1484:ナノナイフNanoknife
正式には不可逆電気穿孔法Irreversible electroporation (IRE)という
『ナノナイフの原理』

 針を腫瘍を取り囲むように刺し、針と針の間に 3,000 ボルトの高電圧を1 万分の1秒の短時間のパルス電流を流すと癌細胞に小さな穴が開けて死滅させる。針は長さ 15 cm 、太さ 1.1mm で、皮膚の上から、超音波ガイド下で行う。針の先端に電気が流れる電極部分があり、その長
さは膵がんの場合 1.5 cm に調節します。針と針の間隔は 2 cm で、2 cm大 の癌なら 4 本刺すと取り囲むように針が配置される。針の 5mm 外側まで通電され、約 3cm の球状の範囲の細胞が死滅する。
 通電時間は 1 回のパルス当たり 100μ秒(1 万分の1秒)、 1 秒に 1 回の間隔で 80~160 回通電し、治療時間は 8~16 分くらい。
 ナノナイフは現時点で(2016年時点)保険適応はない、費用は230万円くらい。
膵がんのナノナイフ治療の適応は、遠隔転移や腹膜播種の無い「切除不能の局所進行膵がん」。
手術で切除できないが、膵臓の中とその周りにとどまっている膵がん(局所進行膵がん)。
日本のステージ分類でステージ4a が治療の対象。
抗がん剤治療しかできない膵臓がんをステージ3にもっていき手術を可能にすること。
【ステージ4a】
がんが膵を超えて膵内胆管や十二指腸、膵周囲組織に浸潤があり、二群リンパ節まで転移があるもの。
あるいは、がんが膵を超えて膵臓周囲の血管に浸潤があるが、リンパ節転移がないか、一群リンパ節までに転移を認めるもの。
ナノナイフの適応はステージ4aでステージ4bでは対応範囲を超えているため、適応はなく抗がん剤治療が適応となる。
 ※山王病院 がん局所療法センター
 もとに戻る