新しい視点からの軟膏療法 
Medical Tribune 2010.06.10
・第109回日本皮膚科学会 
・東京逓信病院 皮膚科 江藤部長
●ステロイド外用剤の副作用に対する誤解
 ・長期使用で皮膚の色素沈着、肥厚がというのは誤解→使用法を遵守すれば起こりえない
 ・使用量を加減して中途半端に使う→皮膚炎を抑えきれず、皮膚の破壊が進行し苔癬化する
●軟膏の混合調製に注意
・乳剤軟膏特に親水軟膏(O/W型)は混合で乳化が破壊され皮膚透過性が低下し、血管収縮作用が減弱
   ・リドメックス軟膏+ケラチナミン軟膏→ステロイド透過性が半減
・吸水性軟膏(W/O)の混合は皮膚透過性が亢進し作用が増強
   ・リドメックス軟膏とパスタロンソフトまたはヒルドイドソフトステロイド透過性が2〜5倍高まる
ステロイド外用剤の皮膚透過性は含量ではなく基剤に溶けている濃度に関係する→製品間で大きな差あり

・日本医科大学皮膚科幸野教授
●ステロイド外用剤と発ガン
 ・きわめてまれにステロイド外用剤使用者にリンパ腫が見られる
 ・リンパ腫には難治性の皮膚病変を伴うことがある
 ・FDA発表のタクロリムス軟膏とリンパ腫の発生は疫学的に相関がある→相関関係と因果関係は違うことに注意
 ・J Allergy Clin Immunol 2009;123:111-116
  ・ピメクロrムス、タクロリムス使用者にはリンパ腫発症はなかった
  ・ステロイド外用剤使用者で用量依存性にリンパ腫がリスクが増加
・しかし、リンパ腫には皮膚症状を伴いやすい強力なステロイド外用剤でも効かないものではリンパ腫を疑う(まれだが)


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