高濃度ビタミンC治療は癌に効果があるのか
m3comカンファレンス2010.11
【まとめ】
・有効とする論文
 @Intravenously administered vitamin C as cancer therapy: three cases
   CMAJ March 28, 2006; 174 (7). doi:10.1503/cmaj.050346.
 AThe Use of Antioxidants with First-Line Chemotherapy in Two Cases of Ovarian Cancer 
   Journal of the American College of Nutrition, Vol. 22, No. 2, 118-123 (2003)
・1番目に紹介されている論文は、3名のみの症例報告で
 『ここに報告した症例はビタミンCが良好な結果をもたらすことを証明するものではない』と書いている
・2番目の論文は卵巣がんに関する2例報告、それも化学療法併用。
 『実際、報告された症例が示すように化学療法に付加された抗酸化剤が化学療法の効果を高めるかもしれない』
・この二つの論文で、効果ありとするのは疑問
Phase I clinical trial of i.v. ascorbic acid in advanced malignancy 
 Annals of Oncology Accepted May 7, 2008
 ・24名でdose upしていって、体内動態を見ている
 ・結果:すべての薬物用量で副作用、毒性はほとんどなかった。客観的にみて抗癌効果は認めなかった。
 ・結論:すでに治療が行われた進行癌患者での高濃度ビタミンCの静脈内投与は副作用はなかったが抗癌効果も認められなかった。
・日本の保険適応VCは保存用の添加物を含有し、高容量ではその副作用が問題となる
 ・アメリカから純粋のビタミンCを輸入して使用し、さらにPHの調整し、点滴には3時間程度必要
 ・原価が数千円と高価ですので費用対効果を考え、1-1.5万円程度は暴利とは言えない
 ・血中濃度が確か3000ppmぐらい以上なければ効果が認められないとも聞いたことがある
・2010年の日本泌尿器科学会のポスターセション207
 ・高濃度ビタミンC治療と低用量エストラムスチンの併用が有効であったホルモン抵抗性前立腺癌の1例、高橋智宏
  ・骨転移のあるSTGED2例で治療前PSA値745.5が治療後6か月で5.3まで下降して良好な状態である
 ・希望の新・抗ガン剤!超高濃度ビタミンC点滴療法 水上治著 《健康増進クリニック院長》 PHP出版
 ・USA個人輸入品の1V25gのビタミンC、製品名:(ASCOR L 500)を週に1回50グラムを点滴。
 ・効くと思えば何でも行ってみたいのが、癌患者の信条
・高濃度ビタミンC療法はその詐欺的治療法の最右翼
 ・エビデンスのない治療法ばかりがん患者さんに薦めている
 ・奏功したと称している例の大半の例は別の治療法を併用している
 ・医師はエビデンスのある治療を行うべきで、それ以外の治療法をするときは臨床試験のように患者にICを行った上で行うべき
・・etc
私見)
時に抗がん剤が奇跡的に効いた症例を経験する。VCでなくても抗がん剤でもある。
・子宮癌で肺にメタした患者でヒスロンHが効いて肺メタが消失、20年くらい経過するが再発はない
・原発性肝癌でフトラフールが著効してほとんど腫瘍が消えてしまった(4年はフォローしたがその後は不明)

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