未払い患者への「取り立て屋」 |
【日経メディカル メール 2012.8.31】2012年8月31日 |
・ミネソタ州司法長官がミネソタ大学病院の親会社の債権取り立てを担当する会社に対し調査に乗り出した。(2012年4月) ・患者に対して恐喝まがいの強硬な取り立てを行い、患者のブライパシーを侵害しているというもの。 ・同会社の傘下の救急病院で尿管結石で受診した患者が診察前にクレジットカードで750~700ドルを請求された。 ・アメリカの医療には3つのタイプがある ①民間医療保険→市場原理に基づく ②メディケア、メディエイドの政府供与の医療保険→病院には十分な利益が出ない ③無保険者 ・いろんな制度があるため大きな事務コストがかかる→診療報酬請求額の半分を占める ・アメリカの無保険者は4900万人 ・無償診療が増加し、2010年には3億1110万ドル(損失金) ・オバマ大統領の医療改革で無保険者の解消を目指したが、一方で高品質医療を定額でという圧力 ・代金をきちんと回収しなければ病院運営が成り立たないという現実 ・取り立て会社は強引な取り立て法をマニュアル化して病院スタッフを指導 ・救急部、産科病棟では「支払いをしなければ医療の提供に影響が出ますよ」とほのめかす ・病院スタッフもノルマを達成できないと解雇されるかもしれない ・州司法長官の調査に全面的に協力する姿勢を示し、取り立て会社との契約を破棄した。→同社の株が40%下落 ・それに対し取り立て会社の顧問弁護士は「州司法長官の非難は事実無根、医療費高騰に拍車をかけ、患者のモラルを下げる」との声明を発表 ・利潤追求サバイバルゲームの結果、統合が進み、競争がなくなりつつある。→医療機関の統合 ・アメリカの医療は市場原理に基づいて自由に価格が決められている→医療費の高騰→未払い患者の増加 →取り立て会社が生まれる ・病院の親会社は高額のコンサルタント料を取り立て会社に支払っていた。→病院は評判を落とした ・受診患者に“Thank you card”=「うちの会社の病院を選んでくれてありがとう」を配っていた ・医療に対して過度にビジネスを持ち込むと金のことが心配で安心して医療を受けられない ・オバマ大統領の医療改革で無保険者減らす、それに対して「医療保険加入の強制は違憲」と最高裁に訴える→合憲の判決 ・医療とビジネスのバランスをとるのは容易ではない. |