ニールセンのちょっと寄り道 〜デンマークのシンフォニスト

2015年 9月 9日 初版作成


 横浜フィルでは、次回(第74回)定期演奏会で、カール・ニールセン作曲「ヘリオス」序曲・作品17を演奏します。
 ニールセンの曲を演奏するのは初めてです。
 今年(2015年)が生誕150周年の記念にあたるニールセンについて、ちょっと寄り道してみましょう。



1.カール・ニールセンの生涯

 カール・ニールセン(1865〜1931)は、デンマーク生まれで、同じ年にフィンランドで生まれたシベリウス(1865〜1953)と同い年です。
 デンマーク音楽院で、ニールス・ゲーゼに作曲を師事し、卒業後は王立劇場のオーケストラでヴァイオリンを弾きながら作曲家を目指し、1892年(27歳)に作曲した交響曲第1番・作品7で成功し、作曲家の道を歩むことになります。
 生涯に、交響曲を6曲、協奏曲をヴァイオリン、フルート、クラリネットに1曲ずつ、オペラを2曲、そしていくつかの管弦楽曲などを作曲しました。室内楽曲では、木管五重奏曲(1922年)があり、この5つの楽器のための協奏曲を作曲するつもりだったようですが、フルート(1927年)、クラリネット(1928年)しか作曲できませんでした。

 あまり演奏会や録音で取り上げられることがありませんでしたが、最近では交響曲が徐々に演奏されるようになっているようです。

 ニールセンの生涯や、代表的な曲については、Wikipediaの「ニールセン」を参照ください。

 ニールセンについては、国内であまり情報や書籍がありませんでしたが、今年(2015年)になって、指揮者の新田ユリさんの「ポホヨラの調べ〜指揮者がいざなう北欧音楽の森」という本が出ました。ただ、ニールセン(新田さんの表記では「ニルセン」)については、30ページで、交響曲第1、2、4番について触れられているのみです。もう少し詳しく、全交響曲について書いていただきたい、ということで、続編に期待したいところです。

新田ユリ「ポホヨラの調べ 指揮者がいざなう北欧音楽の森 《シベリウス&ニルセン生誕150年》」
 

2.「ヘリオス」序曲 作品17

 作曲者38歳の1903年に作曲された演奏会用序曲で、序曲に対する「本体」はないようです。ギリシャを旅したときのエーゲ海の夜明けにインスパイアされて作曲したとのことで、「ヘリオス」とはギリシャ神話の太陽の神です。  交響曲で言うと、第2番と第3番の間の時期にあたります。  曲は、ホルンによる夜明け前の薄明の光景から始まり、最後に再びホルンによる日没までの1日が描かれています。  下記の2種類の録音とも、最終部分手前の木管の穏やかな旋律がフルートで演奏されており、今回使う楽譜ではその部分がピッコロであることから、版が違うものと思われます。

 CDとしては、スウェーデン出身で北欧音楽を積極的に取り上げているブロムシュテット指揮デンマーク国立交響楽団のものが、「お国もの」として最も充実していると思います。
「ヘリオス」序曲 作品17/ブロムシュテット指揮デンマーク国立交響楽団

 その他、ニールセンの有名なところをほぼ全て集めたボストック指揮ロイヤル・リヴァプール・フィルの10枚組のCDも標準的な演奏だと思います。
「ヘリオス」序曲 作品17/ボストック指揮ロイヤル・リヴァプール・フィル
 

