便培養の有効性
日医雑誌 139(5) 2010.08
・便倍の限界
 ・多くの下痢は自然治癒するかウイルス性で1日くらいで軽快
 ・脱水、発熱、血便、膿状便でない場合は発症24時間以内の便倍は必要ない
 ・EHEC以外の病原性大腸菌(enterotoxigenic,enteropathgenic,enteroaggregative,enteroinvasive Escherichia coli)、毒素型食中毒の原因菌の毒素産生Clost・いつ提出するのがよいのか
 ・便培養での原因菌検出率は1.5〜5.6%
 ・以下の場合は外来初診時に提出
  @免疫不全の患者(HIVを含む)
  A合併症リスクの高い併存疾患のある患者
  B重症の炎症性下痢(血便を含む)
  C炎症性腸疾患をもつ患者(原疾患の悪化との鑑別)
  D食品を扱う職業の患者(現場復帰のための陰性化の確認)
 ・入院して3日以降の下痢は便培養に提出すべきではない
  ・入院中に食中毒を発症する可能性はきわめて低い
  ・有用な情報は得られない
  ・入院中の感染性下痢の起炎菌でもっとも多いのはClostridium defficile(DCI)→偽膜性腸炎
   →通常の便倍では検出不能でCDトキシンの検査を行う
・便提出時の注意
 ・採取後はすみやかに提出(時間が経つと常在菌が増加し検出しにくくなる)
 ・外注の場合はCary-Blai(キャリア・ブレア)培地の入った輸送用の試験管を使う
 ・肛門挿入スワップは病原菌の量が少なく偽陰性の原因となる。
 ・カンピロ、腸間出血性大腸菌(EHEC:enterohemorrhagic Escherichia Coli)特殊培地を必要とするのでオーダー時注意
 ・エロモナ属、エルシニア属を旅行歴などから疑う場合はそのことを検査室に伝える
ridium perfringens、ブドウ球菌、セレウス菌はルーチン検査では培養されない


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