1511:各種感染症の登校禁止期間
   登校(園)の基準
インフルエンザ
 
 発症した後 ( 発熱の翌日を 1 日目として )5 日を経過し、かつ解熱した後 2 日を経過するまで出席停止とする ( 幼児にあっては、発症した後 5 日を経過し、かつ解熱した後 3 日を経過するまで )。抗ウイルス薬によって早期に解熱した場合も感染力は残るため、発症 5日を経過するまでは欠席が望ましい。
 百日咳  特有の咳が消失するまで又は 5 日間の適切な抗菌薬療法が終了するまで出席停止とする。
 麻しん
 発しんに伴う発熱が解熱した後 3 日を経過するまでは出席停止とする。 ただし、病状により感染力が強いと認められたときは、更に長期に及ぶ場合もある。
流行性耳下腺炎
(おたふくかぜ)
 耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後 5 日を経過し、かつ全身状態が良好になるまで出席停止とする。
 風しん 発しんが消失するまで出席停止とする。 
 水痘
(みずぼうそう)
 全ての発しんがかさぶたになるまで出席停止とする。
 咽頭結膜熱
(プール熱)
 発熱、咽頭炎、結膜炎などの主要症状が消退した後2日を経過するまで出席停止とする。
結核  病状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認められるまで(目安として、異なった日の喀痰の塗抹検査の結果が連続して3回陰性となるまで)出席停止とする。 それ以降は、抗結核薬による治療中であっても登校(園)は可能。なお、抗結核薬の予防投薬は、出席停止に該当しない。
 髄膜炎菌性髄膜炎  症状により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認められるまで出席停止とする。
 腸管出血性大腸菌感染症
 有症状者の場合には、医師において感染のおそれがないと認められるまで出席停止とする。無症状病原体保有者の場合には、トイレでの排泄習慣が確立している5歳以上の小児は出席停止の必要はない。
5歳未満の小児では2回以上連続で便培養が陰性になれば登校(園)してよい。手洗い等の一般的な予防法の励行で二次感染は防止できる。
流行性角結膜炎  眼の症状が軽減してからも感染力の残る場合があり、医師において感染のおそれがないと認められるまで出席停止とする。 なお、このウイルスは便中に1か月程度排出されることもまれではないので、登校(園)を再開しても、手洗いを励行する。 
4 その他の感染症(第三種の感染症として扱う場合もある) 
感染性胃腸炎
ノロウイルス感染症、ロタウイルス感染症など 
症状のある間が主なウイルスの排出期間であるが、回復後も数週にわたって便からウイルスが排出されることがある。下痢、嘔吐症状が軽減した後、全身状態の良い者は登校(園)可能だが、回復者であっても、排便後の始末、手洗いの励行は重要である。
サルモネラ感染症(腸チフス、パラチフスを除く)、カンピロバクター感染症 下痢が軽減すれば登校(園)可能であるが、菌の排出は長く続くことがあるので、排便後の始末、手洗いの励行は重要である。
マイコプラズマ感染症 症状が改善し、全身状態の良い者は登校(園)可能である。
インフルエンザ菌感染症、肺炎球菌感染症  発熱、 咳せきなどの症状が安定し、全身状態の良い者は登校(園)可能である
溶連菌感染症 適切な抗菌薬療法開始後24時間以内に感染力は失せるため、それ以降、登校(園)は可能である。
群溶血性レンサ球菌が原因となる感染症である。扁へん桃炎など上気道感染症、皮膚感染症(伝染性膿のうかしん痂疹の項を参照)、猩しょう紅こう熱などが主な疾患である。 特に注意すべき点は、本症がいろいろな症状を呈すること、合併症として発症数週間後にリウマチ熱、腎炎を起こすことである。 そのため、全身症状が強いときは安静にし、確実な抗菌薬治療を受け、経過を観察する必要がある 
伝染性紅斑 発しん期には感染力はないので、発しんのみで全身状態の良い者は登校(園)可能である。
急性細気管支炎(RSウイルス感染症など) 発熱、咳せきなどの症状が安定し、全身状態の良い者は登校(園)可能だが、手洗いを励行する
EBウイルス感染症 解熱し、全身状態が回復した者は登校(園)可能である。
単純ヘルペス感染症 口唇ヘルペス・歯肉口内炎のみであれば、マスクなどをして登校(園)可能。発熱や全身性の水疱ほうがある場合は欠席して治療が望ましい。
帯状疱疹 全ての発しんが痂か皮化するまでは感染力があるものの、水痘ほど感染力は強くなく、水痘のような空気感染・飛沫感染はない。病変部が適切に被覆してあれば接触感染を防げるため、登校(園)可能である。ただし、保育所・幼稚園では、免疫のない児が帯状疱疹患者に接触すると水痘にり患しやすいため、感染者は全ての皮疹しんが痂か皮化するまでは保育児と接触しないこと。また、水痘が重症化する免疫不全宿主(水痘ワクチン接種を受けておらず、白血病や免疫抑制剤で治療中の者)がいる場合には、感染予防に対する細心の注意が必要である。