3.交響曲

 ニールセンの代表作は、やはり交響曲でしょう。上記のボストックのCDには、「Carl Nielsen - Danish Symphonist」と書かれています。

 では、一通り交響曲を概観してみましょう。

(1)交響曲第1番 ト短調 作品7

 1891〜92にかけて作曲され、1894年にハンス・スヴェンセンの指揮でコペンハーゲンにて初演されました。初演は大成功で、一躍ニールセンは作曲家として認められることになるようです。
 この曲が書かれたころのできごとが、新田ユリさんの本に出てきます。2人目の娘が生まれたので、新しい家に引っ越すとき、友人たちとピアノを2階に上げる際に、階段で足を滑らせてピアノに圧迫され、内臓の不調が一生続くようになったとのこと。
 曲は、伝統を踏まえた、極めてまっとうなもので、ニールセン入門にはこの曲から入るのがよさそうです。主題やその展開には、この後のニールセンの特徴となる「長調と短調の曖昧な混在」と「独特な転調」が、既にあふれています。
 新田ユリさんが著書で書いているように、交響曲第1番から第4番までは、曲の冒頭が「ガツンと一撃」で始まります。特に、この第1番は、主調が「ト短調」にもかかわらず、「ハ長調」の一撃で始めている点で、ベートーヴェンを意識しているのではないかと考えられるということです。(ベートーヴェンも、「ハ長調」の交響曲第1番の冒頭で「ヘ長調」の属和音(ハ長調の主和音に第7音の B を加えた和音)を鳴らしています)

 第1楽章は、その言葉どおり「ガツンと一撃」で始まり、攻撃的な第1主題と、経過句から第2主題の抒情的な部分との対比が印象的です。
 第2楽章は、不安と憧れに満ちた緩徐楽章。短調と長調の間を漂うような浮遊感。
 第3楽章はスケルツォ。シンコペーションによるユーモラスな主題で、リズムがちょっとフェイント風。
 第4楽章は、悲愴感あふれる主題がこれまた印象的です。最後はハ長調で華やかに幕を閉じます。

(2)交響曲第2番 ロ短調「4つの気質」 作品16

 第1番から10年後、1901〜02にかけて作曲。「4つの気質」とは、古代ギリシャのヒポクラテスが唱えた「4つの体液」による「四気質」に基づくもので、この曲では、
第1楽章:胆汁質:せっかち、競争好き、自信がある、未来志向。
第2楽章:粘液質:完璧主義、じっくり型、保守的、現在重視。
第3楽章:憂鬱質:気分屋、心配性、内向的、過去志向。
第4楽章:多血質:社交的、新しいもの好き、飽きやすい、現在重視。
となっています。多血質を第4楽章に持ってきたあたり、ニールセン自身は自分を「多血質」だと思っていたようです。
 4つの気質は排他的なものではなく、誰もがこの4つを合わせ持ち、どれかが優勢なのだということです。日本人の好きな「血液型性格論」に似たものなのでしょう。
 ニールセンは、この4つの気質をカリカチュアとして描いた木版画を見て、曲のヒントを得たようです。

 曲は、あまり難しく考えず、ニールセンが人間のいろいろな要素をどんなイメージで考えていたか、ということを素直に聞き取ればよいようです。
 その意味で、この曲も入門者向き。

(3)交響曲第3番 ニ短調「ひろがりの交響曲」 作品27

 1910〜11年にかけて作曲。タイトルは、第1楽章の発想記号に付けられた「アレグロ・エスパンシヴォ」(快速、広々と開放的に)に由来するようで、標題的な意味は特にないようです。
 第2楽章が「アンダンテ・パストラーレ」なので、ニールセンの「田園交響曲」と呼ばれることもあるようです。

 第1楽章は「ガツンと一撃」で始まり、分散和音風のちょっと変わった第1主題、長調と短調が入り混じった第2主題に基づき、ワルツ風になったり、変化に富んだサービス満点の展開部・再現部が楽しめます。
 第2楽章は、ゆったりとした田園風ですが、中間部では不吉な嵐の予兆もよぎります。再現部に、舞台裏からソプラノとバリトンのヴォカリーズ(歌詞のない歌唱)が入ります。それぞれ、クラリネット、トロンボーンで代替してもよいとの指定で、ボストック指揮の交響曲全集では、両方のバージョンが収録されています。
 第3楽章はホルン五度の雄叫びで開始。アレグレットだが、メヌエットでもスケルツォでもなく、シリアスで深刻な楽章になっています。
 第4楽章は、「人生の凱歌」のような広大な楽想です。対位法の手法が多用されています。

(4)交響曲第4番 「不滅(消し難いもの)」作品29

 1914〜16年に作曲され、時期からして第1次大戦の影響が色濃く反映しています。 新田ユリさんの本によると、それだけではなく、ニールセン自身の身の上にも、いろいろあった時期のようです。夫人との公式な別居・・・。
 ニールセンの交響曲の中では、最も演奏頻度の高かった曲です。やはり、タイトルの付いた交響曲は、一般受け得るのでしょうか。

