モスクワは初めての訪問です。ただし、実はソ連時代の1987年に、パリからの帰り、給油のためモスクワの空港に着陸し、空港の建物の中を歩いたことはあります。そのときも、ロシアの大地の上を歩くことは生涯ないだろうと思っていました。
現実にロシアの街を自分の足で歩くことができたのは、それだけでも感激ものでした。
そのときのおみやげです。見るだけで我慢してください。
(1)赤の広場とクレムリン
モスクワに行ったら最低ここには行かなくては、という定番中の定番スポットです。
行った夏至直後の時期には、夜10時で夕暮れ、11時でも薄明るいので、クレムリンのライトアップは無理と思っていましたが、何とか夜中の観光でライトアップした赤の広場を見ました。冬場ならいつでも見られる光景なのでしょうけれど。真ん中ほどにレーニン廟があります。遺体がそのまま保存処理されているそうで、移転・埋葬が議論されるものの、いまだ手付かずとのこと。
赤の広場の夜景。右かクレムリン、正面がヴァシリー寺院、左がグム百貨店。
クレムリンの塔の上には赤い星が。
カラフルなヴァシリー寺院。
赤の広場をはさんで、クレムリンの向かい側にある「グム百貨店」は、東京ディズニーランド並みに「エレクトリカル・ビル」になっていました。(一瞬、「ここどこ?」)
赤の広場に面した「グム百貨店」のライトアップ!
クレムリン前の露天の土産物屋。マトリョーシカがいっぱい!
赤の広場近くの露天のお土産物屋のマトリョーシカ
こちらは昼間の赤の広場、クレムリン前のレーニン廟です。レーニン廟の後ろ側、クレムリンの壁沿いに、歴代のソ連指導者・共産党の上層部が埋葬されているそうです。警備員がいることはいますが、鎖の向こう側に無断で入る人はいません。
昼間の赤の広場、クレムリン前のレーニン廟
レーニン廟の女性警備員。向こうのクレムリンの壁に歴代ソ連指導者の墓。
ヴァシリー寺院。どうみても安っぽいテーマパークです。
ヴァシリー寺院
モスクワ川の橋から見たクレムリン。
モスクワ川から見たクレムリン全景
モスクワ川から見たクレムリン城壁
(2)スターリン様式の建築物
モスクワ市内には、1950年代に建てられたいわゆる「スターリン様式」の建物がいくつかあります。いかにもニューヨークの「摩天楼」を意識した、高くて巨大な建物です。「ビル」というより「ゴシック様式の教会の尖塔」を想像した方が近いかもしれません。
「セブン・シスターズ」と呼ばれて7つあるらしいのですが、そのうちいくつかを見かけました。
「セブン・シスターズ」の全体については、構想倒れに終わった「ソビエト宮殿」も含めて、こちらのサイトを参照ください。
この記事に載っている「ソビエト宮殿」の建設予定地だったところに、1931年に取り壊された「救世主ハリストス大聖堂」が、2000年に再建されました。たった10数年前のことなのですね。
救世主ハリストス大聖堂
アルバート通りを歩いていると見える「ロシア外務省」。
「セヴン・シスターズ」のひとつ「ロシア外務省」遠景
モスクワ川に面した「ウクライナホテル」。現在は、アメリカ資本の「ラディソン・ロイヤル・ホテル」になっています。
ウクライナホテル正面
ウクライナホテル後ろ側は住宅らしい
モスクワの環状道路沿いにあった「ロシア鉄道省」。
「ロシア鉄道省」
遠くに見ただけですが、「芸術家アパート」。
「芸術家アパート」遠景
(3)モスクワ地下鉄
モスクワでは、地下鉄がクレムリン付近を中心に放射状に、そして周囲を環状線が走っており、移動には非常に便利です。しかも、どこまで乗っても均一料金30ルーブル(約100円)と非常に安い!
