療養型病床介護保険の適用外に
居住型施設へ転換、厚労省2012年メド医療費抑制
2005.12.22 日経新聞
 厚生労働省は2005年12月21日、長期にわたり療養している高齢者が入院する療養病床(ベッド)への介護保険の適用を2012年度をメドにやめる方針を決めた。医療の必要性が薄いにもかかわらず長期入院する「社会的入院」を減らすのが狙い。同病床は医療保険の対象となる患者しか利用できなくする。すでに介護保険を適用している病床は老人ホームなど居住型の介護施設への転換を促す。
 療養病床は長期療養が必要な高齢者のためのベッドで、全国の医療機関に約38万床ある。入院費などが介護保険から給付される介護型(14万床)と医療保険が適用される医療塾(24万床)に分かれている。
 いずれも容体の急変する可能性が低い軽度の患者が6割を占めており、患者の状態に大きな違いはないとされる。しかし療養病床の入院コストは一般病床に比べ割高で、膨らみ続ける社会保障費の抑制に向け医療ニーズが低い利用者の削減は急務となっていた。
 厚労省は療養病床が多いことが平均入院日数を押し上げていると判断している。特に介護型は2003年度で574日で、医療型の349日の1.6倍にのぼる。
そこで保険適用を医療保険に一本化して介護保険を使えなくする形で介護型を廃止することにした。
 介護型の療養病床に入院する患者のうち、医療の必要度が低い六割を在宅介護や有料老人ホームに移し、医療の必要性が比較的高い4割程度の人を医療保険が適用される療養病床に移す。介護報酬と診療報酬の改定によって誘導、2012年度をメドに再編を終える。
 介護保険を適用している14万床については、有料老人ホームや特別養護老人ホームなど居住型の介護施設への転換を促す。そのために介護事業者に対する施設改修費などの助成制度を新設する。再編によって療養病床の総数は現在の半数程度まで減る可能性がある。
 医療型の療養病床に入院する患者についても、軽度の人は介護保険適用の在宅介護や有料老人ホームなどへの移転を促進する。2006年度の診療報酬改定で軽度の入院患者に対する診療報酬を引き下げ、医療機関がこうした患者を受け入れにくく方針。家庭の事情などで入院を続ける社会的入院を減らし、入院医療費の削減につなげる。
 現在、療養病床に入院している高齢者は介護型、医療型にかかわらず、再編によって老人ホームなどに移ると施設の利用料によっては負担増となる可能性がある。

http://www.med.or.jp/doctor/byosyo/

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