて絶対に近寄らない子、ただただ泣く子、ちょっとだけなら触ってみてもいいかな、という雰囲気のある子、指先だけならできる子、思う存分楽しめる子等など。

 草むらには行けない子もいる。虫が怖くて地面に足が降ろせない。無理に連れて行き、無理に一緒に歩くと、後で靴下の上から膝上ぐらいまでがアレルギーのようにまっかになってとてもかゆがって、お医者さんに行って薬をもらってきて、つけてようやく収まる。など。
 もちろん歩くといってもせいぜい3〜5分くらいのことで、子どもはわあわあ泣きながら半分ピョンピョン飛ぶように“歩いてた”ということだった。

 清潔なのも大切だけど、こうなるとちょっと困ってしまう。

 お母さんに「清潔すぎる事が、子ども達の色々な行動を狭くしていること」を説明すると、大抵は「私が出来るだけ子どもを清潔に、いい子育てをしようとした事がいけなかったんでしょうか?」というような事も含めて、反省される。

 話が飛躍しすぎるかもしれないが、人々の生活の形態が清潔感あふれるものだけを追求するという風になっていってる。

 でも、世の中はきれいな部分が多くなれば、必ずそれと同じ比率で汚い部分が出来る。光があれば陰がある。強い自分もいるが、弱い自分もいる。正があれば悪がある。それが世の中。

 きれいな部分や、正しい事や、強い自分だけを見て、汚い部分や、悪の部分、また弱い自分をあたかもこの世に存在しないものの様に否定してしまうことは、人生が一面的で浅い。それはまたとても危険なことでもある。

 きたない事をする我が子もいていい。どろんこ遊びにも目一杯付き合ってやってほしい。

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