医師に求められる説明水準
Nikkei Medical online ケースに学ぶトラブル対策講座 2006. 4. 18 連載第3回より一部抜粋
1.外来通院での服薬の説明
(1)薬剤部や院外薬局での定型的印刷メモ記載の交付で足りる。薬剤交付時に薬剤師による簡単な説明は必要
(2)特に重篤な副作用(重症薬疹、アミノグリコシド系での聴神経・視神経障害、低血糖など)の説明では、「発疹、発熱」などの具体的な副作用の症状を記載する必要がある。単に「何かあればすぐに連絡を!」では足りない。
外来(日帰り)検査治療

(1)一般的説明基準(手術や侵襲性のある検査で)
 1)治療や検査の目的、必要性、内容(医学的、社会的適応について)
 2)通常予想される危険性・合併症
 3)医師の勧める治療法での治療成績
 4)他の検査・治療方法がある場合、その説明と比較・得失〔1)〜3)について〕
 5)当該検査・治療行為実施のつぎの診療(治療)指針
 6) 日帰り検査、治療では帰宅後の生活指導、合併症早期発見のための具体的説明

(2)上記2)の危険性・合併症の説明基準〔説明のポイント1)〕
 1)発生頻度の低いまれなものでも重篤な合併症や副作用(まれに死亡や永続的な後遺障害が発生すること)
 2)頻度の比較的高いもの(軽症なもの)
 ただし、軽症にとどまる場合、紛争化することはまれ。

(3)上記3)の検査治療法を勧める場合の上記4)の他の検査・治療方法との比較・得失の説明基準〔説明のポイント2)〕
 医師の勧める検査治療法の医学的適応が弱いほど(絶対適応でなく相対適応、社会的適応の場合)、なぜその方法を選択する必要があるのか、また、より危険性の低い他の検査治療法を選択することもできる点の説明義務は加重される(経過観察や保存的治療法などの侵襲性の低い方法の説明が不可欠)。

3.実際に口頭での読み聞かせが必要(または分かりやすい言葉での文書の併用)

4.癌の告知義務
(1)本人への告知が原則必要 
(2)医師が本人の告知が不適当と判断した場合は、家族への説明で代え得る。家族への告知もなかった場合は原則免責されない。


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