CRE(Carbapenem resitant Enterobacteriaceae)とは
日本内科学会雑誌103(11) 2014年11月10日
・CREとはグラム(-)菌に有効なカルバペネム系抗菌薬に耐性の腸内細菌属の総称
・代表的な菌種は肺炎桿菌と大腸菌
・耐性機序
 ➀抗菌薬不活化酵素の産生(カルバペネマーゼ)
 ➁抗菌薬の作用点への到達阻害(透過性の低下)
 ➂抗菌薬の作用点の変化
 ➃作用点の保護
・CREの問題点
 ・いままでの院内感染問題菌は緑膿菌やアシネトバクターによる日和見感染
  ・CREは人の腸管に生息する一般的な腸内細菌である
 ・カルバペネム系以外のPC系、ニューキノン系、アミノグリコシド系にも耐性
 ・2010~2012年のヨーロッパでのCRE菌血症の死亡率は50%
・日本でのCREの状況
 ・2012年6月アジア地域で治療を受けた70代男性の喀痰から、広範囲薬剤耐性CRE検出
 ・2014年大阪で110例のCREのアウトブレイク
  ・国立病院機構大阪医療センターで過去3年間に入院した約110人の患者が保菌・感染していた。
   現在は10人程度でいずれも無症状
20109月15日~12月28日多剤耐性菌実態調査
 菌種 IMP型  KPC型 NDM型 
 E.Coli  23  -  -
 Klebsiella Pneumonie  19  2  2
 Enterobacter Cloacae  22  -  -
 Prividencia属  3    
 Serratia marcesens  3    
 Citrobacter属  2    
 ・まだ,日本ではCREの検出頻度は低い
・CREの検出方法の問題点
 ・CREがセファリスポリナーゼを同時に産生している場合があり、薬剤感受性結果だけでは識別困難
 ・細胞膜の抗菌薬透過性低下+セファリスポリナーゼ過剰産生でカルバペネム耐性を示すことあり
 ・古い感受性判定基準ではカルバペネマーゼ産生菌でも感受性と判定されることあり
 ・接種菌量が多いとMICが高くなり耐性と判定してしまう可能性あり
・CREの治療はどうすればよいのか
 ・BC(ブレイクポイント・チェッカー・ボードプレート)法で感受性のある抗菌薬を併用する
  ・単剤治療より併用治療の方が生存率が高い
 ・チゲサイクリン(2012年承認)、コリスチン(未承認)製剤の使用
  ※チゲサイクリン:タイガシル点滴静注用50mg(ファイザー製薬)
  ・蛋白合成を阻害し、静菌的に作用
  ・MRSA、VRE、ESBL産生菌、MDRA、MDRPなどに有効
  ・日本での適応:フルオロキノロン、カルバペネム、アミノグリコシド中2剤耐性のG(-)菌
  ・緑膿菌には抗菌活性なし
  ・菌血症、腎盂腎炎の治療には不適(肝排泄のため)
  ・髄液・骨・関節には移行が悪い
  ・日本では肺炎が適応外(エビデンスがない)  
 ・コリスチン( colistin)
   ・細胞質膜を傷害することにより殺菌的に作用する。
   ・腎毒性、神経毒性が強いため、注射薬としては使えない。
   ・エンドトキシンとの親和性が高く、中和作用がある
   ・G(+)菌、嫌気性菌には無効
   ・プロテウス、セラチアには無効
   ・肺への移行は悪い(肺炎での使用には注意)
 私見)どうもよう分からん・・・・
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