脳梗塞後の嚥下障害に有用な薬剤
「脳卒中治療ガイドライン2009」では、ACE阻害薬、シロスタゾール、アマンタジンの3つが挙げられている。
①ACE阻害薬
高齢者高血圧患者を対象とした3年間の観察で、ACE阻害薬群では、他の降圧薬群に比べて肺炎発症率が約1/3に減るこ(東北大学の報告)。
ACE阻害薬がブラジキニンを介して咳反射を亢進し、誤嚥を防いでいる。
※ACE阻害薬で稀だが小腸血管性浮腫を起こす.急性腹痛症状で発症する.(Am J Roentgenol 2011; 197: 393)
➁シロスタゾール
本邦の脳梗塞患者を対象とした臨床試験CSPS(Cilostazol Stroke Prevention Study)のサブグループ解析において、投与開始3年後における肺炎合併率は、プラセボ群2.81%に対して、シロスタゾール群0.56%。
シロスタゾール投与で気道と血液中のサブスタンスP濃度が上昇し、サブスタンスPの経路を活性化させる、、嚥下機能を改善する。
※シロスタゾール(プレタール)は抗血小板作用と脳血管拡張作用。
③アマンタジン
日本人ではドーパミンが豊富に存在する大脳基底核にラクナ梗塞を起こしやすい。ドーパミンの減少は,迷走神経知覚枝から咽頭や喉頭・気管の粘膜に放出されるsubstance P(SP)量が低下する。SPは嚥下反射および咳反射の重要なトリガー物質で、その減少は嚥下反射と咳反射を低下させる.
ドーパミンを補充すれば誤嚥性肺炎は予防が可能と考えられる.
大脳基底核でのドパミン遊離促進薬アマンタジン(シンメトレル)投与で肺炎発症率が低下した。
誤嚥性肺炎に罹患した患者に抗菌薬+ACE阻害薬+シンメトレル併用で抗菌薬使用量が半減し,在院日数、死亡率も有意に減少した。
⑤半夏厚朴湯
嚥下反射時間が短縮する。
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