「後発品へ変更可」の落とし穴
Nikkei Medical 2006.8
【要約】
●後発品への変更に伴う患者の不満で最も多いのは安くならないこと
後発品への変更によって数千円単位で負担が減る場合もあるが、先発品の薬価が既にかなり下がっている古い薬では、患者が期待するほど安くならない
●今まで飲んでいた薬と同じだと聞いたのに、大きさが違う。本当に大丈夫か
後発品には大きさ、味などで先発品に劣るものがある

適応外に注意
例えば、セルペックス(テプレノン)は胃潰瘍のほか、胃炎による胃粘膜病変の改善に適応があるが、後発品にはいずれも胃潰瘍の適応しかない。

後発品には認められていない適応がある主な内服薬
一般名 先発品商品名後発品に認められていない適応
イトラコナゾール イトリゾールカプセル爪カンジダ症、カンジダ性爪囲爪炎
ウルソデオキシコール酸ウルソ錠 原発性胆汁性肝硬変における肝機能の改善
エビリゾールメブロン錠次の疾患の消炎・鎮痛 慢性関節リウマチ*1
塩酸クレンブテロールスピロベント錠次の疾患に伴う尿失禁 腹圧性尿失禁
塩酸シプロフロキサシン シプロキサン錠適応菌種 レジオネラ属
オフロキサシンタリビッド錠ハンセン病
オメプラゾールオメプラゾン錠/オメプラール錠胃潰瘍または十二指腸潰瘍におけるヘリコバクタ一・ピロリの除菌の補助
カルベジロールアーチスト錠 次の状態で、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、利尿薬、ジギタリス製剤などの基礎治療を受けている患者虚血性心疾患または拡張型心筋症に基づく慢性心不全
クラリスロマイシン クラリス錠
クラリシッド錠
後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症*2
シクロスポリンネオーラルカプセル 下記の臓器移植における拒絶反応の抑制 心移植、肺移植、膵移植 
再生不良性貧血(重症)、赤芽球癆*3 
ネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイドに抵抗性を示す場合)
シロスタゾールプレタール錠脳梗塞(心原性脳塞栓症を除く)発症後の再発抑制
テプレノンセルペックス細粒・カプセル 次の疾患の胃粘膜病変(びらん、出血、発赤、浮腫)の改善
急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期
ベラプロストナトリウムドルナ一錠/プロサイリン錠原発性肺高血圧症
ランソプラゾールタケプロンカプセル 非びらん性胃食道逆流性
胃潰瘍または十二指腸潰瘍におけるヘリコバクタ−.ピロリの除菌の補助

*1:50mg錠の後発品には適応がないが、100mg錠の後発品には適応がある。
*2:先発品の200mg錠のみに適応がある。
*3:10mgカプセルの後発品には適応があるが、25・50mgカプセルの後発品には適応がない。
*4:先発品の15mgカプセルのみに適応がある。
患者負担を減らすため「変更可」処方をしたにもかかわらず、薬局側が対応しない例もある。
インターネット調査(有効回答300件)では、4月にうけた全処方せんのうち「後発品への変更可」の処方せんは14%。実際に後発品に変更されたのは12%
薬剤師にも後発品の品質に不安あり。
薬局の場合、薬の在庫増、説明に時間がかかることから、後発品使用に消極的なところも多い。


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