糖尿病患者に適量のビールかワインを
Medical Tribune 2005年4月21日
ドイツビール醸造業連盟とドイツワインアカデミーは,それぞれ糖尿病患者に適量のビールまたはワインを飲むよう勧めている。ベルギー・アントワープの糖尿病専門医Ivo De Leeuw教授によると,1 日約500mLのビールを摂取するのが健康によいという。一方,他の研究では,ワイン摂取が血糖値に及ぼす影響は認められなかったが,インスリン感受性の向上と代謝改善が認められた。
 
 ホップに有効成分
ドイツでは2010年までに糖尿病患者の数が1,000万人に達するという。酒類製造・販売業界にとっては,糖尿病にアルコールがよいとなると,相当数のビール党が見込めることになる。ドイツビール醸造業連盟にとっても,マスコミの前でビールを擁護してくれるLeeuw教授は頼もしい味方だ。

同教授によると,数多くの研究で,適量の飲酒による 2 型糖尿病リスクの低下が証明されたという。さらに,自身の研究でもそのことが示されたため,患者には運動量を増やしてファストフードの摂取を減らすだけでなく,適量のビールを飲むよう勧めているという。

薬理学的には,ビールに含まれるビタミンとミネラル,特にホップのイソフムロンに予防効果があるのは確かである。さらに,アルコールによりHDLコレステロール(HDL-C)値が上昇し,血管保護につながる。

食事時のワインで代謝改善
 ドイツワインアカデミーは,ワインの予防効果を繰り返し強調している。適量のワイン摂取はインスリン感受性を高め,代謝を改善する。同アカデミーのプレスリリースには,多くの研究で,適量のワイン摂取により糖尿病に対するある程度の予防効果が認められたのは驚くべきことではないとある。

マリアヒルフ病院(バート・ノイエンアール)のGerhard Kreuter博士と糖尿病治療に力を入れている内科医Karl-Heinz Hauser博士は“糖尿病とアールワインの研究”の一環として,高齢糖尿病患者80例を対象に,食事とともに毎日300mLのワインを 6 週間摂取してもらった。その結果,糖代謝に対する影響は認められなかったが,HDL-C値が上昇し,LDLコレステロール(LDL-C)値が低下していた。総コレステロール値とトリグリセライドに変化はなく,フィブリノーゲンは減少していた。

Kreuter博士らは,これらの結果は概して喜ぶべき内容だと考えている。血糖値の低下にこそ至らなかったものの,毎日の食事時に 1 杯のワインを摂取すれば,代謝は悪化するのではなく,むしろ改善するなど良好な効果が得られることが十分に示唆されたからである。今後も糖尿病患者に 1 杯のワインを推奨する理由は十分にありそうだ。
私見
 これが本当なら病院食にワインかビールつけてよいことになる。酒飲みはよろこぶだろう。−−当院では飲酒可・・・−−なんて言う病院案内がでるかも?

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