NHKスペシャル 「日本のがん医療を問う」に物申す 府医ニュース 2006.2.15 『会員投稿』より |
NHKスペシャル「日本のがん医療を問う」 (平成17年4月30日、5月1日放送)は大きな反響を呼んだ。第2弾が放送(18年1月7・8日)されたが、その内容に問題ありと感じたのは私だけではないだろうと思う。 「第一夜・格差をなくすために」の副題は、 (1)抗がん剤・放射線…最新治療を求めて漂流がん難民 (2)あなたの病院は大丈夫? 驚きの格差≠ェ判明、 (3)治療成績向上・情報公開で病院改革、 (4)患者・医師徹底討論、であった。 その主張は、「すべてのがん患者には治癒する可能性があることを前提として、あなたの病気を治す治療があるのに、それが地方では受けられない、あるいは知らされれない(地方格差)。 各病院の治療成績も開示されず、情報がない(5年生存率開示、がん登録)。新しい治療 (未承認薬)も受けられず、がん患者は苦しんでいる」であったようである。 討論に参加要請されたひとりの勤務医は、「すべてのがん患者には治癒する可能性あり」とする前提と「未承認薬はあたかも魔法の薬」と思わせる点につき、患者や視聴者に「過度の期待」を与えて問題解決の方向を誤る可能性を主張したが、放送ではすべてカットされていたとのことである。 これを知って、放送を見た時の違和感の由来が分かった。 それは「徹底討論」と謳いながらの「始めに結論ありき」の編集姿勢である。 先日、イギリスBBCを取材した放送の中でNHK副会長は、「NHKが『速さ』 よりも 『正確さ』をより重視することで公共放送としての信頼を得ている」と話していた。 「過度の期待」 を与えるような編集姿勢で、公共放送としての信頼が得られるのであろうか。みんなでNHKに物申すべきではなかろうか。 |
参考 http://literacy.umin.jp |