1506:認知症検査
 表1 認知機能検査(スクリーニング検査)
1) HDS-R(Hasegawa's Dementia Scale-Revised:改訂長谷川式認知症スケール)(所要時間:6-10分)
 HDS-Rは年齢、見当識、3単語の即時記銘と遅延再生、計算、数字の逆唱、物品記銘、言語流暢性の9項目からなる30点満点の認知機能検査である。HDS-Rは20点以下が認知症疑いで感度93%、特異度86%と報告されている7)。
2) Mini-Cog(2分以内)
 Mini-Cogは3語の即時再生と遅延再生と時計描画を組み合わせたスクリーニング検査である8)。Mini-Cogは2点以下が認知症疑いで感度76-99%、特異度83-93%であり、MMSEと同様の妥当性を有する9)。
3) MoCA(Montreal Cognitive Assessment)【検査はこちらから参照可能、検査方法はこちらから参照可能】(10分)
 MoCAまたはMoCA-J(Japanese version of MoCA)は視空間・遂行機能、命名、記憶、注意力、復唱、語想起、抽象概念、遅延再生、見当識からなり、MCIをスクリーニングする検査である10,11)。MoCAは25点以下がMCIであり、感度80-100%、特異度50-87%である10, 12)。MoCAはMMSEよりも糖尿病患者の認知機能障害を見出すことができる13)。
4) DASC-21(Dementia Assessment Sheet for Community-based Integrated Care System-21 items: 地域包括ケアシステムにおける認知症アセスメントシート)(5-10分)
 DASC-21は認知機能障害と生活機能障害(社会生活の障害)に関連する行動の変化を評価する尺度で、介護職員やコメディカルでも施行できる21の質問からなる。また、DASC-21 は臨床的認知症尺度(Clinical Dementia Rating, CDR)と相関があり、その妥当性が報告されている14,15)。
5) MMSE (Mini-Mental State Examination:ミニメンタルステート検査)(6-10分)
 MMSEは時間の見当識、場所の見当識、3単語の即時再生と遅延再生、計算、物品呼称、文章復唱、3段階の口頭命令、書字命令、文章書字、図形模写の計11項目から構成される30点満点の認知機能検査である。MMSEは23点以下が認知症疑いである(感度81%、特異度89%)16,17)。27点以下は軽度認知障害(MCI)が疑われる(感度45-60%、特異度65-90%)18-20)。
●長谷川式認知症スケール(HDS-R)
1:歳はいくつですか?
 2年までの誤差は正解
 不正解 0点 正解 1点

2:今日は何年の何月何日ですか? 何曜日ですか?
 年・月・日・曜日が正解でそれぞれ1点ずつ
 年  不正解 0点 正解 1点
 月  不正解 0点 正解 1点
 日  不正解 0点 正解 1点
 曜日  不正解 0点 正解 1点

3:3私たちが今いるところはどこですか?(正答がないときは5秒後にヒントを与える)
 自発的に答えられた 2点
 5秒おいて「家ですか?病院ですか?施設ですか?」 の中から正しい選択ができた 1点
 不正解 0点
4:これから言う3つの言葉を言ってみてください。
 あとの設問でまた聞きますのでよく覚えておいてください。
 以下の系列のいずれか1つで行う
 ・系列1a)桜b)猫c)電車
 ・系列2a)梅b)犬c)自動車
 言葉ごとに各1点ずつ
  3つ正解 3点
  2つ正解 2点
  1つ正解 1点
  不正解 0点  
5:100から7を順番に引いてください。(aに正解のときのみbも行う)
a) 100―7は?
b) それから7を引くと?
a、b各1点ずつ
(aの答えが不正解の場合、bは聞かない)
不正解 0点  正解(93) 1点
不正解 0点  正解(86) 1点
6これから言う数字を逆から言ってください。(aに正解のときのみbも行う)
a) 6―8―2
b) 3―5―2―9
a、b各1点ずつ
不正解 0点  正解(2-8-6) 1点
不正解 0点  正解(9-2-5-3)1点

7:先ほど覚えてもらった言葉(問4の3つの言葉)をもう一度言ってみてください。
正答がでなかった言葉にはヒントを与える
自発的に答えられた
1つの言葉につき各2点
ヒント a) 植物 b) 動物 c) 乗り物 を与えたら正解できた
1つの言葉につき各1点
不正解
0点
8これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言って下さい。
1つずつ名前を言いながら並べ覚えさせる。次に隠す。
時計、くし、はさみ、タバコ、ペンなど必ず相互に無関係なものを使う。
 1つ正答するごとに1点
 5つ正解 5点
 4つ正解 4点
 3つ正解 3点
 2つ正解 2点
全問不正解 0点1つ正解 1点
9:知っている野菜の名前をできるだけ多く言ってください。
答えた野菜の名前を記入する。
途中で詰まり、約10秒待ってもでない場合にはそこで打ち切る。
  正答数ごとに右記点数
 正答数10個以上 5点
 正答数9個 4点
 正答数8個 3点
 正答数7個以上 2点
 正答数6個以上 1点
 正答数0~5個 0点正答数6個 1点
 合計得点     点
質問内容の解説
1:年齢 2:日時の見当識 3:場所の見当識 4:言葉の即時記銘 5:計算
6:数字の逆唱 7:言葉の遅延再生 8:物品記銘 9:言語の流暢性

< 注1 >30点満点で、20点以下のとき、 認知症の可能性が高いと判断される。
< 注2 >認知症の重症度別の平均点
非認知症:24.3点/軽度認知症:19.1点/ 中等度認知症:15.4点/ やや高度認知症:10.7点/
高度認知症: 4.0点

評価スケールの結果について

■20点以下の方
→認知機能が低下が日常生活に影響を及ぼしている可能性があります。
この結果だけで即に認知症と診断されるものではありませんが、医療機関への相談をお勧めします。
>> 医療機関での認知症の相談とは?(相談の流れをわかりやすく解説)

■21点以上の方
→認知機能の低下がに日常生活に影響を及ぼしている可能性は低そうです。
ただし、テストの結果は21点以上でも、気になる状態がある方は医療機関に相談してみましょう。
ミニメンタルステート検査(Mini Mental State Examination、MMSE)
長谷川式簡易知能評価スケールに比べると、MMSEは・国際的に広く使われている
・質問項目(動作を必要とする問題)が多く複雑といった違いがあります。
MMSEの評価方法
テストが終わったら、採点した合計点から認知症の疑いがあるかどうかを確認します。
30~27点 正常
26~22点 軽度認知症の疑いあり
21~ 認知症の疑いが強い
健常者が21点以下を取ることは極めてまれ。
認知症自己診断テスト(プリント版)2016.11改訂版
運転免許更新時の認知症検査用紙
「検査用紙」(117KB)
「イラスト(パターンA)」(260KB)
「イラスト(パターンB)」(188KB)
「イラスト(パターンC)」(291KB)
「イラスト(パターンD)」(296KB)
「採点方法」
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