ウィーン国立歌劇場のチケットの購入方法

2009年10月 4日作成


 2009年6月にウィーンに行った折、ウィーン国立歌劇場でオペラを楽しみました。小澤征爾氏指揮によるチャイコフスキーの歌劇「エウゲニ・オネーギン」でした。
 チケットは、旅行の日程が決まった公演の約1ヶ月前に、インターネットで購入しました。

 初めての経験で、いろいろと調べながら何とかゲットできました。本当は一度座席が決まったら変更は難しいのですが、何度かメールのやり取りをして、何とか変更してもらう体験もしました。いろいろ苦労しましたが、おかげでしくみやノウハウを知って知ることができました。(そういった冒険も、旅の楽しみの一つです)

 ということで、この経験から知ったチケットの購入方法と、若干のノウハウをまとめておこうと思います。
 あとに続く方々のご参考になれば幸いです。

 ただし、こういったしくみや手続きは、どんどん変更される可能性がありますので、ここに書いたこともあくまでそのときの現実に基づいて判断下さい。

ウィーン国立歌劇場ウィーン国立歌劇場



1.発売日と購入方法概要

(1)カテゴリー1と2のチケット(高いほうから1つ目、2つ目)
 カテゴリー1と2のチケット(高いほうから1つ目、2つ目)は、そのシーズン分のチケットすべてが6月1日から発売されます(シーズンとは、9月から翌年6月まで。つまり、3ヶ月〜1年前から発売されている)。
 それ以外のカテゴリーのチケット(上から3番目以下の安いチケット)は、公演日の1ヶ月前にならないと販売開始されません(ただし、7月・8月はシーズンオフなので、9月1日から30日のチケットは公演日3ヶ月前に発売)。従って、早めに確実に入手したければ、カテゴリー1/2の高いチケットを入手ことをお勧めします。ウィーン国立歌劇場は観光地なのでかなり料金が高めですが、寄付だと思って思いっきり優雅な気分を味わってきましょう。

(2)カテゴリー1/2以外の安いチケット(高い方から3番目以下)
 カテゴリー1/2以外の安いチケット(高い方から3番目以下)は、公演日の1ヶ月前が発売日ですので、これを入手したい場合には、1ヶ月前の発売時に購入することになりますが、事前に「予約」を入れておくことが可能です(Standby Ticket)。「予約」の場合、必ず購入できる保証はありませんが、発売前に優先的に割り当てられるものと思われます(予約が席数を上回った場合、先着順か抽選かは不明)。
 また、「予約」しておけば、仮に一度抽選に外れても、キャンセルがあったら回してもらえます(待機状態)。この「いつまで待機するか」も予約時に入力します(旅行出発日前日まで待つ、など)。
 ただし、予約の場合は「価格帯」で申し込むため、その価格の中のどの座席が当たるかはお任せするしかありません。
 なお、予約しなくとも、1ヶ月前の発売時に売れ残っていれば、1ヶ月以内でも座席を指定して購入することができます。

 旅行1ヶ月前にチケットが確保できればよい、と割り切れば、安いチケットを予約しておく、ということでもよいと思いますが、人気の演目ほどゲットできる可能性は小さくなります。どの程度の人気があるかは、既に発売済(公演1ヶ月前)の同じ演目の安いカテゴリーの残りチケット、あるいは希望する公演の発売済カテゴリー1/2の残りチケットなどを確認すれば分かります。

(注)Standby Ticket申込の際、カテゴリー1と2を含む価格帯を指定すると、先行発売しているカテゴリー1or2のチケットが割り振られてしまいます。カテゴリー1or2でよいなら、最初から座席を指定して購入した方が希望の席が確保できるのでよいと思います。
 実は、私はここで失敗してしまって、カテゴリー3のチケットを予約するときに、「Accepted price」欄にカテゴリー2〜4と書いてしまい、即刻カテゴリー2のチケットが割り当てられてしまいました。何度かメールで問い合わせ、カテゴリーの変更はできないことがわかったため、同じカテゴリー内での座席変更を依頼し、こちらは何とか希望の席に変更できました。
 Standby Ticketは、あくまで1ヶ月前発売の価格帯(カテゴリー3以下)を購入したい場合に使うのが原則です。ただし、カテゴリー1or2が売り切れの場合のキャンセル待ちに使うこともできます。