 この交響曲は、単一楽章として全曲が続得て演奏されるものの、明らかに4つの部分からなります。
 第1部は冒頭から不吉な闘争をほうふつとさせる第1主題で始まります。木管の「コラール風」第2主題は、第4部にも循環主題として登場します。
 第2部は、木管の清楚な「朝の歌」風の主題で開始。人の世を忘れた「自然」の世界か、安らぎに満ちています。
 続く第3部は、「ティンパニ」による「音階」の伴奏で、弦楽器が悲愴な主題を歌います。弦がやや安らいでくると、木管に「警告」のパッセージが。一度盛り上がって沈静化した後、弦楽器の悲歌の再現から、急速に駆け上がって突如「第2ティンパニ」が加わり、第4部に入ります。
 第4部はアレグロで、2対のティンパニがバトルを繰り広げます。繰り広げられるのは、戦争(第1次大戦)か、個人的な人生や対人(奥方)との確執か・・・。第1部のコラール風主題が再現して、高らかに幕を閉じます。

(5)交響曲第5番 作品50

 1921〜22年に作曲され、1922年に自身の指揮で初演されました。ニールセンの交響曲の中では、最も人気の出そうな曲です。
 曲は、2つの楽章からなりますが、第1楽章は2つの部分、第2楽章は4つの部分からなります。
 全体として、多様な打楽器が活躍します。

 曲の冒頭は、ニールセンの交響曲としては、初めて弱音で始まります。第1楽章前半(第1部:テンポ・ジュスト)では、この3度上下する伴奏音形がずっと続きます。展開部の第1主題の行進曲風の部分では、打楽器群が活躍します。軍隊風のスネア・ドラムも何度も顔を出します。
 テンポを落として、歌が始まるのが第1楽章後半(第2部:アダージョ・ノン・トロッポ)です。木管の奇怪な「合いの手」が入ります。盛り上がった部分でのスネア・ドラムには「アド・リブ」の指定があるそうです。ちょっと「混沌」を作り出します。そして一気にブレークスルーして、平静さに戻ります。再び、軍隊風のスネア・ドラム・・・。
 第2楽章は、混沌とした「闘争」で開始し、オーボエに主題が提示されます(第1部「提示部」)。これが沈静化すると、弦にグロテスクな行進曲が始まります(第2部:主題に基づく「速いフーガ」)。次に弦から始まる主題に基づく挽歌風「遅いフーガ」(第3部)。再び第2楽章冒頭の「闘争」に戻って(第4部コーダ:テンポ・プリモ)、主題を高らかに鳴らして華やかに締めくくります。

(6)交響曲第6番 「素朴な交響曲」(シンフォニア・センプリーチェ)

 1924〜25年に作曲された。この曲でも打楽器が活躍し、曲の冒頭もグロッケンの「チーン、チーン」という響きで始まります。
「素朴な」という副題は、作曲者自身が付けたようです。おそらく、第2楽章の「フモレスケ」の特徴を表現したのでしょうか。「素朴な」というより「下品な」(失礼!)「上品ぶらない」という感じでしょうか。

 この曲でも打楽器が活躍し、曲の冒頭の第1楽章もグロッケンの「チーン、チーン」という響きで始まります。続いて、ちょっとショスタコっぽい行進曲風の主題。弦にフーガ風の主題も現れます。
 第2楽章は「フモレスケ」と名付けられた「おふざけ」楽章で、トライアングルとスネア・ドラムが活躍。木管が勝手気ままに騒ぎ立て、木管がまともになると、今度はトロンボーンのグリッサンドがユーモラス。ずっとそんな調子で。弦楽器は全面的にお休み。
 第3楽章はエレジー風で、弦楽器が連綿と歌います。ちょっとバルトーク風。後半は木管も加わります。
 第4楽章は主題と変奏です。木管の前奏の後、ファゴットで主題が提示されます。その後、9つの変奏曲が続きます。ワルツ風の第6変奏の後の第7変奏は、アイヴズを思い起こさせるような複合リズム。エレジー風の第8変奏の後、シロフォンが加わって最後の第9変奏。最後はファゴットだけが吹き伸ばしておしまい。 ばし。

