「俺は雪の上を走るぞ!」信州・標高2000mツーリング
    

ツーリングデータ

年月日

1985年11月2日(土)〜11月4日(月)二泊三日

目的地

信州・湯ノ丸高原〜木曽御岳〜飛騨高山

参加者

安立先輩(XT400)岩元(XL200)岡田(MTX200)大内(XL200)

 ※()内は、現在の我々による「チャチャ」入れである


吹雪の中、避難小屋で野宿する夜

11/2(土)晴れたり、曇ったり、雨もふれば、雪も降った

 朝5時、「ピピピー」目覚ましの音で起きる。昨日までと、うって変わって寒い。荷物は昨夜のうちに積んでしまったので、のんびりパンを食い、新聞を読む。

 6時ちょい前、「さぁ、出発だ!」日の出前のまだ目覚めぬ街を出る。寒いけど、なかなかに良いお天気だ。

 R19を快調にとばす。距離が伸びるぜ。2週間前のテスト休みツーリングの時と比べて、R19沿いの紅葉が素晴らしい。いつもは単調な移動で退屈に思ってしまうこの道も、今日は楽しい。

 久しぶりに塩尻峠を越え、諏訪界隈へ入る。まぁ、相変わらずゴミゴミした感じだよ。
(大内:この時には、のちにここらに住むことになるなんて、想像もしていなかったのでした。)
茅野市からR299麦草峠越えに向かう。かなりの冷え込みに不安になり、スタンドで路面凍結のことを聞く。「多分、大丈夫」という話。峠へ向かい、ぐんぐん登る。信州らしい縦横に広がった風景、それにくわえて紅葉のある風景が感動的だ。身体は冷えても、気持ちは熱いぞ。写真を撮ろうかと思うんだけど、こんなでっかい風景はうまくカメラにおさまりきらないんだよな。

 標高2000mを越える峠付近は、ぐっと冷え込み、路肩には雪がうっすらと積もっている。「おー、雪だがや!」バイクの上で足をバタつかせて喜ぶのであった。

 峠を下って、佐久市方面に向かう。「どさん子ラーメン」で、みそラーメン+ライス、計550円也を食い、冷えた身体を暖める。店を出て、どこに行こうか回りを見ながら考えていると、山の頂がうっすらと白くなっている湯ノ丸方面が「俺を誘っているぜ!」

 ガソリン給油の後、地蔵峠へ向かう。コーナーの出口がいきなりアイスバーンだったりするとたまんないので、ゆっくりと用心して走る。肩に力が入ってしまうんだよ。「おー、!雪だ!!」地蔵峠は寒かったが、紅葉が終わってすっかり葉の落ちた木々と雪とが織りなす風景が厳しくも美しい。湯ノ丸林道を走る。道は凍っている。ゆっくりゆっくり進む。樹氷だ、素晴らしい・・・。

 林道途中の池の平とかいう所の駐車場へやってきた。「ここらで野宿をするか」天候は大荒れで強風を伴う吹雪になっている。どっか風をよけられる場所はねーか?とウロウロしていると、ありました!避難所が。「ラッキー!」とばかりに荷物を下ろし、8Rにガソリンを入れる。「こんな天気じゃ、だぁれも来ないよなぁ、こんなとこ・・・」とかブツブツ言いながら、ふと後ろを振り向くと、DT125に乗ったヤツがいた。メチャメチャ驚いたね。強風でエンジンの音とか全然聞こえなかったから、一瞬人間には思えなかった。しばらく彼と話をする。

突然現れたDT125

 日が暮れて、恐ろしい寒さがやってきた。「だっー!さぶいぞぉー!!気合いだぁ〜!」とか叫んでみても、やっぱり寒い。水筒の水は半分凍っている。テントの中でも息が白い。酒を飲んでも、寒さと緊張のためか全然効かねーや。今日はたくさん走ったから、疲れた。眠い。この吹雪、明日の朝、外はどーなっているんだろう?


吹雪の翌朝は、キラキラと樹氷が輝く素晴らしい朝だった

11/3(日)晴れ

 吹雪、強風、明日は無事林道を下れるんだろーか? 興奮と不安で良く眠れなかった。シュラフ+シュラフカバー+毛布の実力はなかなかのもので、寒さはほとんど感じなかった。

 朝6時15分頃、目を覚ます。もう一度寝ようかと思ったけど、とりあえず外を見ておこうと思い、シュラフから這い出る。空はピーカン。キラキラと輝く朝。やったね! 眠さも吹き飛び、喜んでバイクを引きずり回して写真を撮る。

 寒さが厳しい。朝飯のお茶漬けもコーヒーもすぐ冷めてしまう。バイクも真っ白に凍っていたので、日なたに置いて暖めておく。

 遠くに富士山が見える。見渡す限り樹氷が連なって朝日に輝いている。誰もいない、俺だけだ。足跡のついていない雪景色、この素晴らしい景色を一人だけで堪能できる喜び、白い息を吐きながら走り回る。感動、爆発ー!!

