慢性骨髄性白血病の治療の変遷 |
日医雑誌 1440(3) 2011年6月 |
・1960年22番目の染色体長腕欠損が発見されフィラデルフィア染色体(Ph)と命名 ・1973年9番染色体と22番染色体の相互転座を発見 ・転座により形成されたBCR-ABR融合遺伝子がCML発症に関与しているらしい ・BCR−ABL遺伝子によってBCR−ABL蛋白が形成→高チロキシナーゼ活性→幹細胞で異常クローンの増殖 ・CMLでは慢性期は無症状→芽球増加(移行期)→急性転化 ・1980年インターフェロンα治療導入→約20%でPh染色体の消失効果(細胞遺伝学的完全寛解:CCyR) ・1980年以降同種骨髄移植が行われるようになった ・無病長期生存率は50% ・50才以下で診断後1年以内には第一選択 ・1990年代、ドナーリンパ球輸注(DLI):ドナー由来のTリンパ球による移植片対白血病効果(GVL) ・2002年、BCR-ABLチロキシナーゼ特異的阻害薬(TKI)の開発→イマチニブ(グリペック:ノバルティスファーマ)(分子標的治療薬) ・BCR-ABL融合蛋白の活性化に必要なATP結合部位に競合的に結合→BCR-ABLの活性化を阻害 ・慢性期CMLの第一選択薬 ・治療開始後8年の全生存率は85% ・イマチニブの問題点 ・不耐容、耐性症例の出現 ・約50%にABLキナーゼb部分の点突然変異の出現 ・高額医療費 ・妊娠・出産などの問題 ・イマチニブ耐性対策 ・ニロチニブ(タシグナ)(2010年12月初発慢性期CMLに保険承認)、ダサチニブ(スプリセル)の開発 |