おそらく、ソ連時代から社会インフラは安く提供される風土が出来上がっているのでしょう。日本のように、東京メトロだ都営だ、地上に出るとJRだ私鉄だという区別がなく、全て公営なので(モスクワ市営か?)、移動はシームレスです。
地下鉄の回数券は、15回券以上で割引になります。使い方は日本のSuicaやPASMOと同じでタッチ式ですが、カードは紙製です。また、使うのは「入口」だけで、出口はフリーパスです(出口から「ズル」して入ってくる人は1人も見かけませんでした)。路線バスにも共通で使えます。
地下鉄の回数券(これは20回券)
地下鉄駅は、かつての冷戦時代は核攻撃に対するシェルターを兼ねていたようで、非常に深いところにあります。そこまで、ほとんどの駅でエスカレータ1本で下ります。エスカレータの長さで約100m、標高差で50mぐらいを一気に下るのではないでしょうか。そしてエスカレータは非常に速い! トラブルや事故があって将棋倒しになったら大変だと思います。
ちなみに、ここでは立つ人は右側、歩く人は左側という関西ルールです。(でも、昇りで一度歩き始めると、エスカレータが長いので途中で後悔する・・・)
地下鉄の駅や地下鉄の中など、地下鉄で写真を撮ると逮捕される、というようなことが旅行案内者に書いてありますが、現在はそんなことはないようです。禁止の表示もないし、注意もされませんでした。
地下鉄ホームに降りる長いエスカレータ
地下鉄のホーム
地下鉄駅は、ちょっとした美術工芸館です。そこには、こんなソ連時代のものもそのまま残っています。わざわざコストをかけて撤去・改修するほどのこともない、ということなのでしょう。
地下鉄駅の装飾アーチ
装飾アーチにはソ連時代の「鎌とハンマー」が
地下鉄の駅名は、電車の外側の壁面にしか書かれていないので、電車が停まると見えなくなります。さらに、電車に乗っていると、ほとんど見えません。これは土地勘のない人には致命的です。
地下鉄ホームと外壁の駅名表示
駅名表示の拡大
地下鉄路線は東京と同じで色分けされており、慣れれば、出口・乗り換えホームの方向はそこそこ分かりやすいです。
ただし、駅のホームから見える線路側の外壁に表示されている乗り換え案内は、文字ばかりでほとんど読めません。
また、このように駅の中はロシア文字表記のみで、英語やラテン文字表記は全くありません。外国人には全く不親切というより、そもそも外国人など想定していないのでしょう。
地下鉄ホームの乗り換え・出口表示
地下鉄ホーム外壁の乗り換え案内
地下鉄は、2〜3分おきに走っていて、乗り遅れてもすぐにやってきます。停まるか停まらないかのうちにドアが開き、短時間でドスンと閉まるので、乗り降りは殺気じみています。電車の中のドア付近に立っていると後ろから何か言われることが多く、どうやら「降りるのか?」と聞かれている様子。降りないならどけろ、ということらしいのです。それほど乗り降りは時間が勝負。
ロシアでは、皆歩くのは速いし、何かせかせかしています。
(4)その他
目抜き通りの「トヴェルスカヤ通り」にあるモスクワ市庁舎は改装工事中でした。ロシアでは、工事中の建物には、その建物の外観を絵にしたカバーを取り付け習わしがあるようです。
ほかにも、ゲリコン・オペラ(オペラ劇場)がそうでした。
一般にヨーロッパでは、昼の長い6〜7月が工事の最盛期となることが多いようです。地元住民は夏休みで不在、もっぱら中東や東欧からの出稼ぎ労働者が働いている、という構図のようです。夏の観光旅行にはご注意を。
工事中のモスクワ市庁舎には「外観の絵」のカバーが!
同じく工事中の「ゲリコン・オペラ」もこんな感じでした
街のあちこちに「スターバックス」がありました。ロシアは、欧米のような「コーヒー文化」がないようです。おそらく、ソビエト連邦の時代に、コーヒーがほとんど調達できなかったのではないからでしょう。「ロシア紅茶」なので紅茶がメインかとも思いましたが、レストランなどでも紅茶もほとんど見かけませんでした。夏だから?
街中のショッピングセンターには、「ユニクロ」もありました。ロシアで「カタカナ」を見るとちょっと自分のいるところが分からなくなって混乱します。
ホテルの近くのスターバックス СТАРБАКС КОФЕ = Starbacs Kofe
モスクワにも「ユニクロ」がありました。カタカナ表示!