白く輝く朝

 意外にもエンジンはあっさりとかかってしまい、雪の林道をゆっくりと走る。こけることなく林道を下ると、下界には雪は全然なかった。でも、嬬恋村から志賀・草津有料道路に入ろうとしたら、昨日の雪でチェーンがないと通行できないと言われてしまった。「おー、なんてこったい!」安立さんたちが木曽御岳方面を走っていることを思い出し、予定を変更し、そっちに向かうことにする。

 R146に入り、うっすら雪化粧の浅間山と道路周辺の紅葉した木々を対比を楽しみながら走る。でも、軽井沢に近づくと、車が多くてうんざりしてきた。冬場は車の中でヌクヌクとしながら走っているアベックがやたらうらやましく思えるのだけれど、今日は違うぜ!「あの素晴らしい雪の芸術をおめーらは見てねーんだよなぁ」と余裕で哀れんでしまう。まったく、この辺をウロウロしている人種は気にくわねーぜ!
(大内:いやぁ〜、当時は激しい性格をしてましてね〜、お恥ずかしい・・・)

 R142〜R153と走りつないで、1年ちょっとぶりに権兵衛峠を越える。噂には聞いていたが、ホントに全線舗装路になってしまった。う〜ん、残念。舗装された元林道は、タダの走りにくい細い道で、つまんねー。

 夕暮れが迫るが、月夜沢林道は走ることにする。今日は天気がよいので、乗鞍岳・御岳がスッキリと見える。「さいこぉほー!!」先を急ぐので気合いの入った走りとなる。「ぬおぉー」ガレた月夜沢林道、ゴツゴツとした振動で体中の血が熱くなってくる。ガレ場下りのタイトコーナー、荷物満載で時折吹っ飛ばされそうになるものの、XLとの一体感が今日はビシバシ!燃えたぜ・・・。

月夜沢から望む乗鞍岳

 岡田たちがいると思って日和田のキャンプ場に来たが、1日違いだったようだ。レッドのポケットビンが捨ててあった。やつら、レッドとはビンボーだなぁ、俺はホワイトだ、ガハハー。

 星が美しい夜だ。久しぶりの天の川。


飛騨高山でのんびり過ごすはずが・・・

11/4(月)晴れ

 何回か目を覚ましたけど、よく寝た。今日も寒い。でも、お天気がよいので許してあげましょう。朝めしの後、チェーン張りとグリスアップをする。昨日はあっさりとエンジンがかかったのに、今朝はちっともかからねーよ。

 やっとのことでエンジンをかけ、8時頃出発。R361をずっと走り、「さぁー、高山の朝市でものんびりと回るか〜」と思いながら美女峠の手前に来ると、向こうから見たよーな3台が・・・。「あー、安立先輩! 岡田っ、それに岩元君も!!」なんとこんなところで会ってしまった。道ばたにバイクを止めて、しばらく話す。「おめー、これからどーするんだぁ?」と聞かれ、「高山行って、朝市見て、喫茶店でコーヒーを飲むつもりだてぇ」と答えると、「軟弱者!」とののしられ、林道走行に急きょ変更。

 まずは、宮川防災ダムを通るダートにはいる。赤土っぽい、なかなかおもしれー道だ。岡田がえらく速いぞ。峠では、北アルプスの姿に感動しながら昼めし。豪華カップラーメンだ。食後のコーヒーも旨い!

 峠の下り、前を行く岩元君が転倒!メチャメチャ笑わしてもらった。が、次は自分がコケてしまった。リアがふられ、一度は立て直したものの、フロントが滑ってズベッ!運悪く荷物に足を挟まれて動けなくなり、もがいて、「だーっ、助けてくで〜」と叫ぶ。後続の岩元君が止まって助けようとしたその時、安立先輩が「待てぇー、助けるなー」先輩が一眼レフを取り出して、写真を撮り終えるまで、荷物の下でもがく俺だった。

こける大内

 一旦、舗装路に出て、次に目指すは飛騨牧場。広がりのある空間がスゲー。荷を降ろして、4台は遊び回る。下りの逆バンクになっているところでのブレーキターンで、みんな、100回ぐらいコケまくる。汗を一杯かいてしまった。しかし、あの空間の広がり、よかったなぁ〜。

 14時頃、帰路につく。郡上八幡あたりでラーメン屋に入った後、「コーヒーが飲みてーなぁ」と喫茶店に入ろうとするが、冗談で「そこの路肩でコーヒーをたてよっか」と言ったのが冗談でなくなってしまった。道路脇でコーヒーをたて、山の端に沈む夕陽を渋く見送る。「どこでも気にいりゃ、俺たちの喫茶店だ!」

 「さぁー、帰るぞぉ」気合いが入る。渋滞しているので、路肩をガンガン走る。19時ちょっと前、無事帰宅。疲れた・・・、フゥー。


【今回のハイライト】

一人っきりだった白い世界・湯ノ丸高原、そして、みんなと走り回り、コケまくった飛騨牧場、どっちも忘れられないなぁ〜


飛騨牧場で一枚
 飛騨牧場で、感動を身体を使って表現してみました


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