(3)立ち見
 ウィーン国立歌劇場には、立ち見の場所が相当数設けられています。これらの立ち見は、ウィーンであっても破格の値段でオペラを楽しむことができるので、体力に自信があったら相当に「お得」です。
 ただし、立ち見は当日でないとゲットできず、場所はその場での早い者勝ちです。従って、必ずゲットできる保証はないので、人気のない演目や、事前に予定を立てていなくてチケットを入手していなかった(入手できなかった)場合で時間に余裕があるときに利用するとよいでしょう(確実にゲットし、良い場所を確保するには、かなり早い時間から並ぶ必要がある)。
 

2.インターネットからの購入・予約の手順

(1)ウィーン国立歌劇場のホームページからのチケット購入

 インターネット購入の場合、まずはウィーン国立歌劇場のホームページに行きましょう。このサイトで購入する限り、手数料は一切かかりません(定価どおりで買える)。
 実際に販売を委託されているのはCulturallという業者です。

 インターネット上で、マージン・手数料を取ってチケット確保を請け負う業者もありますので注意しましょう。(そういう業者は、いわゆる「ダフ屋」として、正規にチケットが確保できなかったときに利用する?)

 ウィーン国立歌劇場のホームページから、日本語のページにも行けますが、これは「サイトマップ」の部分だけです。予約やユーザ登録画面は英語またはドイツ語のページから行うことになります。
 この日本語ページからは、歌劇場内の「パノラマツアー」(360度のパノラマビュー)でホワイエや劇場内の視覚的な体験ができます。
 また、右のメニュー欄から「チケット予約」を選ぶと、「チケット予約と入手方法のご案内」のページが表示されます。ここに、予約開始日や各種予約方法(電話、インターネットなど)の説明があります。左メニューから料金表&座席表なども見られます。
 チケット予約には、右メニューから「オンライン・チケット予約」を選ぶとチケット予約を委託されている「Cultural」のサイトに飛びますが、ドイツ語のみなので、ここから予約するのは大変です。予約は、下記に記載する「(3)演目」から予約する方が楽です。(この「Cultural」のサイトで右の「Spielplan gesamt」を選択すれば、ドイツ語の演目メニューに進むこともできますが、演目メニューは英語の方が分かりやすいので、下記(3)から行くことをお勧めします)

(2)ユーザ登録

 購入するにしても、予約するにしても、あらかじめユーザ登録しておくことをお勧めします。予約する場合、座席を指定して手続きを進めるときに、一定時間以上経過しても購入が確定していないと、タイムオーバーでリセットされてしまい、そこまで苦労して入力した予約データが無駄になってしまうことがあるからです。
 もっとも手間取るのが、ユーザデータ(住所、その他)の入力で、これをあらかじめ登録しておけば、チケット購入の時には「ユーザID」と「パスワード」も入力だけで済みます。

 登録ユーザ名は、単なるニックネームなので何でも良いですが、パスワードは自分にしか分からないようにする必要があります(そして忘れないように)。

(ユーザ登録方法)
 ウィーン国立歌劇場のユーザ登録は、私がやったときにはドイツ語でしかできませんでしたが、現在は英語でもできるようです。
 もしドイツ語で登録する場合には、下記を参考にしてください。(英語の場合でも、どの欄に何を入力すれば良いのかの参考としてください)

 ユーザ登録画面は、下記の手順で表示します。

ウィーン国立歌劇場のホームページから、日本語のページに行き、
・上部メニューの「月間公演プログラム予定」を選び、演目一覧が表示して(日本語のページはなく英語)、適当な公演を選んで「Ticket」をクリック
・これで、その演目のプライス表と、発売済であれば残枚数が表示されますので、右のメニューの下のほうにある「Login」を選択
・ログイン画面が表示され、一番上に「If you are not registered, please click on "Register"」(もし未登録なら、「登録」をクリックせよ)が表示されるので、「Registration for new customers」をクリックすると、ユーザ登録画面になります。

