マクロライドの抗菌力以外の作用への期待 nikkei Medical 2005.4 |
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・・・略 後鼻漏、気道過敏、胃食道逆流による咳 後鼻漏の原因として最も重要な疾患は副鼻腔炎である。病態下で分泌された過剰な分泌物の一部は就寝中に気管の中にたまる。就寝中は咳反射が低下しているため、咳は起こらないが、覚醒時、特に起床時の咳(Morning Cough)や昼間の咳払い(Day Time Cough)が特徴的にみられる。またさらに、下気道に炎症を起こすと夜間でも咳がみられるようになる。 気道過敏による咳の主体は喘息であるが、最近、喘鳴や呼吸困難を伴わず、咳を主症状とする咳喘息と呼ばれる病態が注目されている。喀痰中に好酸球増多がみられ、将来、喘息に発展することもあることから、その前段階の病態であると考えられている。 胃食道逆流による咳は、食道内に逆流した胃酸が迷走神経反射を引き起こすことによって起こる。酸分泌抑制剤で咳の症状は消失するので、こうした治療的診断も可能である。 咳の治療とマクロライド系薬の位置づけ 慢性副鼻腔炎、肺炎マイコプラズマ肺炎クラミジア、百日咳を治療する際には、まずその特徴を観察し原因を明確にすることが大切である(表2)。 小児の感冒は、10日〜2週間ほど症状が続くので、それまでは対症療法を行う。小児でそれ以上、また成人では咳が3週間以上続いた場合には、副鼻腔炎や肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、百日咳感染を疑い、治療を行う(表2)。 慢性副鼻腔炎に対しては、マクロライド系薬の少量長期投与が行われている。また、肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、百日咳に対してマクロライド系薬は効果が高く、投与開始後4日ほどたって咳の症状が改善した場合には、高価があったと判断できる。肺炎マイコプラズマと肺炎クラミジアについては、マクロライド系薬を一週間投与し、効果があったと判断された場合でも、再発がみられることが多いので、さらに一週間投与を延長したほうがよい。 表2 咳治療におけるマクロライド系薬の位置づけ
抗菌力以外の作用への期待 マクロライド系薬のクラリスロマイシン(CAM)には、抗菌力以外の作用が報告されている(表3)。 慢性副鼻腔炎に対する少量長期投与療法の効果には、粘液線毛輸送機能改善作用、炎症細胞の浸潤抑制作用、炎症性サイトカインの産生抑制作用などが関与していると考えられている。 また、最近ではウイルス感染に関連する作用も報告され、注目されている(表3)。 咳に関する新知見としては、抗インフルエンザ薬にCAMを併用した症例における咳の有症率のデータが高平らにより報告されている。すなわち、オセルタミビル単独群(15例)では治療3〜5日後の咳の有症率が80.0%(治療前86.7%)であったのに対し、CAM併用群(16例)では68.8%(治療前93.8%)、同様にアマンタジン単独群(15例)では73.3%(治療前100%)であったのに対し、CAM併用群(15例)では60.0%(治療前93.3%)と、CAMの併用により咳の減少傾向が認められている。 咳の治療において、CAM−は、原因となる肺炎マイコプラズマ、肺炎クラミジア、百日咳などに効果を示すだけでなく、抗菌力以外の作用により慢性副鼻腔炎などに村しても効果を有することから、重要視される薬剤である。 表3 クラリスロマイシンの抗菌力以外の作用
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