不可解なCKの上昇を解明
2006年3月16日 medical tribune
急性で一過性のCK上昇の原因として
(1)運動
(2)筋肉内注射
(3)外傷や手術
(4)臥床や圧迫による壊死
(5)医薬品や薬物(バルビツレート,エタノール,ヘロイン,テオフィリン)
(6)代謝性の筋障害
それ以外に筋肉症状背後に食事の問題が隠されていることもあるそれまで健康上の問題のなかった45歳の男性は,山小屋までハイキングした際に,脂肪を多く含む夕食を摂取した。その翌日,筋肉痛が生じて次第に強くなり,不全麻痺が生じ,自力歩行ができなくなったため病院に収容された

尿は黒色で,検査を 進めた結果,最終的にカルニチンパルミチルトランスフェラーゼ II 欠損症であることが判明した。

この酵素は筋肉のエネルギー代謝に関与しており,不足すると横紋筋融解が引き起こされることもある。この男性患者の場合には同酵素が完全に不足していたわけではなく,食物の分解により生じた脂肪酸代謝物により同酵素が阻害されたものである。尿の黒染はミオグロビンに由来していた。同患者は間もなく完全に回復し,その後の生化学的検査でも筋生検でも異常は認められなかったという。
カルニチンパルミチルトランスフェラーゼ II 欠損症
原因:常染色体劣性遺伝性の酵素欠損
症状:筋肉痛(痙攣),不全麻痺,ミオグロビン尿,横紋筋融解,腎不全とその合併症としての肝不全や心不全
考えられる誘発因子:長時間にわたる肉体的負荷,断食,寒冷曝露,感染,薬剤
発作と発作との間:不全麻痺は見られず,CK,筋電図,筋組織検査所見などは正常

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