「急性中毒に胃洗浄」を見直せ
 Nikkei Medical Online 2006. 10. 25
抜粋
●急性薬物中毒患者を受け入れている北里大病院救命救急センターでは、胃洗浄は現在、年間わずか数例のみ。
・ 除去効率は個体差が大きく、時間経過と共に除去量が減少。
・ 予後が改善するというエビデンスがない。
・ 喉頭れん縮、誤嚥性肺炎、食道、胃の損傷、気管内への誤挿入などの合併症が増加。
・ 経口摂取による急性中毒では活性炭の投与のみで十分であるとされる研究が多い。

●胃洗浄の対象は服用後1時間以内の患者
石油製品や、酸、アルカリなどの腐食性物質を服用した場合は、胃洗浄は禁忌。
意識状態が低下し気道保護反射が消失している患者に胃洗浄する際には、気管挿管が必要。
活性炭に吸着しやすい物質であれば、たとえ1時間以内に受診したとしても、胃洗浄せず活性炭を単独投与が除染効率が良い。 
活性炭に吸着されにくい物質
アルコール類、フッ化物、鉄、ヨード、無機酸、青酸化合物、カリウム、リチウム、エチレングリコール

●例えば、睡眠薬を30錠ほど服用した患者が救急センターに搬送されてきた。
「一昔前であれば胃洗浄して活性炭を投与して…と2〜3時間かけて処置していた。だが今では、服用から数時間たっている患者であれば、脱水予防のための点滴だけで、わずか30分で処置が済んでいる」


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