勤務医諸兄へ情熱を持続しよう
 病める人々は我々の助けを待っている
府医ニュース 勤務医の窓より2006.11.1
 我が病院にも「ご意見箱」がある。毎日苦情が数多く入れられる。マスコミも医療の不祥事を多数取り上げる。医療相談室に血相を変えて来られ 「院長を呼べ」とおっしゃる方がおられるが、理不尽な要求も少なくない。医師はそれらの対応に多くのエネルギーを費やし、ストレスが積もってやる気をなくす。若かりし頃に持っていた「いい医療をしよう」という情熱はどこに行ってしまったのか?

 確かに病院が反省すべき事例も少なくない。誰が見ても明らかな医療ミスもある。それらは真筆に反省すべきだ。「医療をおこなう」という行為は単に「専門技能」を使うことだけでなく、正確な説明・情報提供まで含んでいることも医師は認識しなくてはならない。

 最近、全国で勤務医数が減少しているという。極めて深刻な問題だと思う。その原因が単に苦情だけではないのは確かだが小さくない要因であることも確かだ。マスコミも病院の不祥事は取り上げるが患者さんの感謝は一切取り上げない。新聞記者は「そんな記事を書いても新聞は売れない」と言うそうだ。それはおかしいと思う。自分たちが国民からいい医療を奪っていることに彼らは気づいていない

 私は多くの患者さんの感謝の気持ちを肌で感じている。言葉がなくても満面の笑顔で病院を退院される患者さんの後ろ姿には感謝の気持ちがにじみ出ている。この瞬間を体験することこそが医師の本望であり、この気持ちを味わうために自分は医者になったのではなかったか。

 意見箱に入っている苦情の何倍もの感謝の気持ちは箱に入らずに隠れている。勤務医は反省すべきは反省し、でも医師としての誇りも失わずに「苦情の何倍もの感謝」をよりどころとして、若き日に憧れた「医業への情熱」を失ってほしくない。多くの病める人々は私達の技術を必要としているのだから。
私見)
まったく、同感である。マスコミが現在の状況を作りだしているということを知るべきだ。

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