温水洗浄便座による院内感染するか? m3comカンファレンス要約 2010.11.01 |
・ノズル先端の汚染は汚い、とくに集団生活トイレでは ・排便が終わるやいなや流水を直接に肛門に当てる ・血液なども付着し 次の方の肛門めがけて噴射されると、容易に肛門わずかな傷口に、前の方の残した体液が入る。 ・便器は丁寧にお掃除されますが、ノズルを出してそこまで手作業でお掃除しない ・環境感染学会での報告(2008年) ・思ったよりノズル先の菌の検出は少ない ・最近の大手のウォシュレットではひっこんだときにノズルの先を自動洗浄 ・ウォシュレットのノズルは汚れやすいので清掃は必要ですがこれが感染経路になるというエビデンスはない ・HBVやHCVがトイレの便座やウォシュレットの水を介して感染するリスクについては、極めて低く問題にする必要がない ・これは通常の入浴や食器や箸を共用しても感染リスクとはならないのと同様 ・ただ、トイレが血だらけになっている状態であればそれは別問題 ・こんなことでHBV、HCV、HIVの方々を差別することは許されない ・便座附属の洗浄器が不衛生、院内感染の原因になるなどは思い付き、患者に使用するななど笑止千万 ・入院歴のない外来患者の直腸内容物の細菌培養検査で無症候性のMRSAを検出,膣内容物にMRSAや、多剤耐性の肺炎桿菌を見たこともある ・危険だと結論つけている訳では決してないが、「安全」というのも「神話」に過ぎない 肛門粘膜を直撃するものだけに、用心には用心を重ねる必要がある ・東京の産婦人科のDrの報告で、高齢者の女性では温水便座使用によって膣内の善玉菌であるデーデルライン桿菌が消失し、膣内細菌叢が悪くなるという(日本産科婦人科学会の欧文誌に発表) ・.肝臓専門医として。 ・HCVの感染力は非常に弱く夫婦間や性行為でも感染はまれ ・HBVはHCVに比し感染力が強い→仮に洗浄器で感染しているならB型肝炎が集団発生しているはず ・ノロウイルスは感染源が便だけに更に感染しやすいと思う ・理論上は洗浄器で感染するとはとても可能性が低いと思う ・院内感染をしたと考えるなら塩基配列(できればE2/NS1領域)まで調査する必要 ・HBVやHCVよりもノロウイルス ・ノズルに付着した血液は希釈され、かつきわめて微量→HBVやHCV、ましてHIVが感染するとは到底考えられない ・ノロウイルスは洗浄時に飛沫として飛び散ったり、臀部に付着したものが便座についたりして院内感染の原因になることが予想 ・当院では、ノロウイルスの患者が一人でも発生すれば、その病棟のHCトイレを使用禁止 ・すべてポータブルトイレかオムツに変更 ・介護者・看護職員すべて接触予防策で病棟の全患者に対応 ・ノロ患者が共用トイレを使用することはアウトブレイクのリスクを高くするので避けるべき ・症状消失後どれくらいしたら共用トイレを使用してよいかというデータはない ・洗浄ボタンを押すとノズル保護管の中或いは少し先端部が出て、初期排水が開始(ゴミ洗浄と温水温度安定のため)。 ・終了すると、ノズル格納前の洗浄が行われ、保護〜格納 ・肛門への排水の反動で飛び散って、ノズルよりも、ベん座、背部の蓋、床、自分自身の衣服へも付着する ・ノズルからの可能性は非常に低く、むしろ経口粘膜感染の可能性が大 ・トイレでの感染ルートで、とりわけ高いのは、水洗ボタンとドアノブからの感染は既に報告 ・当院でのトイレ周辺に関する感染予防 ・各トイレの水道の無接触化(赤外線化などによる) ・エアータオルは配置できず、ペーパーパータオルの配置 ・トイレドア外に消毒薬の配置 ・便器については、ウォシュレット化については便座周囲の汚染の問題あり ・そのため、個室内にも噴霧式の消毒剤を配置し、使用前に噴霧を励行 ・手洗いの励行 ・看護師は全員携帯式の消毒薬をポケットから吊るしている ・ノロを疑わせる患者は、基本的に入院はさせない。 ・必要ならば、個室内へ隔離しノロの迅速検査を施行 |