心肺停止の救急患者の死亡診断
CLINICIAN 2000 No.493 28
回答:新潟大学法医学教授 山内春男
死亡診断書は死亡に立ち会い、死亡を診断した場合に書く
死体検案書は死亡に立ち会わず、死体を検案した場合に書く
死亡時刻は死亡を確認した時刻ではなく、死に至ったと判断した時刻
心肺停止で搬送された場合
 ・来院前に死亡と判断した場合は死体検案書
 ・来院後蘇生し、その後死亡した場合は死亡診断書
・死亡の根拠
 ・自発呼吸、刺激に対する反応、心電図所見
 ・臓器移植法では臓器を提供する者に限って『脳死』を死と認める
  ・一つの定義で死を統一することが困難?
  ・自発呼吸があることは脳死ではない
  ・心停止・呼吸停止後の瞳孔散大、対光反射消失は『脳の死』を意味する
  ・無呼吸テストによる自発呼吸の消失、脳幹反射の消失を確認して『脳の死』と診断
・さかのぼって死亡時刻を決めたとき
 ・死亡時刻以後に行った蘇生処置は保健医療として請求可能か?
  ・医学的に妥当な医療行為と判断して医療費請求可能
明らかに病死と判断でき、外因の関与が否定できる場合を除いて『異状死体』と考える
 医師法第24条で所轄警察署に届け出る義務がある
・治療後に死亡した場合は『異状死体』の届け出義務に該当しないという解釈もある
・犯罪性の有無を判断するのは困難
 →本人、家族の同意を得て入院後できるだけ早い時期に警察に連絡


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