MRI検査が可能なペースメーカー Nikkei Medical On line 2012. 11. 7
・MRI対応型のペースメーカーAdvisa MRI」が2012年10月1日より発売(保険償還価格は108万円、従来型より8万円高)された。
MRIによるペースメーカーのトラブル
 ・ペースメーカーにつながるリードの先端が発熱して心臓組織を損傷
 ・磁場から発生したノイズがリードを通して心筋に刺激を与える、例えば300回/分での拍動を指示など
 ・ペーシングが停止
・改善点
 ・リード線内側のコイルの直径、巻きのピッチを調整して、熱がコイル部分で拡散しやすいようにした
 ・電磁波による回路への干渉を防止するためフイルターを挿入しノイズをカット
 ・回路デザインの変更でノイズの干渉を受けにくくした
・米国や欧州での臨床試験の結果
 ・「Advisa MRI」使用でMRI検査施行の211人と無施行の201人で比較
 ・MRI手技関連合併症は0件、両群で差がなかった
・MRI対応ペースメーカー(「Advisa MRI」)使用者でMRIを行ってもよい条件
 ・患者はMRI対応ペースメーカーの証明カードを提示すること。
 ・植め込み後6週間を経過している
 ・MRIは1.5テスラのトンネル型に限定。
 ・患者の体内に他のMRI非対応のデバイスが植め込まれていない
 ・検査中はパルスオキシメーターか心電図モニターで心拍を連続的に監視する。
 ・検査機関は放射線科と循環器科を標榜している医療機関であること。
 ・所定の研修を修了した循環器科医がMRI検査の安全性を確認し、この循環器科医がMRI検査の依頼すること。
 ・検査前に循環器科医が安全性を確認し、検査前後にペースメーカーの設定変更を確認する。
 ・MRI対応ペースメーカーであるマーカーを確認すること。
・問題点
 ・救急搬送され患者に手順が厳密に守られるか?
 ・循環器内科医に負担が大きくなる
・年間3万〜4万人が新規にペースメーカーを植めこみ
・MRI対応型が主流になるだろう、遅くとも5年以内には全メーカーがMRI対応型となるだろう
・年間1.5万人から2万人のペースメーカー交換患者にはまだ従来型が使用される可能性がある
・MRI対応型に比し従来型の値引きを大きく設定すればMRI対応型の普及は遅れるだろう。
従来型ペースメーカーでもMRI検査は可能か?
 ・最近、従来型でもMRIを安全に行える可能性を示す論文(米Johns Hopkins大学のSaman Nazarian et al、Ann Intern Med2011.10.4)
 ・ペースメーカーのプログラムやモードを事前に変更し、誤作動のリスクを最小限に抑てMRI検査を実施
 ・デバイスの機能異常は生じたが、短期的にも長期的にも、臨床的にも問題症状、健康被害は認められなかった。
 ・この手法を一般化して採用するのまだ難しい。
 ・このようなMRI検査のプロトコール作ってもペースメーカーへのMRIの影響は防げない。
海外ではペースメーカー植め込み患者にMRIを実施した報告例は多い
 ・FDAの見解(2005年)は「限られた条件で行われており、MRI使用が安全との証明ではない、機器の改良が必要である」
従来型ペースメーカー装着者にMRI検査を行うのはリスクが大きい
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