「高齢者の安全な薬物療法GL」10年ぶりに改訂 老年医学会がパブリックコメントを募集
日経メディカル電子版 2015/4/2
日本老年医学会は4月1日、「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」の10年ぶりとなる改訂に向け、同学会のウェブサイトでパブリックコメントの募集を開始した。意見の公募期間は4月24日まで
今回公表されたガイドライン(案)は、系統的レビューによるエビデンスと推奨度を基に、厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業)「高齢者の薬物治療の安全性に関する研究」研究班と国立長寿医療研究センターが共同で指針としてまとめた。

以前のガイドラインで「高齢者に対して特に慎重な投与を要する薬物のリスト」としていた項目は、中止を考慮するべき薬物・使用法のリスト「ストップ」と改訂。高齢者への投与が安全性に比べて有効性に劣る、もしくはより安全な代替薬があると判断された薬物をリストとしてまとめた。

 具体的に「ストップ」に記された処方例は、認知症やてんかん発作・失神の既往歴のある患者への抗精神病薬、パーキンソン病患者へのクエチアピン以外の抗精神病薬、認知症患者へのハロペリドール、クロルプロマジン、レボメプロマジン、糖尿病患者へのリスペリドン、オランザピン、アリピプラゾール、クエチアピンなど。

 一方で、強く推奨される薬物・使用法については新たに「スタート」と名付けたリストで収録している。この項目は過少医療の回避を目的としており、系統的レビューの結果から、高齢者でも有用性が高いと判断されているにもかかわらず、医療現場での使用が少ない傾向にあるものを選定してまとめている。「スタート」には、パーキンソン病薬やインフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンなどが盛り込まれた。

 「ストップ」「スタート」のリスト以外には、精神疾患や神経疾患、呼吸器疾患、循環器疾患など領域別に指針を示した他、薬物有害事象を回避する方法や服薬管理・薬剤の一元管理の工夫などがまとめられている。
高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015(案)
もとに戻る