マイナス改訂の影響は? Nikkei Medical 2006.4 トレンドビューより抜粋 |
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表1 在宅療養支援診療所(支捷診)の要件と、他医療機関との算定比較
※1支援診であっても、死亡前24時間以内に訪問して看取りをしていなければ、その他医療機関と同じ算定となる。 |
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運動器リハビリテーション科の算定条件
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専門職によるリハが要件に 一方、リハビリテーション料は、項目そのものが抜本的に再編された。凝乗の理学療法・作業療法言語療法といった区分は廃止され、心大血管疾患、脳血管疾患等、運動器、呼吸器4つの疾患別に点数が設定された。さらに、集団療法の点数が廃止され、個別療法のみの評価となった。 このうち、診療所で多く算定されそうなのが、「運動器リハビリテーション料」で、骨折、関節の変性疾患・炎症性疾患、運動器不安定症などが対象となる。 運動器リハビリテーション料の最大の特徴は、専門職によるリハビリを算定要件としている点だ。(Ⅰ)180点と(Ⅱ)80点の2種類があるが、共に常勤かつ専従の理学療法士(PT)・作業療法士(OT)を配置しなければならない。 当分の間は、(Ⅰ)の医師要件などを満たす医療機関では、あん摩マッサージ指圧師などをPTの代わりと見なし、(Ⅱ)の80点を算定できるが、いずれにしても専門職による個別対応が必要で、リハビリのレベルアップを促す厚労省の狙いが反映された点数設定となっている。日本臨床整形外科医会理事長の角南義文民は「専門職によるリハビリを重視した点数になったことはわれわれとしても評価している」と話す。 これまで多くの整形外科診療所が算定していたのが理学療法(Ⅳ) さらに、「在宅医療の”受診抑制”が起こり得る」と懸念するのは、石橋クリニック(東京都東久留米市)院長の石橋幸滋氏。今改定により、月4回以上の訪問が算定条件だった在宅時医学管理料が、在総診との再編で新たに「在宅時医学総合管理料」として一本化され、月2回でも算定可能になるなど、患者の負担になる要素が増えた。支援診を届け出れば、高点数のために患者負担はさらに上がる。中には、「支援診を届け出ても、患者の経済状況などに応じて(個別療法で1単位50点)だ。整形外科診療所の中にはマ、ソサージ師などを雇っているところが多く、そうした施設が(Ⅰ)の要件を満たせば80点を算定できるので、理学療法(Ⅳ)より点数はアップする。新たにPT・OTを雇って180点を算定することも選択肢になるが、角南氏は「診療所にPT・OTが就職してくれることはほとんどない。そもそも180点と80点の差額の100点だけでは、PT・OTの給料を払うのは難しい。PT・OTを雇えず、80点を算定するケースが多くなるだろう」と話す。 ただし、点数アップを手放しで歓迎できない事情がある。新たに算定日数の上限が設定されたからだ。高次脳機能障害、重度の頸髄損傷などの厚労省が指定した疾患を除き、発症、手術、急性増悪から150日以内しか算定できないとされている。 150日を超えても処置料の「消炎鎮痛等処置」などは算定できるが、点数は35点で単価は下がる。厚労省内では、150日超のリハビリについて、投薬などを含め150日超の診療にかかわるすべての費用を徴収する形であれば、混合診療禁止のルールに抵触しないとして自費徴収を認めることも検討されている。だが、それが認められたとしても患者負担を考えると現実には難しいだろう。 現場からは、「算定要件を文面通りに読めば、症状が急性増悪した場合には、治療期間をリセットできる。 そこからまた、運動器リハビリテーション料を算定すればいい」(ある整形外科開業医)という声も聞こえてくる。極端に「リセット」を行っていると、「行政の保険指導でチェックされる可能性もある」(梓診療報酬研究所副所長で医療コンサルタントの富田敏夫氏)が、この「急性増悪」の要件は見逃せないだろう。 |