医療は、サービスかー会員諸氏に問う−
日医ニュース 2006.2.20 会員の窓より
 朝日新聞の朝刊(平成17年10月2日付)に社会保障に関する記事が載っていて、そのなかに、「広く国民に医療サービスを提供する仕組み」「医療機関はサービスを提供して報酬を受け取っている」「負担増を嫌う医療機関が、必要なサービスを提供せず」などと記述されていたが、医療を担う人たちは、同一紙面の片隅で、「かなりの部分が人の手による医療は、当然コストがかかる」と、医療を医療サービスとは表現していない。

 いつごろから、医療が医療サービスになったか定かではないが、平成13年6月26日「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」の閣議決定として、その一つの事項に、「医療サービス効率化プログラム」の項を設け、医療サービスの標準化≠ニいった言葉が、公式に使用されている。

 私は、このような言葉を知ったときから、医師会も医療をサービスとして容認されているのかと疑問に思っている。医師は、医療に際して自分の全能を患者さんに傾け、医療に専念しているのであって、サービスを提供しているわけではないと思う。

 英語と日本語の受け止め方の相違で、政府のサービスが一般的なのだろうか。しかし、辞典で「サービス」を引けば、良い意味では〔奉仕〕、悪い意味では〔接待〕とか〔客の便宜を図ること〕などである。日本人的な感覚からすれば、これでは医療行為は、患者さんへのへつらい≠ニしか受け止められないのではないか。社会保障制度からすれば、保険料を先払いしている患者さんの権利なのかも知れない。

 何も、医療サービスといわなくとも、医療、医療行為、医療の提供で十分であると思うのだが、会員諸氏は……〃


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