営団半蔵門線全通 ・ 東武伊勢崎線との直通化工事、完成だが・・・
さる3月19日(水)、営団半蔵門線水天宮前・押上間6キロの延伸工事と同時に、東武伊勢崎線曳舟〜押上間の直通化工事が完成。
東武日光線南栗橋(埼玉県栗橋町)から東武伊勢崎線、営団半蔵門線を通り、東急田園都市線中央林間(神奈川県大和市)までの延長100キロに及ぶ相互直通運転が開始された。
すでに東武伊勢崎線は、北千住経由で営団日比谷線との相互直通運転を行っており、複々線のそれぞれが、営団の別の路線と直通する(普通>>日比谷線、準急>>半蔵門線)形となる。
営団は、この区間の建設に1800億円余りを投じ、また東武はたった一駅の直通乗り入れに、400億円という巨費をはたいた。
しかし、深刻なのは、現在の運賃制度上、東武はこの投資を回収する見込みが立たないことだ。
周知のように、北千住では、東武は、営団日比谷線、千代田線と改札なしで、つながっており、営団経由の時間、運賃と、今回開通したルートの比較は次の通り。
北千住から
大手町まで
渋谷まで
千代田線など経由
190円(16分)
230円(31分)
今回開通したルート経由
350円(25分)
390円(41分)
所要時間、運賃とも、既設ルートの方が優位だが、伊勢崎線から直通の準急では、北千住の乗り換えはいらないから、時間はほぼ両ルートとも同じくらいかもしれない。
しかし、運賃は、既設ルートが圧倒的に安い。このデフレの時代、5割から8割近く高い運賃を積極的に払うものなんかいない。
しかも、途中、改札はないのだから、安い運賃を結果的に払って、合法的に半蔵門線内通り抜けが可能なのである。
こんなことは、作るときからわかっていたはずなのに、東武さん、いったいどうしたことなのか。
もっともこれは、こんなに稠密な路線網を有していながら、いまだに駅間の対距離制の運賃制度を使っている首都圏の鉄道網のもつ根本矛盾で、べつに東武鉄道だけのせいでもないのだけれど・・・
一方、乗客からすると、乗車可能ルートが増え、便利になる上に、普通運賃、もちろんパスネットでも、最少運賃で精算されるのだから、大歓迎である。
さらに、東武線と営団線、さらには、押上駅が京成押上線との接続駅となることに伴い、京成線の一部区間とも、運賃の 割引(大人20円、小児10円)が行われたのは結構なことだ。
もうひとつは、乗り入れの形態。
東武から半蔵門線に乗り入れるのは、朝ラッシュ時でもたった1時間6本、昼間では3本、夕刻は4本で、片道一日70本程度にとどまる。
実は、東武は、昔からのターミナル、旧態依然の「浅草」を捨てきれないのである。
遠距離まで行く、特急、急行、快速、準急は、すべてこれまでどおり浅草始発で、本数も圧倒的に多い。これでは、乗客の転移など期待薄。
もっとも東武自身が、本心ではそれを望んでいないのかも知れないが・・
地下鉄乗り入れの電車は、近くても東急線の鷺沼、ほとんどは50キロも先の東急田園都市線の終点、中央林間まで行く。
途中、東武方面に折り返しできる設備がないのである。(清澄白河にはあるが東急側が使う) 踏切事故や車両故障でもあったら、それこそ大変だ。
都心から先、とくに渋谷からはラッシュとは逆方向であろうから、がらがらの東武車両が、延々と東急線内を空走する構図となろう。
営団にしても、来春の民営化を控えて、必ずしも採算のいいとは言えないこの路線をかかえこむことになる。
運賃制度やら、施設面やら、いろいろと重荷をしょった今回の開通だが、地下鉄路線網の充実には役立つことはまちがいなく、せいぜい、錦糸町など江東地区の乗客増に期待したいところだ。
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