『個人情報』続く混乱
日経新聞2005.7.1
・・・略
個人情報保護法は業種や分野ごとに規制する個別法ではなく、包括法で一律の網を掛けた。氏名や住所など基本的な情報も病歴、預金・負債額、通話記録といった秘匿性の高い情報もすべて同列に扱っている。

 白本弁護士連合会情報問題対策委員会副委員長の清水勉弁護士は「情報の質や量が全く違うのに法律で規制したことが過剰反応の要因となった」と批判する。

 全体に一律の綱を掛けた結果、条文は事業者の義務について「安全管理のため必要かつ適切な措置を講じなければならない」など漠然とした表現になった。何をどこまですれば違反にならないのか不明確なまま保護法がクローズアップされ、社会全体を萎縮させた」 (清水弁護士)。

 各省庁は法律を補足するねらいでガイドラインを作成したが、最も重要性・秘匿性の高い情報に合わせたため「対策を講じることが望ましい事項」と心て膨大な項目を列挙。個人情報に詳しい三谷英弘弁護士は「法律上の義務なのか努力目標なのかあいまいなまま、事業者は監督官庁の意向として対策を余儀なくされている」と指摘する。

 清水弁護士は「学級名簿とクレジットカードの顧客情報では流出したときの深刻度が違う。個人情報の保護は大切だが、社会生活である程度お互いの情報を知っておく必要もある」と現在の風潮に警鐘を鳴らす。
個人情報保護法の5つのポイント
@情報を取得する際に利用目的を本人に通知する
A本人の同意なしに別目的に利用してはいけない
B本人の同意なしに第三者に提供してはいけない
C情報漏洩を防ぐため必要かつ安全な措置を取る
D本人請求により開示し、誤りがあれば訂正する

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