サムスカ
Medical ASAHI 2011.05
サムスカ(トルバブタン)2010年12月、大塚製薬が販売開始
・心不全、浮腫の治療薬だが通常の利尿剤と異なり水だけを排出し、Naは排出しない
・心不全治療での問題点
 @どういうタイプの心不全か
  ・高血圧症、心房細動など心筋症
  ・特発性心筋症などの心筋変性
 A病態が分かったが治療はどうするか
 ・収縮力をパワーアップしてよいのか
 ・低ナトリウム血症をどうするのか
低Na血症でなぜ悪い?
 ・低Na血症→血管外への水分流出→浮腫増加し、血管内ボリュームは増加しない→腎血流量が増加しない→尿量は増加しない、肺鬱血も改善しない→利尿剤に反応しない
・サムスカはバゾプレッシンが受容体に結合するのを妨げる
 ・バゾプレッシンは血管を収縮させて集合管からの水の再吸収を促進
 ・飲酒するとバゾプレッシンの分泌が低下するため尿量が増える
 ・動脈圧と静脈圧は心房の圧受容体、浸透圧は前視床下部→視床下部アルギニンバゾプレッシン(AVP)産生細胞に伝達→バゾプレッシン産生→腎の集合管にあるAVP-V2受容体
 ・V1受容体は血管平滑筋の収縮
・経口非ペプチド性バソプレッシン受容体拮抗薬のフィズリン(モザバプタン)大塚製薬1989年発売
 ・本薬は吸収効率、代謝産物に問題
・サムスカ有効症例
 ・88才、男性、慢性心不全 退院後56Kg→65Kg
 ・ラシックス使用でNa119mEq/Lで増量不可
 ・サムスカ投与で1日4Lの低張尿で浮腫改善
サムスカの問題点
 ・橋中心髄鞘崩壊症(central pontine myellinolysis:CPM)の症例報告は現在の所ない
 ・低Na血症でNaClを補給しながらサムスカを投与すると意識レベル低下、けいれん(CPM)が起こるのではないか
  ・Na補給は5mEq/L/dayまでに
 ・口渇を訴えられない患者には投与に注意
参考)
●橋中心髄鞘崩壊症 (CPM)
ナトリウム欠乏の場合は塩化ナトリウムを補充する。
48時間以内に25mEq/l以上のナトリウム補正をすると橋中心髄鞘崩壊症 (CPM) を起すことがある。
引用:フリー百科事典Wikipedia【詳細
フィズリン(モザバプタン)
効能:異所性抗利尿ホルモン産生腫瘍による抗利尿ホルモン不適合分泌症候群における低ナトリウム血症の改善(既存治療で効果不十分な場合に限る)
警告:「急激な血清ナトリム濃度の上昇により橋中心髄鞘崩壊症を来す危険性」と「生殖細胞に染色体異常を誘発する危険性」
禁忌:「妊婦または妊娠している可能性のある婦人」(染色体異常)

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