 ユーザ登録画面は、見ればわかると思いますが、ドイツ語/英語表示を対比して説明すると次のようになります。必要な項目を入力して(「必須」の項目は必ず入力する必要がある)、その後に下の「Benutzerdaten speichern/Save User Data」(ユーザデータの保存)を押して登録してください。

・Benutzurname/user name :(必須)利用者の名前 (6〜35文字数)
・Neues Passwort/New password :(必須)新しいパスワード (6〜35文字数)
・Passwortbestatigung/Password confirmation :(必須)パスワード確認(追認)←念のためもう一度同じパスワードを入力
・Anrede/Form of address :(必須)呼称(Mr.、Mrs.、Herr、Freu、など)
・Titel/Title :肩書き(伯爵、教授、博士、など)
・Vorname/First name :名前(姓に対する)
・Nachame bzw. Firmenname/Last name or company name :(必須)姓(苗字)、あるいは会社名
・Geburtdatum/Date of birth :生年月日(dd.mm.yyyy=日.月.西暦年)

・Vorwahl (Ohne Landesvorw.)/Area code (without country code) :(必須)電話の市外局番(国番号を除く)
・Telefon/Phone :(必須)電話番号(市内番号)
・E-Mail Adresse/Email address :(必須)電子メールアドレス

・Adresse/Address :住所
・z. Hd/For the caution of :気付
・Strasse/Street :(必須)通り(日本の場合、いわゆる住居表示の地名・町か。市町村名は下のOrtに書く)
・HausNr./House number :(必須)家番号(ドイツは、通りと建物番号で特定できるらしい。日本の場合、番地、マンション名か)
・Etage/Floor :階、フロア  (日本の場合不要か)
・TurNr./Top/Apt. :玄関番号(マンションの部屋番号)
・Plz/Zip/postal code :(必須)郵便番号
・Ort/City :(必須)村、町(日本の場合、市町村名、区までか)
・Bundesland/State/Province :連邦州、州、郡(日本は特に不要。しいて言えば県名)
・Staat/Country :(必須)国
(注)住所は、欧米式で上の順番に表示されると思われるので、自分の住所が正しく表示されるよう、適切な欄に必要項目を入れる。

下にあるボタンは、
・Benutzerdaten speichern/Save User Data :ユーザデータの保存(→これで確認して送信)
・Registrierung Abbrechen/Cansel registration :登録中止

(3)見たい公演を指定してチケット購入する方法

 ウィーン国立歌劇場のホームページから、日本語のページを表示し、上部メニューの「月間公演プログラム予定」を選び、演目一覧を表示しましょう。ここからは、日本語のページはなく、英語になります。
 ここから、希望する適当な公演を探します。公演プログラムは月ごとに表示されますので、旅行でウィーンを訪れる日が決まっていれば、その日を探します。購入したい公演が決まったら、その公演の欄の「Ticket」をクリックします。
 これで、その演目のプライス表と、発売済であれば残枚数が表示されます。

 上の「1」に書いたように、カテゴリー1/2の最も高いカテゴリーのチケットはそのシーズン前の6月1日から発売、カテゴリー3以下の安いチケットは公演の1ヶ月前が発売日です。

 公演の1ヶ月以内で全カテゴリー発売済であれば、右上の「Purchase」をクリックすると、座席表(購入可能な席が価格によって色分け)が表示されるので、ここから座席を指定して購入します。(ここ以降にはJavaがインストールされている必要があります)
 座席のエリア切替には、上の「Section of hall」または「Free place at price」を使います。表示される座席表で空いている席をクリックして希望する座席を指定して、「Proceed to payment」をクリックし、「Payment for new users」をクリックし事前に作っておいたユーザ名とパスワードを入力します(またはここで個別にユーザ情報を入力してもよいが、時間がかかるとタームオーバーでリセットされる可能性があります)。
 表示内容を確認し「Continue」をクリックし、クレジットカード情報を入力し決済完了。このページの内容がメールで来ますが、そのメールにあるAbholcodeがキーとなるので大切に保管します。