(7)お薦めCD

 昔から、交響曲第4番「不滅」という曲が、タイトルの響きの良さもあって有名で、かのカラヤンも録音していました。しかし、その他の交響曲は、本当に「知る人ぞ知る」という状態でした。
 それが、このところ、前世紀末あたりから、交響曲全集がかなり出回るようになりました。代表的なものに、下記のようなものがあります。

ニールセン/交響曲全集 オーレ・シュミット指揮ロンドン交響楽団(1974年録音)

ニールセン/交響曲全集 パーヴォ・ベルグルンド指揮デンマーク王立管弦楽団(1987〜89録音)

ニールセン/交響曲全集 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮サンフランシスコ交響楽団(1987〜90年録音)

ニールセン/交響曲全集 ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮ロイヤル・ストックホルム・フィル(1992〜93録音)

ニールセン/交響曲全集 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮デンマーク国立交響楽団(1995年録音)

ニールセン/交響曲全集 ショーンヴァント指揮デンマーク国立放送交響楽団(1999〜2000年録音)

ニールセン/交響曲全集 オスモ・ヴァンスカ指揮BBCスコティッシュ交響楽団(1999〜2001年録音)

ニールセン/交響曲全集・作品集 ダグラス・ボストック指揮ロイヤル・リヴァプール・フィル(1999〜2003録音)

ニールセン/交響曲全集 テオドール・クチャル指揮ヤナーチェク・フィル(2005年録音)

ニールセン/交響曲全集 コリン・ディヴィス指揮ロンドン交響楽団(2009〜11年録音)

ニールセン/交響曲全集 アラン・ギルバート指揮ニューヨーク・フィル(2011〜14年録音)

ニールセン/交響曲全集 ストゥールゴールズ指揮BBCフィル(2012〜15年録音)

 その他、私はバースタインがニューヨーク・フィル、デンマーク国立響を、オーマンディがフィラデルフィア管を指揮して分担した交響曲全集を持っていますが、現在は出ていないようです。(バーンスタインがNo.2, 3, 4, 5 を、オーマンディがNo.1,6 を演奏)
 

4.協奏曲

 ニールセンは、シンフォニストとのことですが、特徴のある協奏曲を何曲か作曲しています

(1)ヴァイオリン協奏曲

 1911年に作曲されたので、交響曲では第3番のころ。2つの楽章からなりますが、第2楽章の前半が緩徐楽章、後半がフィナーレとしての性格を持ちます。
 古今のヴァイオリン協奏曲の名曲がひしめく中にあってはちょっと分が悪く、やはり演奏頻度は極めて少ないものとならざるを得ないのでしょう。もっと演奏されるようになっても、良さそうな気がします。

(2)フルート協奏曲

 1922年に作曲した「木管五重奏曲」から、この編成の各楽器(フルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン)のための協奏曲を作曲する計画を持ったようですが、実際に作曲されたのは、1926年に完成したこのフルート協奏曲と、1928年のクラリネット協奏曲だけでした。
 この協奏曲も2つの楽章からなりますが、第2楽章はアレグレットで始まり、途中にアダージョの部分を挟んで、行進曲風の部分で幕を閉じます。オーケストラには、トロンボーンを1本含みますが、フルートとトランペットは除かれています。
 フルート協奏曲で、トロンボーンがグリッサンドも交えて活躍しまくる、というのは、ニールセン以外には書き得ない曲かもしれません。

(3)クラリネット協奏曲

 フルートに続き、1928年に協奏曲としては最後に書かれました。オーケストラは小編成で、管楽器はファゴットとホルンのみ、打楽器はスネア・ドラムのみです。
 単一楽章ですが、全体は4つの部分からなり、
  第1部:アレグレット(ソナタ楽章に相当)
  第2部:ポコ・アダージョ(緩徐楽章に相当)
  第3部:アレグロ・ノン・トロッポ(メヌエット風)
  第4部:アレグロ・ヴィヴァーチェ(フィナーレに相当)
となっています。
 クラリネットは、上品で美しいだけではない、野性的で多面的な響きが要求されます。やはり「ちょっと変な曲」という点では、ニールセンっぽいのでしょう。

