ごえん性肺炎の抗生剤 m3comカンファレンス 抜粋 2010.10 2010.10.13までの投稿内容 |
◎・呼吸器病学会が、院内肺炎治療のガイドライン、市中肺炎治療のガイドラインあり ・ガイドラインでは誤嚥性肺炎については嫌気性菌が原因であることも多い ・ダラシンとペニシリンの併用、ペネム系などが推奨されていたよう ・肺炎を軽症、重症に分けて選ぶべき抗生剤を指定 ・現実的にはを考えて、誤嚥性肺炎をおこす患者は高齢で体力も弱っていることが多い ・誤嚥性肺炎の患者さんはほとんどがガイドラインの重症になる ・結局良くはないと言われているのはわかりながらもペネムを使ってしまう ◎・感染症専門のICTがいるのでカルバペネムの使用は制限されている ・多くは、ユナシン(ABPC/SBT)で治癒 ・一部、緑膿菌の感染が疑われるときに、スルペラゾンや、タゾシンを使用 ◎・誤嚥性肺炎は脳血管障害などを有する高齢者が主体 ・微熱でも重症例が多いこ ・起炎菌は口腔内常在菌が主体で肺炎球菌・インフルエンザ菌・黄色ブ菌・嫌気性菌そして緑膿菌など ・混合感染が多いので、喀痰の培養結果が出るまで経験的に好気性および嫌気性菌の療法に有効な薬剤を選択すべき ・第1選択はやはりβーラクタマーゼ阻害剤配合のPC ・症例によっては第3世代のセフェム ・次にカルバペネムあるいはクリンダマイシンなど ・たとえばユナシン(1.5)×2回/日、高齢者では腎障害を考慮して3/4〜1/2量をdiする ・基本的に反復性なので再発防止も重要 ・たとえば口腔ケアや唐辛子少々などの日常生活の改善 ・高血圧症例ではACE-阻害薬がサブスタンスPの増加作用があり ◎・耐性菌の観点から、ペネムにかたよるのは良くない ・が、今までにユナシンS3gx2/日でうまくいかなかった症例もあり ・ゾシン4.5gx3回/日は今のところ良く奏功 ・ユナシンは、3.0g×2回/日よりも、1.5g×4回/日のほうがよいかと思う ・効かない症例は、投与方法と血中濃度の問題、細感受性がない、膿胸のように抗菌薬の到達しにくい病巣 ・または診断自体が違っていた(とこずれ、尿路感染など)など ・カルバペネムだから、うまくいくというものでもない ◎・緑膿菌もしくはMRSAが検出済みの方以外はSBT/ABPCを第一選択 ・ペニシリンは高用量でも副作用が少ない ・SBT/ABPCでは1.5g×4(3g×2)もしくは1.5g×3(+ABPC1g×3)から使用 ・基本的にβラクタムは高齢者でも遠慮せずに使っている ・DPCでもあり、基本的に短期で勝負 ・治療の基本は誤嚥という原因がある以上、抗生剤の治療以外の要素が非常に重要というのはもっとも。 ◎・重症肺炎の場合はやむを得ずカルバペネムになることも多い ・MRSAが考えられる場合はABK+SBT/ABPC ・結構アミノグリコシドの感受性がMRSA・Psuedともに高い ・どんな場合にMRSAを考えるのかが大きな問題 ◎・クリンダマイシンは意外と耐性化が進んでいる ・明らかにCD(Clostridium difficile)トキシンの報告が増加すること)から、あまり推奨しない ※C.difficileは、芽胞を形成するグラム陽性の偏性嫌気性桿菌で抗生物質などの投与中に、腸炎を引き起こす菌として知られている。 ◎・ユナシン1.5g/1hrを6時間おき ・ゾシン4.5g/3hrを8時間おき ※ゾシン(大正製薬):β-ラクタマーゼ阻害剤配合PIPC(タゾバクタムナトリウム・ピペラシリンナトリウム) ・まずこのいずれかを投与することが多い ・嫌気性菌にユナシン耐性が多い印象なので、使えればゾシンにしている ・あとは喀痰/吸引痰培養待ち ◎.ACE阻害剤rのほかに、漢方薬の半夏厚朴湯も増加効果がある ◎・Peptostreptococcus spp.、Fusobacterium nucleatum、Prevotella melaninogenicaなど ・横隔膜の上の嫌気性菌は耐性が少なく、Peptostreptococcus spp.などはペニシリンで十分 ・すべて合わせてもCTRXで十分カバー ・BLNAR(β-lactamase-negative ampicillin-resistent H.inflluenzae)やPRSP(penicillin-resistant-Streptococcus pneumonie:ペニシリン耐性肺炎球菌)の事を考えると、CTRXの方がいい ※BLNAR:β-ラクタム薬、アンピシリン、セフェム系薬に、一見感受性があるようにみえながら耐性を示す ・Bacteroidesカバーは不必要と考えるので、CTRXを主に使用 ◎・院内の誤嚥性肺炎はVAP(人工呼吸器関連肺炎:Ventilator Associated Pneumonia )も含めて耐性菌が多いので、TAZ/PIPC(ゾシン)なども使う ・カルバペネムが第一選択になるシチュエーションはない ◎・誤嚥性肺炎と言っても色々 ・CTM(パンスポリン)が効く場合もあるし、 ・第4世代セフェム+α、ペネム+αでも効かない場合も多々ある ・定期的に喀痰培養検査を施行し、抗生剤の選択をすべき ・何も情報がない場合は軽症なら第3世代セフェムあたりから開始 ・重症なら肝腎機能を見つつ、上記2種のような併用、第4世代セフェム+GMまたはCLDM等 ◎・老健では使える薬は限られる ・ロセフィンのゾロ、スルペラゾンのゾロ、セファメジンのゾロしか置いていない ・この3種類でなんとかしている ・ペネムは病院でも使いづらいですし高い、そこまでは不要 ・モノによっては腎障害も怖いし検査も出来ない老健では使えない ・喀痰培養はまずできない 丸めだから ◎・大切なことは絶食にすること ・家族と相談してリスクを理解してもらい、食事はとろみ水からスタート、ステップアップ ・家族にはっきりと誤嚥していますと伝えること ・1度誤嚥すると必ず再発すること、場合によれば窒息もありうること ・そのような事態に蘇生を希望するか、病院に搬送するか まで家族と詰められる所まで詰めておく ・誤嚥予防にタナトリルや漢方というのは老健では無理 ・ケアの介入のほうが大切だし効果的 ◎・できうる限り抗生剤は使わないようには心がけている ・少々の発熱では経過を見ることも多い ◎・老人保健施設などの病院でない施設での医療行為は金銭的にかなり制約される ◎・ユナシンは嫌気性菌などを含め、多くの菌で効きにくくなってきている ◎・クリンダマイシンとアミノグリコシドなら筋注が可能 ・胃管が使用可能なら、クリンダマイシン筋注+ニューキノロン内服って手も ・クリンダマイシンとアミノグリコシドまたはニューキノロンの併用は、用法は違うがガイドラインにも記載があったはず |