床ずれや皮膚潰瘍に陰圧療法
日経新聞夕刊 2011.08.19
・床ずれ(褥瘡)や糖尿病の潰瘍に特殊な被覆材などを傷に貼り密閉し、吸引して減圧し周辺組織の再生を促進
・傷には大きく分けて2種類
 ・切り傷や軽いやけどなどの急性の傷は、そのままにしておいても通常は1〜2週間で治治癒
 ・2〜3週間しても体の治癒力だけでは治らない傷を慢性(難治性)の傷
  ・長時間の圧迫などで毛細血管などの血流が途絶え、周辺の組織が壊死する床ずれ
  ・糖尿病性の潰瘍など。
・陰圧療法の適用例
 ・慢性の傷の中でも細菌感染、組織の壊死で傷口がふさがりにくいもの
・具体的な陰圧療法のやり方
 ・傷口の形に合わせて切ったスポンジを当て、上から被覆材をはって密閉
 ・被覆材に細いチューブを入れてコンピューターで制御した専用装置で吸引、陰圧
 ・2日に1回スポンジを交換
 ・約3週間行う
・2009年に専用装置が厚生労働省の承認、10年4月1日から保険適用
・陰圧療法が有効な理由
 ・傷を密閉・保護しながら細菌を含んだ老廃物や、体内からの過剰な浸出液を吸引除去
 ・機械的な吸引刺激が、上皮細胞の土台となる肉芽組織の周囲からの侵入促進
・装置の承認は海外の主要国に比べて15年ほど遅れた
・国内11医療機関で約80人を対象の臨床治験では、傷の閉鎖期間が従来平均63日超が約18日に短縮
・陰圧療法で傷も小さくなるため、皮膚の一部移術が簡素化でき、患者の負担も軽減
・通院による外来治療不可、入院が必要
・費用は陰圧療法だけで自己負担分が3万〜9万円、入院費や手術費は別
・治療が比較的長期になり、入院期間短縮方針に合わない
・日本褥瘡学会が全国約400の病院や介護施設などを対象にアンケート調査では入院患者の約2〜5%で褥瘡
・在宅介護の場合は頻度があがる
・糖尿病や動脈硬化などで足の末梢動脈な閉塞による潰瘍患者数の急増
参考)陰圧閉鎖療法
 陰圧閉鎖療法(英語:NPWT、Negative pressure wound therapy)、別名局所陰圧療法、減圧閉鎖創傷療法、減圧被覆法とは、慢性、難治性の創傷の治療に用いられる技術であり、1度や2度の熱傷に対しても延用される。
この療法は、患部環境を被覆し管理された負圧を掛けることによって、慢性の局所創傷の治療を促進させる医療技術であり、被覆材を使用して患部を密閉し、吸引ポンプに接続する。
創傷管理におけるこの技術の採用は1990年代から2000年代にかけて劇的に増加した。
陰圧閉鎖療法を検証する多くの研究がなされ、とりわけキネティック・コンセプト社(KCI)の陰圧補助閉鎖療法によるものがその代表である。
単にVAC療法、VACセラピーといった場合は特にこのKCI社のパテントであるVACシステム、正式には「V.A.C.RATS治療システム」を指す。
発表された論文の査読により、陰圧閉鎖療法は他の処置と比較して効果的であると評価されている。
2008年のコクランの再検討では、論文は有益な効果があると主張しているがデータは難治性創傷治癒率の際立った増加は見せていない、と報告された。
しかし査読追試の方法論に不備があったとして、それがさらなる研究を呼ぶこととなった。
2010年の組織的な検証では、この治療法が足の糖尿病性の慢性創傷の治癒を促進するという証拠が得られたが、他の症例では確たる証拠が得られなかった。
引用:フリー百科事典Wikipedia【詳細

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