治療がうまくいったはずなのに 『実践ケーススタディR』より Medical Tribune 2011.11.24 |
症例 75才女性 経過 2年前、膵がん、大腸がんの手術。DMでインスリン治療。入院前日に言動が異常、入院当日意識不明、入院後、インスリン治療でいったん意識は回復したが再度悪化。 |
・高齢者の意識障害の原因 ・神経疾患、感染症、代謝性疾患、心血管疾患 ・本症例は膵臓手術を受けているので→Blind loop内の細菌感染によるVB1欠乏の可能性 ・高血糖→DKA(糖尿病性ケトアシドーシス)、NKHC( 非ケトン性高浸透圧性昏睡)? ・インスリン使用で意識レベルは著明に回復 ・その後、興奮状態となり、ぼうっとするようになり、意識障害出現 →甲状腺機能低下症、腎不全の可能性 →高CO2血症、電解質異常、せん妄の可能性 →NH3の上昇はないか?(肝機能障害がないときこそ有用) ・NH3の上昇を認める ・NH3の産生が亢進 ・産生亢進→激しい運動、消化管出血、高タンパク食 感染症→ウレアーゼ産生菌による尿路感染 ・多発性骨髄腫でも報告あり ・回腸への尿路変更→腸管で尿からのNH3再吸収 ・NH3の処理の低下 ・門脈体循環短絡 ・尿素サイクルを抑制する薬剤→バルブロ酸、大量のサリチル酸 ・機序不明の薬剤性→カルマゼピン、プロプラノロール ・尿素サイクル酵素の欠損(主に小児) ・造影CTで門脈内に腫瘍塞栓、SMAにも血栓か腫瘍塞栓 ・腸管膜静脈が左卵巣静脈を介して左腎静脈にシャント ・ラクツロース投与で一時的に意識は改善したが1ヶ月後に死亡 |