手足口病 本人の全身状態が安定している場合は登校(園)可能。流行の阻止を狙っての登校(園)停止は有効性が低く、またウイルス排出期間が長いことからも現実的ではない。手洗い(特に排便後、排泄せつ物の後始末後)の励行が重要。
ヘルパンギーナ 全身状態が安定している場合は登校(園)可能であるが、長期間、便からウイルスが排出されるので、手洗い(特に排便後、排泄せつ物の後始末後)の励行が重要。
主として咽頭、口腔くう内粘膜に水疱ほう、潰瘍を形成するのが特徴の熱性疾患である。 原因となる病原ウイルスが複数あるため、再発することもある。春から夏にかけて多く発生し、流行のピークは7月頃である。 夏かぜの代表的な疾患であり、4歳以下の乳幼児に多い。 
A型肝炎 発病初期を過ぎれば感染力は急速に消失するので、肝機能が正常になった者については登校(園)可能である。
経口(糞口)感染するA型肝炎は、日本で年間数百人の発生があり、8割は牡かき蠣などの食物による感染、2割は海外渡航からの帰国者である。2010年春には患者数の急増があった。40歳以下の日本人の抗体保有率はほぼ0%で、この年齢層は注意が必要である。小児の80〜95%は感染しても無症状で済むが、重症化する例もある。無症状であっても便中にウイルスは排出されるため、感染予防が困難である。
B型肝炎 急性肝炎の急性期でない限り、登校(園)可能である。HBVキャリアの出席停止の必要はない。ただし、キャリアの血液に触れる場合は手袋を着用するなど、上記の標準予防策を守ることが大切である。例外的な場合、例えばHBVキャリア児が非常に攻撃的でよくかみ付く、全身性の皮膚炎がある、出血性疾患がある等、血液媒介感染を引き起こすリスクが高い場合には、主治医、保育者、施設責任者が個別にそのリスクを評価して対応する必要がある。
伝染性膿痂疹(とびひ) 出席停止の必要はないが、炎症症状の強い場合や、化膿のうした部位が広い場合は、傷に直接触らないように指導する。(15)伝染性膿のうかしん痂疹(とびひ)
ブドウ球菌などの皮膚感染によって、紅こう斑、水 疱ほう、びらん及び厚い痂か皮ができる疾患。夏期に多く、乳幼児に好発する。
伝染性軟属腫(水いぼ)  出席停止の必要はない。
アタマジラミ 出席停止の必要はない。ただし、できるだけ早期に適切な治療をする必要がある。
頭皮に寄生し、頭皮に皮膚炎を起こす疾患。 児童に多い。誤解されることが多いが、衛生不良の指標ではない。 
疥癬 治療を始めれば出席停止の必要はない。ただし手をつなぐなどの遊戯・行為は避ける。角化型は感染力が強いため、治癒するまで外出は控える。
白癬せん感染症、特にトンズランス感染症 出席停止の必要はない。ただし、接触の多い格闘技の練習・試合などは、感染のおそれがなくなるまでは休ませる。
中学生・高校生・大学生の柔道、相撲、レスリングなど、格闘技のスポーツ選手に好発する。互いに肌や頭部を接触させる競技の選手たちにまん延しており、管理する指導者が本疾患に対する認識を持つことが重要。感染が判明すると試合に出られなくなると、隠している選手が少なくない。一人でも真菌感染が発覚したら、その一集団全員の早期の検査と早期の治療が必要であることについて、まずは指導者への啓発活動を行うべきである。 
学校において予防すべき感染症の解説1
学校において予防すべき感染症の解説2
学校において予防すべき感染症の解説3
学校において予防すべき感染症の解説4
学校において予防すべき感染症の解説5    (Q&A)
 学校において予防すべき感染症の解説
 Q5.インフルエンザの「発症した後5日を経過」とは、どのように数えるのですか。 また、「発症」した日とは、熱が出た日のことを指すのですか。
【回答】 「発症した後 5 日を経過」については、症状が出た日の翌日を 1 日目として数えます。例えば、水曜に発症した場合は、翌日の木曜が 1 日目になりますので、「発症した後 5 日を経過」し、登校 ( 園 ) が可能になるのは、翌週の火曜になります ( ただし、解熱した後 2 日 ( 幼児にあっては 3 日 ) を経過した場合 )。 また、インフルエンザは、高熱が出た日を指して「発症」とする場合が多いと予想されます。いずれにせよ、医師等に相談の上、適切な対応をしてください。 なお、インフルエンザをはじめとする第二種の感染症については、症状により学校医又はその他の医師において感染のおそれがないと認めた場合には、登校 ( 園 ) は可能です。例 ) 発症した後 5 日を経過した場合の登校 ( 園 ) 許可の日。ただし、解熱した後 2 日 ( 幼児にあっては 3 日 ) を経過したものとする。
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