(4)お勧めCD

 個別にはいろいろCDが出ており、特にフルート協奏曲にはいろいろな優れた演奏が得ていますが、まとめて聞くには、交響曲でも取り上げた、下記のCDが演奏水準も高く、お薦めです。

ニールセン/交響曲全集・作品集 ダグラス・ボストック指揮ロイヤル・リヴァプール・フィル(1999〜2003年録音)

 

5.その他の曲

 その他、ニールセンは歌劇を2曲作っていますが、現在ではまず演奏されません。  管弦楽曲では、劇付随音楽「アラディン」(作品34、1
918〜19年)からの「組曲」が、最近ぼちぼちと演奏されるようになってきたようです。  また、室内楽としては、1920〜22年に作曲された「木管五重奏曲」(作品43)が、このジャンルでは比較的演奏される機会の多い曲です。
 

6.おまけ 〜デンマークという国

 デンマークと聞いて思い出すもの・・・アンデルセン、人魚姫、コペンハーゲン、・・・・そう、「レゴ」!
 我が家には、子供が使ったレゴのバケツや、シアトルの学会でお土産にもらった「スペース・ニードル」のレゴなどがありました。

スペース・ニードルのレゴ スペース・ニードルのレゴ(組み立てた状態)


スペース・ニードル 本物の外観

 そして、我が家のオーディオのスピーカーは、デンマークの「DALI」製です。(DALI = Danish Audio Lab. Inc. )

 でも、日本人にとって、デンマークとはちょっと直接の縁が薄い国ではないでしょうか。

(1)国土

 ドイツの北のユトランド半島と、その周辺の島からなる国で、どう見ても肥沃で豊かな土地とは言いがたい国土です。
 一見「小国」なのですが・・・。世界地図を見て、いつも不思議に思っている北大西洋の島(ほとんど大陸?)「グリーンランド」が、実はデンマーク領土なのです。「グリーンランドは、あれだけ広い面積に、人口はたったの6万人だそうです。領土的には、デンマークの自治州のひとつですが、本国とは違ってEUには所属していないそうです。
 首都はコペンハーゲンです。
 コペンハーゲンと言えば、量子力学をかじったことがある人なら、量子力学の祖であるニールス・ボーア(1885〜1962、1922年にノーベル物理学賞)とその理論物理学研究所(ニールス・ボーア研究所)に結集した「コペンハーゲン学派」を思い出すかもしれません。

(2)音楽

 デンマークの音楽家は、今回取り上げるニールセン、そして横フィルが第38回定演(1997年11月24日、鎌倉芸術館にて)で「交響曲第6番」を日本初演したニールス・ゲーゼ(1817〜1890)ぐらいしか知られていません(この2人だって、かなりマイナー・・・)。
 音楽家、オーケストラだって、あまりメジャーなものではないようです・・・。

(3)文学

 文学では、何といってもアンデルセンでしょう。童話作家と言われていますが、アンデルセン童話も、ドイツのグリム童話同様、実はかなり怖いお話が多いのです・・・。
 デンマークの首都コペンハーゲンには行ったことがありませんが、港にある有名な「人魚姫」の像は、「世界三大がっかり」のひとつに数えられることが多いようです。

「人魚姫」の像 「人魚姫」の像

 直接的な関係ではありませんが、20世紀音楽の大家、アルノルト・シェーンベルクの大作「グレの歌」の歌詞は、デンマークの作家イェンス・ペーター・ヤコブセンの未完の小説『サボテンの花開く』の中の作中詩を、ドイツ語訳したものを使っています。従って、「グレの歌」の舞台はデンマークということになります。デンマーク国王ヴァルデマール(在位1157〜82年)と、その愛人で王妃の嫉妬によって殺されたトーヴェをめぐり、トーヴェと逢い引きしていた狩猟地グレの城での愛憎の物語です。

「グレの歌」 シェーンベルク/「グレの歌」 アバド指揮ウィーン・フィル


 



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