1489:トリプル吸入療法 |
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●これまで慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療 ①長時間作用性抗コリン薬(LAMA) ②長時間作用性β2刺激薬(LABA) ③合剤(LAMA/LABA) ●COPDに対する吸入ステロイド薬(ICS)とLABAの合剤の効果 LABA単剤と比べてCOPD増悪の頻度を抑制する:Cochrane Database Syst Rev 2012;(9):CD006829。 、増悪を繰り返す患者にはICS/LABAを用いるのが一般的 ●それでも効果が悪い症例にトリプル吸入療法(LAMA/LABA/ICS)が有効か? FULFIL試験が発表された(Am J Respir Crit Care Med 2017年4月4日オンライン版)。 ●FULFIL試験とは 対象:重症COPD患者 方法:トリプル吸入(フルチカゾンフランカルボン酸/ウメクリジニウム/ビランテロール)(エリプタ)1日1回 ※商品名:レルベア(フルチカゾン・ビランテロール) ※商品名:アノーロ(ビランテロール・ウメクリジニウム) ICS/LABA(ブデソニド/ホルモテロール:シムビコート)のと1日2回 期間:24週間治療を比較 臨床的に有意なCATスコアの改善がトリプル吸入療法群で観察された。 SGRQスコアで有意な改善が見られた。ただし、ベースラインのCATスコアが17点台という重症例での比較で、実臨床では改善に大差はないかもしれない。 |
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●FLAME試験(N Engl J Med 2016;374:2222-2234):ICS/LABAとLAMA/LABAの比較 LAMA/LABA(インダカテロール/グリコピロニウム):(ウルティブロ®)とICS/LABA(サルメテロール/フルチカゾン)):(アドエア®)の比較試験 結果: ①ICS/LABA群よりもLAMA/LABA群の方がCOPD増悪回数を減少させ、増悪までの期間も延長させた ②ICS/LABA群の肺炎の頻度は、LAMA/LABA群よりも高かった。 ③COPDに対してLAMA/LABAを使うメリットはある ④ICS/LABAをあえて用いるメリットはない ※ICSが肺の免疫応答を減弱させ、肺炎のリスクを増加させる、肺が弱った高齢者で肺炎の増加させる |
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トリプル吸入療法は、肺機能・自覚症状を改善するが、肺炎リスクは上昇する。 しかし、死亡リスクを上昇させるほどのものではない 現時点で、COPDの治療は、軽症のCOPDであってもLAMA/LABAを用いるべきという風潮、さらにすすんで、トリプル吸入療法を早期から行うべきという意見もでてくるだろう。 |
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※SGRQ COPD QOL評価 SGRQ(St。 George’s Respiratory Questionnaire)は COPD における疾患特異的な健康関連 QOL 評価尺度として開発された。 質問票は 50 項目から成り、Symptom(症状)、Activity(活動)、Impact(衝撃)の 3 つに分けてそのスコアが計算される。その 3 スコアを合計して総スコアを求める。 •・Symptom(症状):咳、痰、喘鳴、呼吸困難といった症状の頻度と程度 •・Activity(活動):呼吸困難によって制限される日常生活あるいは呼吸困難を生じさせる日常生活の活動レベル •・Impact(衝撃):COPD により影響を受ける社会活動や心理的な障害など 各コンポーネントのスコアは、すべての項目の重みの合計に対する陽性回答の重みの合計の割合(%)で示されます。 各スコアは 0~100 の範囲で、「0」は障害がない状態、数値が大きいほど障害 |
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