胃液の漏れによる胃瘻周囲の発赤に対する対策
m3comカンファレンス13/03/22
◎カンファレンスでのご意見まとめ
・栄養剤の漏れや嚥下した唾液などが腹圧上昇時に漏れ出す。
・胃瘻の場所が原因では、正中から離れている、胃低部に作られた場合に多い。
 ・PPIは少し効果なかった。→栄養剤による接触性皮膚炎が原因
 ・PEG部が胃内で最も上になるようにして注入すると少し改善  
 ・ティッシュをPEGに巻き付け、頻回に交換
 ・座位の時にPEG部が陥凹していないか?
 ・ベビーオイルを周囲に塗る。
 ・固形栄養剤がは大量の漏れがある場合有効

・以下の対策はどうか
 1:栄養投与方法を変更→IVHにする
 2:胃瘻の開口部から腸ろうに
 3:固形化した栄養剤に
 4:流動食の量を減らす
 5:同じ量を24時間持続注入
 6:自律神経障害 はないか?
 7:狭窄性病変はないか?→ガストログラフィンで造影、ファイバー検査
 5:薬物の影響は?

・アルブミンが減少→やせ→腹筋が落ちる→穴を塞ぐ力が落ち
・バルーンで押さえ過ぎると血行不良で壊死になる

・朝注入後、プラスティック製ガイドワイヤーを通して抜去密封→次の朝まで絶食
 ・次の朝残したガイドワイヤー下に再挿入してみては?
 ・閉鎖した場合はガイドワイヤーを大きな接子で把持したままグリグリ拡張して挿入
・漏れが生じるというのは予後が良くない→入れ替えなどの侵襲的な処置は避けたい
・年齢的に注入量が過剰ではないか?
 ・88歳なら400ml×2回+αでも十分だろう
・半固形栄養剤投与は胃の蠕動が正常に機能していることが前提

・胃腸の運動機能不全が考えられる場合→胃瘻カテーテルを抜去→瘻孔より小腸チューブ挿入
 ※小腸挿管(PTEGJまたはJET-PEG) 、クリニーのPEJチューブ
 ・透視下で瘻孔から細径の内視鏡をトライツを超えて挿入→鉗子孔からガイドワイヤー(イレウスチューブ用)を留置
 →内視鏡は抜去→ガイドワイヤーを残して→小腸チューブをかぶせて挿入
   ※22Frのネオフィードジェジュナルチューブ
 ・小腸投与になるので初めの注入はできればポンプを使用して低速投与
 ・漏れや胃食道逆流に対しては極めて有効

アズノ―ル軟膏にFOYを混じて軟膏を作成し使用(FOYは保険適用外)

やってはいけないこと
 @PEG径を大きくする→一時的に、漏れは改善するが、瘻孔が拡大する
 Aダンパーの締めつけをきつくする→一時的に漏れが減るが、皮膚や胃粘膜に圧が加わり、潰瘍や圧迫壊死を起こす。(ダンパー埋没症候群)

・瘻孔が広がる原因に一番多いのはPEGチューブに常に側方からの外力が加わっている状態
 ・PEGチューブも腹壁に垂直に固定されていない→チューブが盛り上がる→チューブが腹壁に倒すような形で固定
  →PEG瘻孔に横方向への外力→瘻孔は拡大
 ・PEG自体に横方向の外力が加わらないように、チューブが腹壁から垂直に飛び出るような形で固定
 ・特に瘻孔周囲に強固な固定具→アルケア社のペグケアという貼付剤
  ※ペグケアは直径5cmくらいのやや厚く硬い円形のテープ剤で、中央にPEGを通す穴が開いている。
  ※ペギケアは皮膚を保護する目的だが、PEGに側方からの外力に対して瘻孔を守ってくれる。
・だいたい1週間くらい使って、瘻孔が安定したら使用を中止。
 ・また横漏れし出したら、ペグケア再開。

・良かれと思ったことはやってみては?
 ・PIなど制酸薬使用、経験上アルロイドGも有効。
 ・びらん面を水洗い→穴ラップか、アズノール塗布

・NEW PEJは
 ・つまりやすく、入れ替えが面倒
 ・薬が閉塞の原因になるので水薬に変更
 ・コストが高い

・PEJが詰まりやすいのは胃瘻カテーテル内腔を通す細いタイプを使うから
 ・22Frだとほとんど詰まらない
 ・簡易懸濁法での薬剤投与を行っている
 ・チューブのメンテナンスに水道水フラッシュと10倍酢によるお酢ロックは必須
 ・最近ではコーラがよいという報告もある
 ・交換期間は2か月ごとに透視でガイドワイヤー下交換で5分くらい

・ペグケアーは吸収性の無い被覆材で安価で便利、びらん面でも皮膚固着しにくい

・ペグケアは漏れの初期で皮膚びらんがない時、あるいはびらんが軽度な時は極めて有効
・びらんがひどくなったらペグケアでも難しい
 ・ペグケアーに加え、胃瘻栄養を一時的に中止し、IVHで胃瘻の減圧を行うのがよい
・ペグケアーの固定不十分→ペグケアーと皮膚の間に胃液が入り込んでさらに悪化の例もある

ペグケアの代用に100均のお化粧用パフに切り目を入れて間に挟む
 ※化粧用パフはラテックス製のものが多い→ラテックスアレルギーの人には使えない

PEG−Jで胃瘻のびらんは改善したが、時々難治性の下痢になる人がいる
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