2.お土産・その1 〜チェブラーシカのマトリョーシカ〜
チェブラーシカは、ソ連の児童文学家エドゥアルド・ウスペンスキーによる1966年の絵本『ワニのゲーナ』シリーズに登場するもので、ソ連で1969年に人形アニメ化もされたようです。
このキャラクターをもとに、つい最近になって(2010年)日本でもリメークして新作の『劇場版』として製作されたようです。
本国でも日本でも、著作権の帰属をめぐっていろいろとゴタゴタしているようですが、日本ではここが公式に管理しているようです。
キャラクターには、南の国からオレンジの箱に入ってやって来た猿と熊の中間の不思議な生き物「チェブラーシカ」(何故か電話ボックスに住んでいる)と、動物園に通勤する「ワニのゲーナ」、そして意地悪ばあさんの「シャパクリャク」などが登場するようです。アパートから動物園に通勤し、仕事として「檻の中に入っている」ワニのゲーナなど、労働者の国ソ連をちゃかしているとしか思えません。
ロシアの定番のお土産は「マトリョーシカ」人形ですが、実は我が家には家内の父親がソ連時代に仕事で行ったときのマトリョーシカ、私自身がヨーロッパ出張の帰途に給油のため寄ったモスクワの空港で買ったマトリョーシカ、弟がロシア出張時に買った(当時の)エリツィン・マトリョーシカ(中にゴルバチョフ以下、レーニンまでの歴代ソ連指導者が入っている)など既にいろいろあったので、今回はこの「チェブラーシカのマトリョーシカ」にしました。
一番外側はチェブラーシカ、その中にワニのゲーナ、さらにシャパクリャク・・・。マトリョーシカとしては5つのパーツまでありますが、小さいパーツは何のキャラクターなのかよく分かりません。
チェブラーシカのマトリョーシカは、モスクワでも土産物屋を回ってもあまり見かけませんでした。たまに見かけても、あまり「可愛い」ものではないことが多く、アルバート通りの土産物屋を何件か回って、このチェブラーシカに出会いました。なかなか可愛いので、色違いで3個買って来ました。親戚のお宅にもらわれて行く予定です。
チェブラーシカのマトリョーシカ
チェブラーシカのマトリョーシカ
3.お土産・その2 〜ロシア皇帝のたまご イースター・エッグ〜
ロシアのお土産としてはそれほど有名ではありませんが、帝政ロシア時代に、皇帝アレクサンドル3世が結婚20周年を記念して、妻であるマリア・フョードロヴナに「インペリアル・イースター・エッグ」として贈った工芸品に由来するようです。
(参考)ウィキペディア解説
親戚筋にはマトリョーシカは珍しくないということで、今回のメインはこちらにしました。といっても、それほど高価なものは無理なので、それなりのものを。色違いで赤、青、緑の3色を選んでみました。
ロシア皇帝のたまご
4.お土産・その3 〜マトリョーシカ、アリョンカのお菓子〜
これはモスクワの老舗食料品店である「エリセイエフスキー」で見つけたチョコレートで、マトリョーシカの絵が可愛いものでした。
ロシア文字のチョコレートも同じシリーズでありました。
マトリョーシカとロシア文字のチョコレート
老舗食料品店のエリセイエフスキー
「マトリョーシカ」と並んで、ロシアで一般的キャラクターが「アリョンカ」という女の子。現代日本から見るとちょっと「怖い」「きもい」という感じですが、キャンディやチョコレートのキャラクターとしてあちこちで見かけます。
アリョンカのキャンディ
アリョンカのチョコレート
「モスクワ土産」というチョコレート詰め合わせ
5.お土産・その4 〜マトリョーシカ・グッズ〜
マトリョーシカのキャラクターの小物をいくつか。
色違いの人形で、バラで配ってもよいと思って買ってきたのですが、全5色がそろっていることに価値がありそうなので、我が家用にしてしまいました。ちょっと「シェエラザード」を思わせるエキゾチックな人形です。
マトリョーシカ風人形 5点セット
後ろ姿もなかなか魅力的
こちらは用途としては「楊枝入れ」なのですが、楊枝無しの置物として配りました。
マトリョーシカ風 楊枝入れ
マトリョーシカの携帯ストラップ。
マトリョーシカの携帯ストラップ
これは鍋敷きです。
マトリョーシカの鍋敷
マトリョーシカの鍋敷