 公演1ヶ月以前の場合は、右最上段に「カテゴリー1,2のチケット:Saisonvorverkauf Preiskategorie 1 und 2」、2番目に Bookings / Stanby-Ticketsと表示されます。高い方のチケットは発売済ですぐ買えるので、これを買う場合は1番目、発売前の安い方のカテゴリーを予約する場合は2番目をクリックします。
 購入の場合は、上記1ヶ月以内と同じです。予約の場合は、次の(4)で説明します。

(4)発売日以前の場合は予約

 公演1ヶ月以前にカテゴリー3以下の安いチケットの入手を希望する場合には、見たい公演の「Ticket」をクリックした、その演目のプライス表の表示画面から、右上段2番目の「 Bookings / Stanby-Tickets 」をクリックして予約します。

 予約するには、条件として、下記項目を入力する必要があります。

※ Standby-Ticket/Bestellung mit Registrierung

(入力項目)
・Desired price per seat (特に欲しいチケットの価格帯)
・Accepted price per seat (チケットの希望価格帯)
・Minimum amount of tickets(チケットは最低何枚必要か?)
・Maximum amount of tickets(最大で何枚ほしいか?)
・Allow assignement of single seats(バラバラ席でも良いか?)
・Allow assignement of seats with view restriction(見えない席でもいいか?)
・Corner seats necessary(端の席が必要か?)
・Corner seats desired(端の席を要望)
・Bitte geben Sie Ihren Platzwunsch an.(何か連絡事項があれば)
・last possible assignement (いつまでキャンセル待ちするか)

 「Proceed to payment」をクリックし、「Payment for new users」をクリックし事前に作っておいたユーザ名とパスワードを入力します(またはここで個別にユーザ情報を入力してもよいが、時間がかかるとタームオーバーでリセットされる可能性があります)。
 表示内容を確認し「Continue」をクリックし、クレジットカード情報を入力し予約完了します。予約内容の確認がメールで来ます。そして、発売日(公演の1ヶ月前)に席が確保できれば、メールで連絡が来るはずです。そのメールにあるAbholcodeがキーとなるので大切に保管しましょう。

(5)チケット現物引取り

 引き取りは、ウィーン市内の国立劇場連盟の窓口で行います(営業時間は、月曜から金曜まで8:00〜18:00、土日祝は、9:00〜12:00、第1土曜日とクリスマス前4週間の土曜日は9:00〜17:00)。場所は、国立歌劇場の正面から見て、左側の道路を100mほど進んだ左側です。
 開演直前の引き取りの場合は、劇場窓口(歌劇場のホワイエ)で、開演の遅くとも30分前までに引き取りましょう。
 

3.購入・予約後の問合せ

 私の場合、購入後に何とかカテゴリーの変更ができないかと交渉しましたが、結局不可能と分かりましたが、同じカテゴリー内での座席変更はできました。
 このための交渉は、まずはチケット販売を委託されている Culturall という業者と行いましたが(メールアドレス: ticket@culturall.com )、ここは一度販売した後は変更する権限がないので、変更交渉はウィーン国立歌劇場のチケット係(メールアドレス: kartenvertrieb@wiener-staatsoper.at )と直接行いました。
 いずれも、オーストリア人はドイツ系のまじめで几帳面な民族ですので、きちんと規則どおりに対応してくれました。
 座席変更はウィーン国立歌劇場のチケット係と直接交渉してくれ、と言ってきた Culturall に、「無事変更できたよ」と報告したら、「よかったね。ウィーンを楽しんでね」と返事をくれました。いい人たちです。

 何かあれば、上記のメールアドレスに問い合わせてみればよいと思います。誠意をもって臨めば、相手も誠意をもって対応してくれると思います。Good luck!



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