アナフィラキシーにアドレナリン皮下注ではなぜダメなのか?
Nikkei Medical Online2010. 3. 24
・アナフィラキシーで心停止に至るまでの平均時間(報告)
 ・医原性(薬剤投与など)の場合は5分
 ・ハチ毒では15分
 ・食物では30分
・アナフィラキシーの症状が治療で落ちついた後に再度アナフィラキシー症状が出現(2相性反応)することがある
 ・最初の反応から8時間から最大72時間以内
・アドレナリンの血中濃度が最高値なるのは、皮下注射で34分後、筋肉注射で8分後
 ・筋肉注射の方が早期に血中濃度の上昇する
・アナフィラキシーの初期薬物治療のアドレナリンには厳密なエビデンスはない
・倫理的にRandomized Control Trialを行うことは難しい
・アナフィラキシーの対応
・アドレナリン
 ・1:1000のアドレナリンを0.01mg/kg(最大0.5mg)筋肉注射
  ・大人:0.3mg〜0.5mg(1000倍希釈で0.3〜0.5mL)を大腿前外側(外側広筋)筋注
  ・小児:0.01mg/kg 最大0.3mg
  ・5〜15分ごとに必要に応じて繰り返す
・抗ヒスタミン剤
 ・静注 
 ・H1:ジフェンヒドラミン 20〜40mg(小児1mg/kg)
 ・H2:ラニチジン 50mg(小児1mg/kg)
  ※保険では抗ヒスタミン薬の適応疾患にアナフィラキシーは含まれない
  ※蕁麻疹の場合、ジフェンヒドラミンは保険適用。
・ステロイドは2相性反応の出現率に影響を与えていないという報告
 ・静注でメチルプレドニゾロン 1〜2mg/kg/日 6時間ごとに分割して
・一般的処置
 ・血管確保をし、大量補液
 ・バイタルサインをモニター
 ・酸素6〜8L/分をマスクで投与
 ・仰向けに寝かせて、下肢を挙上する
・アドレナリンにもバソプレッシンにも抵抗性のアナフィラキシーでメチレンブルーを使用して効果があったという報告
 ・Del Duca, D et al. Use of methylene blue for catecholamine-refractory vasoplegia from protamine and aprotinin. Ann Thorac Surg 2009;87:640-642
参考)
アルギニンバソプレシン(AVP)はアドレナリン受容体ではなく、血管平滑筋のV1受容体を介して血管収縮作用
アナフィラキシー発症時に多量の一酸化窒素が生成されて血管拡張性ショックが起こる
メチレンブルーは一酸化窒素の血管平滑筋弛緩作用を抑制する
 ・4%メチレンブルーを1.5mg/kg(120mg)1回投与し、その後必要に応じて120mgを点滴(CLINICIAN 2009 No.582)

もとに戻る