アルツハイマー病に新ワクチン開発へ
副作用を抑制 3年後めど臨床試験
2005.6.9日経新聞
 バイオベンチャーのディナペック(茨城県つくば市、長谷川護社長)と国立長寿医療センター研究所(愛知県大府市)はアルツハイマー病治療用ワクチンの開発に乗り出す。海外大手製薬も開発を進めているが、副作用が問題になっている。ディナペックと長寿医療センタトは副作用を抑える仕組みを発明。動働実験で効果を確認し、三年後をメドに臨床試験入りを目指す。

 実験中のワクチンはデイナペックが開発した遺伝子の運び屋(ベクター)を利用して作る。ベクターにアルツハイマー病の原因となるたんばく質「ベータアミロイド」の一部を作るRNA(リボ核酸)を組み込む。

 これを鼻から吸入すると細胞に入り込み、ベータアミロイドに似た物質を作り始める。その結果、人体の免疫機能が働いてベータアミロイドの固まりを除去する抗体を生み出し、症状を改善する仕組み。

 マウスでの実験では、一回の投与で脳の前頭葉や頭頂葉などでアルツハイマー病特有の斑点(老人斑)が大量に減ることを確認した。副作用は見られなかった。

 他社の類似ワクチンは髄膜炎の副作用が起きた。ディナペックなどは遺伝子の導入手法を工夫し、不必要な免疫反応を防ぐ。サルなどのより人間に近い動物でも効果を検証する。実用化すればアルツハイマー病治療薬として初のワクチンとなる可能性がある。 ディナペックは遺伝子治寮関連の技術開発を目的とした国家プロジェクトの研究成果を事業化するために2003年に設立。三共、アステラス製薬などが出資している。

 国立長寿医療センター研究所は高齢者医療を専門とする国立長寿医療センター病院に併設した研究機関。


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