PPIはNSAIDsにより胃潰瘍を防ぐが小腸潰瘍は防げない
 MEDICAMENT NEWS 2006年10月15日
・PPIがヒトのNSAIDs小腸潰瘍を抑制するというエビデンスは今のところない
 ・実験的ラット小腸NSAID潰瘍モデルでPPIが潰瘍形成を抑制する
  ・腸内細菌叢にPPIが何らかの影響をもたらしている 
  ・PPIが粘膜上皮に,ある種のストレス応答蛋白を誘導し粘膜保護作用を発揮するのでは
臨床的にはPPIを投与した例でも高頻度でNSAIDs小腸粘膜傷害が起こっている。
・小腸潰瘍に対してはPPIの効果は期待できない。
・レバミピド(ムコスタ)がインドメタシン小腸傷害に効果あり
「胃潰瘍診療ガイドライン」
胃潰瘍があった場合はNSAIDsを中止するか,中止が不可能ならばPPIあるいはPG製剤により治療する,H. pylori除菌が潰瘍治癒,あるいは再発防止に有効とのエビデンスはない
・「NSAIDs胃潰瘍例におけるH. pylori感染率は非NSAIDs胃潰瘍の感染率に比べて有意に低い
 
・H. pylori感染は胃潰瘍,特に前庭部潰瘍の発生に対しては防御的に働く(川崎医科大学の春間賢教授)
・H. pyloriがある程度,保護的に働いている場合があるので,除菌せずにNSAIDs投与を継続すべき
・低用量アスピリン投与でも上部消化管出血(UGIB)は非服用者より多い(Sakamoto, C. et al. : DDW/AGA, May,2006)。
 ・低用量アスピリンであっても消化管出血のリスクは回避できない
 ・低用量のアスピリンでも持続服用していると,PG産生が大きく阻害される。
・胃潰瘍対策としてアスピリン腸溶錠が開発されたが、小腸粘膜傷害が多ければ,腸溶剤という剤型も再考が必要
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